見出し画像

<番外編>「第10期菅付雅信 編集スパルタ塾」に1年間通ったおはなし

2022年4月から今年3月迄、下北沢にある「本屋B&B」で開催されていた「第10期 菅付雅信の編集スパルタ塾」に通っていました。
10年続いている、すでに歴史ある「編集講座」です。

ちょうど毎日継続を目標にnoteをやりはじめたころですが・・・すっかり更新ができておらず、noteで宣言しました通り法人化もかなえ、少し立場も変わりましたが、その紹介は追ってするとして、ひとまず「編集スパルタ塾」のリポートをお届けいたします。

「菅付雅信の編集スパルタ塾」の募集

1年前、「本屋B&B」のTwitterで「第10期菅付雅信の編集スパルタ塾」の塾生募集の告知を発見したのが事の始まりでした。菅付さんは以前お仕事で少しだけご一緒する機会があり、目に留まりました。
ウェブから詳細を確認してみると「一年間22回の講義。日本で一番辛く、日本で一番身に付く編集塾!」とあるではありませんか。また有名人を連ねた豪華ゲスト講師陣とそして22回の講義数を考えるとリーズナブルな受講料!(来店受講で12万円)

過去の受講生のコメントを調べると、「闘争」「負けたくない」「キツイ」「課題へのアウトプット中心」「だから身につく」という言葉が並んでいました「かなり課題が多く」、「発表することに学びがある」ということで、受け身で受講するという、ある意味「ラク」はさせてもらえない、という受講前から覚悟がいるような情報ばかりでした。

いわゆる「クリエーター」ではない私が、受講しようと思った理由

そんな情報ばかりで、正直、受講の申し込みをするには、迷いました。
私はプロジェクトマネジャーとしてクリエイティブの現場にはずっと関わっていますが、実際に企画のコアを自分だけで作り上げることは無いし、クリエーターでもない。プロの仕事を間近で見ていて、いつも素晴らしいなと思っていながらも、クライアントからのオリエン内容を踏まえたスケジュールやバジェットの調整や、意見を言いながらブラッシュアップを一緒にすすめる立場でした。

そんな私が、前述の告知を見て結局応募してしまったのです。

理由1:10年も継続されている講座情報に今まで気付いていなかったにも関わらず、今年は出会えた。これは運命?!笑
理由2:豪華なゲスト講師陣と講座の回数
理由3:リーズナブルな受講料
理由4:いつも一緒にいるクリエーターの思考を知りたい
理由5:自分のできることを増やせるかもしれない

ほぼ、この順番通りの思考回路をたどり、あとは勢いで「来店受講」を申し込みました。大人になって、自分にとって新しいことに挑戦するのはわくわくすることでもありますが、自分の無能さを思い知るかもしれないという恐怖と対峙することでもあります。
とりあえず、その恐怖を乗り越え、受講料の10倍以上の価値を得るということを心で宣言し、ポチっとできた自分を今となっては褒めておこうと思います。

とにかく浴びるようにインプットした時間

では実際、「菅付雅信の編集スパルタ塾」とは、私にとってどんな時間だったのか、というと

「とにかく浴びるようにインプットした時間」

でした。

事前情報では「アウトプットに意味がある」とありました。
確かにそうなのですが、未熟な私の場合、与えられた課題に対してアウトプットするには、必然的にその課題について多くの情報をインプットしなければならなった、というのが結論です。

菅付さんの講義から、どういう情報がどういう結果につながったか、などのたくさんの例示を与えられました。その溢れる過去の事例も浴びながら、その知識をヒントに、課題ではどのように良質な情報源を自分で選択し、適切なインプットを自分に与えるのか、ということから向き合ったわけです。また「提出期限」というデッドが決められていることで強制的に集中してインプット活動と向き合うこともできました。

この、「強制的に情報収集をさせ、考察させ、発展させ、発表し、フィードバックがある」ということは、とても有意義な学びの時間でした。そして菅付さんが講義でおっしゃる「編集力」とは結局のところ、すべてのビジネスパーソンが身に着けておくべきOS(オペレーティングシステム)であるということを課題を通じて実践していったと言えます。

今期の課題は雑誌の企画、書籍の企画、社会課題解決、サーキュラーエコノミーのビジネスプラン、ショートムービー企画などが設定されました。それに対し、自分がどのようなところから、どの程度情報収集し、そこから自分がどこまで深く考察し、そこから生まれるアイディアとは何か、という発表をするわけです。
そして、講師陣からは、情報収集が甘いのか、考察が甘いのか、そこから発展させる力が足りないのか、または素晴らしいというお褒めの言葉などのフィードバックがあるのです。まったくもってビジネスプランを評価していただいていると言えました。(資料をきれいにまとめるかそうでないかは、実はそこまで重要ではありません)

さて、発表とフィードバックがメリットとはいえ、全員の受講生の課題が発表できる場を与えられるかというと、そうではなく、まず菅付さんが提出された課題の中から色んな視点が含まれた7-8名程度が選ばれ発表の機会を与えられました。

このスパルタ塾ではその選ばれた他の受講生の課題発表を見ることがができるのも、素晴らしく有意義で刺激的でした。
自分に足りていない情報や気付かなかった視点をそこから発見することができ、自分の得意不得意、まったく無い部分を客観的に認識できる時間でした。自身の能力を客観視できることで、自分一人でできる限界を知り、多くの仲間と進むことで広がる世界を感じることができるのです。

最終的に、第10期の構成は以下のような形で終了しました。
全22回中、
・菅付さんの講義:10回
・ゲスト講師回:12回(課題提出必須)
「アウトプット回=ゲスト講師回」がコロナ前と比べると少し少なくなっているようで、以前よりはキツさが緩和されていたのかもしれません。

コロナがあり、「来店受講生」と「配信受講生」という区分ができたようです。全国どこにいても、時間の制約のある方も受講できるようになったというのがとても魅力で、コロナ前と比較すると、「受講すること」のハードルが下がっていると感じます。私自身はB&Bが近所ということと、直接講師陣とお目にかかりたいという希望もあって、「来店受講」で申し込みました。

この時間を過ごした結果、得たものは

・厳しめの言葉で指導してもらえること(自分の得意、不得意分野がわかる)
・情報収集との向き合い方
・そもそもの具体的な大量の事例(受講生の課題含む)
・困ったときに読むべき本(インプットの際に読んだ本で、役立つ本とたくさん出会えた)
・他世代の価値観や考え方
・1年、無遅刻無欠席、課題も全て提出したという結果、優秀賞に入賞
(一番じゃないけど。笑。一位は副賞として12万円分のB&Bギフト券がいただけるのですが、私のスキルではなかなか届きませんでした。笑)

と、色々得るものがあり、最初に考えていた以上の学びがあったととても満足な一年でした。(最初に告知されていた「辛さ」ですが、確かに物理的に辛いときはありましたが、途中から自分が見えてきたため、メンタル的に辛いのは最初の3カ月くらいでした!)

大人になると、自ら「厳しいフィードバック」を得る機会をたまに作ることは、頭の固い大人にならないためにも大切だと感じています。

メンタル的に辛かった最初の3カ月ですが、ゲスト講師回続けて2回、発表に選ばれもせず、さりとてこの発表の中に自分の拙い課題を発表する勇気はあまりにもなく、真剣に取り組めば取り組むほど煮詰まり、2カ月ほど落ち込み、これが「スパルタ塾」の辛さだなと思うことばかりでした。ようやく発表の機会が得られて、やっと気持ちが浮上したことを覚えています。

この軽い挫折感は、私の立ち位置を見直せましたし、今となれば本当に価値あることでした。

また、自分より年若いからこそ、自分の知らない価値観を持っている仲間ができ、自身の世界を広げることができました。普段接することの少ない人たちと言葉を交わす機会は、それだけで学びであり、大切な出会いでした。

全体の雰囲気としては、私自身は、普段クリエーターとして活動をしているわけではないので、競争意識もあまりなく、コロナ前の過去受講生が感じていたようなピリピリした空気もまったく感じず、後半は特にリラックスして受講できていました。ただ、実際、厳しい言い方をされるゲスト講師もごくごくたまにいらっしゃり、店内が凍りつく瞬間もあるにはありました。笑(すでに一流クリーエーターというだけでも怖いのに、歯に衣着せぬ物言いが魅力であるかたも多いですから、特に気にする必要はないとわかってはいるのですが、萎縮しちゃいますよね!笑)

とはいえ、このコロナ渦の中、みなさん、真剣に丁寧にフィードバックをしていただける講師陣であり、本当にご多忙の中、時間を割いてきていただいていることに、心からの敬意と感謝を申し上げたいです。

ありがとうございました。

受講を検討している方へ


最初に菅付さんからお話があることですが、
新しい何かを創るには、過去を知るということが大切だということです。
完全なゼロから、新しいモノが生まれるのは、本当に稀なことだからです。

AIの時代に、考察し、発展・展開させるスキルが益々重要になってきていると感じています。学びにおいて、記憶することが重要ではなくなってきました。過去の事例がそのまま通用しなくなることも多いでしょう。

ただ、だからこそ、過去、時代のターニングポイントに何が起きたのかを、今を生きる自分が知ることが重要であり、その価値観を掛け合わせることで、未来につながるアイディアを創ることができるということを、この講座で知りました。

この「編集スパルタ塾」はただ「雑誌編集」のスキルを学ぶということではなく、ビジネスのOSであると断言できる「編集力」と、デザインや写真、映画、アートの歴史を知ることで、未来について考察する力を養える講座です。

今の時代、多くのプロジェクトやブランドに必須なコンセプトワークやストーリー立案に関わる方々には、特におすすめと言えますので、迷われている方は、是非チャレンジしてみてください。


著:菅付雅信「はじめての編集」
こちらで菅付さんの「編集」についての考え方がまとまっています。この本を読めば最低限、講座の基本はおさえられますので、教科書としてもおすすめです。菅付さんにはさらに知りたい事を講座で質問できると、とても有意義です。
(後半になればなるほど、質問にはなんでも答えてくださるようになります。笑)


最後に

ひとつだけリクエストを入れたのは、女性の講師陣が比較的少なかったことです。女性で活躍されているクリエーターの方は、ご結婚されていて、お子様もいて、という年代の方が多いのかもしれません。そうなると、お仕事のほかにこのような講座に時間を使うことが難しいのかもしれません。

平日の20時から自分の勉強に時間を費やせるというのは、実はとても贅沢なことです。私自身直接お会いできるのが魅力で「来店受講」を選びましたし、その後、皆で軽く飲み行くこともできたのがとても楽しかったですが、そういったことができない環境にいても、講師として参加していただけたり、配信受講生の皆さんと親しく話ができるような会が作れるととても良い気がしています。

以上、「菅付雅信 スパルタ塾」についてリポートでした。
私自身、ここでの人、知識、すべての出会いを大切にしていきたいと思います。どなたかの参考になれば幸いです。


長々とお読みいただき、ありがとうございました。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?