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【本物の保守は憲法を重んじる】〜中島岳志著「保守と立憲(2018年)」より〜

 保守思想とは何か?これは実はリベラルと親和性が高く、「自分は間違っているかもしれない、少なくとも足りない所がある」と自らの理性への懐疑性があり、他者の声に耳を傾ける。

 リベラルが比較的、同時代の社会的弱者の声に耳を傾けるのに対し、保守は、先人(死者)の声に耳を傾ける。そのため、それまでの歴史の中で培われてきた英知・伝統・経験知を大切にする。そして時代の変化に合わせてゆっくりと変えて行くのが保守である(変化に慎重)。

 さて、憲法は先人の知恵、今までの死者が培ってきた英知。憲法は国家権力を暴走しないように縛るために、日本国憲法は先人たちが戦争体験から「過ちを繰り返してはならない」と作った。
 政治学者の中島岳志は、

【立憲主義を否定する政府は、歴史や死者から解放された存在です。これは危険な存在です。歴史の中に自己の枠組みを見いだそうとする保守思想は、立憲主義を積極的に擁護します(「保守と立憲」p21)】

と述べる。

 つまり、現代日本で、憲法を重んじる人や、改憲反対という声を上げる者に対して、保守を自称する人が「左翼」や「リベラル」と呼んだり、あるいは保守を自称する人が「改憲賛成!」と言ったりするのは、自ら真の保守ではないことを曝け出していることになるだろう。

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