見出し画像

就労移行に通所する最大のメリット


いきなり結論を言うと、「就労移行で何をやっているか?」を把握できること。

え?そんなこと?
と思われるでしょうが、普通学級を卒業し、一般雇用しか経験のない人が、障害者雇用で働くなら、いきなり仕事の場面で同僚の「就労移行的価値観に基づく行動様式や言動」に直面するとびっくりすると思います。

就労移行の訓練内容は、情報流出が制限されているため、通所者・支援者以外は知りえない情報なので、当然と言えば当然です。
ここには大きな情報格差が存在します。

しかし、特例子会社、集合配置、他の障害者もいる部署配置で働くなら
就労移行で何やってるのか?どういう価値観を教育されるのかは知っておいた方がいいです。
(必ずしも合わせる必要はないですが、職場の上司により、合わせることを求められる場合もあるので注意!結局は多数決です)

エージェントや支援員、就職先の上司も教えてくれない暗黙の了解
ググッて分かるような概念ではないし
あの空間を体験しないと分からない。

障害者雇用の現場では「他者理解・自己理解」と耳タコなほど言われると思いますが、それらの言葉の概念や、どう行動に落とし込み、自分をどう見せるのかを就労移行経由の人は教わっています。

だからこそ、就労移行に通所して就職する人は、障害者の同僚の中に、就労移行を使わずに就職した人がいる可能性を考えてほしいな、と。
両者の「常識」「行動様式」は、全く異なるから。
(むしろ、就労移行で教えるべきかな?訓練内容が絶対的正解ではなく、障害者雇用で働いている人の中にも就労移行を経由していない人がいて、知ってて当然と思うなと)

障害特性による考え方の違いのトラブルは、割とあるあるかもですが、表立って目立たない問題として、就労移行的価値観へのなじめなさ問題は大きいのではないでしょうか。

「会社って仕事しに来るところじゃねえの?」
「会社は学校じゃねえんだよ!」
「障害者雇用ってやっぱ違うわ。」
で、一般雇用に転職しよ!と、自力クローズ転職で短期離職の無限ループ
再びいばらの道を歩むことになると(私もやらかした…)

通所しなくてもいいですが、体験だけでも行くと心の準備ができます。
「あの訓練1〜2年受けるとそうなるよね!」と思えれば、「意味分からん!!!」と悩むことも減るでしょう。

例を出すと
・話し合いでだらだら結論が出ない
(みんなで発言することが目的。プログラムの時間を長めに取ってあるから)
・みんなで何かをやること自体に価値がある(やることの総量は決まっているが、すべての人に作業を割り当てることが目的だから)
・クオリティは二の次(得意な人に得意なことを任せるより、薄く広くみんなでやる)
・就労経験がない人が通所している場合、就労移行での訓練が成功体験としてインプットされ、実際の職場でも同様に振舞うのが善とされる(同様の人が複数いた場合、より強化される)
・当番、平等至上主義(仕事の負担が異なっても、暇な人が率先してやる発想がない、自分より忙しい人がいる視点を持たない)

これらの行為や考え方は、個人の思想や宗教ではなく、福祉サービスにより作り出されてされています。
(1人当たり1日約9000円の税金を投じて。)

なので、なぜそうするのか?と理由を問うたとしても
「就労移行で正しい行為として教わったから。」と答えが返ってくるでしょう。
「義務教育で習ったから普通。それをやる個人的な理由はない」と同様

明確な意思はなくても、ルールに合わせられる人間に価値がある。
これは、一般社会と同じです。
組織に属するなんて結局どこ行っても同じです。諦めましょう。

普通学級育ち一般雇用経由は、周りの大多数が就労移行経由で入社してる職場で、かなりの違和感を感じることがあります。
意図して仲間外れにしようとは思われてないのは重々分かるし、障害を抱えてる人同士の優しさはある。

でも、就労移行独特の文化や行動様式の背景を説明してもらえる機会はない。(情報流出が制限されているので)
しかも、管理職からは知っていて当然とすら思われている。

さらに、管理職からするとなるべく全員が就労移行経由で均一な思考、行動様式なら管理しやすいのも事実です。
社会人としての新たな教育の必要がないですし。

自分達健常者は決してやらない行動、もたない思想を、【障害者なら】やれて当然と思われている。
知らない奴は空気読んで合わせろってこと。
(それ、発達障害に求めるか?)

正直、これはかなりキツかったですね。
「多様性」のお題目のもとに、型にはめられる。

今まで一般雇用で必死こいて擬態してきた努力は無に帰して、
子供の頃からやってきた自己を抑圧しての擬態の再開。

価値観が真逆に近いのでかなりの苦痛。
今まで正しいと思ってきたことの上書き。理由も分からないまま。

一方、嫌らしい話ですが、一般雇用の感覚も残しておいてダブルバインドで健常者相手に使い分けていると、評価や金の面で優遇されました。
「私はあなた方の文化をリスペクトしてますよ?」の姿勢。
これを上司・関係部署の健常者と、同僚の障害者とに使い分ける。クソ疲れる。別に差別ではない。

管理職から「おめーは障害者らしく就労移行的な価値観を内面化できてないから低評価ね!」と言われればまだ納得いくし、体現できてる人が高年収の正社員になってたら納得するよ?
でも現実はそうじゃない。
ある種の狡猾さが必要。

エージェントから聞いた話ですが、障害者雇用の就活も難易度が高く、就労移行を使った方が通過率が高いため、より労働市場における就労移行経由での就職者が増える傾向にあるそうです。
定着支援も受けられるため、定着率も高い。

そんな中で、就労移行を経由しなかった障害者に対して、障害者雇用の現場では「いわゆるビジネスマナー」とは異なる就労移行的な文化、行動様式、思想について説明受けられていますかね?
なんとなくのアウェイ感でモヤモヤしてませんかね?
一般社会で近いのは「就活の茶番」です。
あれをずっとやってる感じ、ウケる。


現在、内定キープしながら就労移行で何をやっているかというと、周りが理解不能な行為をやっていてもふーん、と受け流す練習。
これは家で一人では不可能。

異なる文化圏に入るなら予習しておくに越したことはないですね。
多少使える金と、入社まで日数の余裕あるなら社会科見学的に見ておきましょう。
それが絶対的正解ではないと、距離を置きながら。

普通学級、一般雇用、障害者雇用、全部違って全部アウェイ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?