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私がiPhoneを使わない理由

「なんで、iPhone使わないの? 意味わかんねー」
と言われたことがある。

iPhoneがいいのは知ってる。写真きれいだし、iPhone同士でデータ交換楽そうだし、iPhoneにしかないアプリもあるし、スマホケースの種類も多いし。

でも、私はiPhoneを使わない。

なぜか。

iPhoneが悪いのではない。


「海外で一番辛かったことは?」

出前講座や自己紹介で海外経験を話すと、こう尋ねられることがあるが、私の場合、海外生活でそんなに辛いことはなかった。

いや、涙にくれ、悩みもがくことはあった。

でも人生で一番辛かったことに比べれば、どれも大したことではない。

私が人生で一番辛かったこと、それは父が重病にかかり亡くなったこと。

※話がとんでいますが、iPhoneを買わない理由に帰着しますよ!

ところで。「一番辛かったことは何?」とはちょっと危険な質問だと思う。尋ねてる方は悪気はなく、ただの好奇心なのだろう。でも元気で明るくみえても思い出したくもない経験をしている人もいる。何を尋ねたいかを考え直し、問い方を変えてはどうだろう「一番難しさをと感じたことはなんですか?」「何かしようとしたときに感じた壁はありますか?」とか。

当時、患者が頼りにしたのは・・・

父は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)にかかり亡くなった。運動神経が侵され筋肉が動かなくなる、発症原因がいまだ不明の難病だ。

父が発病した1995年頃は医学書に記載も少なく、ネットも普及していなかった。そんな中、患者の頼りになったのは日本ALS協会

1986年にこの協会を設立した松岡幸雄さんは、社会派の書籍を出版する静山社をおこされた方。お仕事を通じALS患者に出会い、動けぬ患者達に代わり、患者をつなぐ組織を立ち上げよう、と私財をなげて奔走された。ご自身が癌になってからも、最期までALS患者のために手を尽くされた。
奥様は、松岡佑子さん。 ハリー・ポッターシリーズの翻訳者の方である。ALS患者と家族への尽力のあまり、一時は傾いた静山社がハリーポッターで大躍進したことは、この上ない喜びだ。

もう一つ、患者が頼りにしたのが「ALSダイジェスト」。アメリカのウェブサイトで、治験結果から噂まで、種々の情報が集まる当時唯一のプラットホームだった。

「全て英語で量も多く、奥様(母)が調べるのは大変でしょう。
 僕たちが手分けして読み、翻訳・要約しますよ」

そう手を差し伸べて下さったのは、父の勤務先の方々だった(一人ではない、複数の方々で翻訳・とりまとめを手掛けて下さった)

月に1度、情報をまとめて我が家、そして日本ALS協会にも届けて下さった。それだけじゃない。歩けなくなり「これじゃ会社に貢献できない、退職する!」という父に、在宅勤務制度をもうけて下さった。

その会社の名は

以上、1990年代半ば、バブル崩壊が肌で感じられた頃のことである。
社員の「ALSの和訳とりまとめ」という営利につながらぬ取り組みを認め、病床に伏した社員(父)が家でも仕事ができるような働き方を提案してくれたその会社は今、「Work Life Shift」を推進している。

「Work Life Shift」とは、多様な従業員たちが、固定的な場所や時間にとらわれず、高い自律性と信頼に基づき、Well-Beingを実現すべく「仕事」と「生活」をシフトする取り組みだそうだ。様々なメディアに取り上げられているが、Work Life Shiftの第一号は父ではないか、と思っている。

父が勤めた会社、その名前は『富士通』である。

葬儀では
「お父さんは次期社長といわれた方でした」
というお言葉(リップサービス)をいただいたが
「怒声は隣の執務室まで聞こえてきました」
という笑い話?もうかがった(今ならパワハラアウトだな)。
800名もの弔問の方々がお越し下さる中、遺族の私が悠長にそんなお話を伺えたのも、富士通の方々が何から何までお手伝いくださったからこそ。

だからiPhoneもMac Bookも使わない

というわけで、私はスマホもノートパソコンも富士通製品を愛用している。

iPhoneではなく、arrows
MacBookではなく、LIFEBOOK

恩情だけが理由ではない。富士通製品は頑丈で、操作しやすく、つくりに心遣いを感じるのだ。

iPhoneを使わないのは、iPhoneが悪いわけじゃない。

富士通の人たち、富士通が創出するモノ・サービスを心から信頼している、それだけだ。

お盆最終日。富士通への感謝と父への祈りをこめて、合掌。

トップ画像は、今手元にある富士通スマホarrows(黒)とノートパソコンLIFEBOOK(白・パープル)。富士通のシンボルマークは、∞(無限)であり、8子の8にも似ていて大好き。

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