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「変わらなきゃ」と思ったら、先に安全な居場所を確保したほうがいい

やりがいを感じられない仕事、成長しろとプレッシャーをかけてくる上司、うまくいかない人間関係に「今のままじゃだめだ、変わらなきゃ」と思いながら過ごしている人は多いのではないでしょうか。

そんなとき、がむしゃらにがんばるのでも、自己啓発セミナーに行くのでも、転職活動を始めるのでもなく、まずやるべきことがあります。

それは「安全な居場所」を確保することです。

それは家族かもしれないし、コミュニティかもしれないし、福祉施設やカウンセラーかもしれません。

自分をそのままで受け容れてくれ、何があっても戻って来ることができる場所。ありのままの自分と、変化しようとする自分の両方を受け止めてくれる場所です。

苦しい状況にあるときほど、焦りが悪循環を生む

世の中に「ありのままでいいよ」というメッセージが溢れる一方で、組織は往々にして、ありのままよりも適応を、安全よりも成長を求めます。そうすることが集団のためになるし、成長することは個人のためにも望ましいことだという価値観がある。

確かに、ビジネスの世界で「ありのままに」と言っていられる場所は多くはありませんし、停滞は個人にも組織にも不全感を生みます。「成長が全てを癒す」とはよく言ったもので、成長することで解決する多くの課題があります。

成長したほうが楽になる。

それは否定できない局面が確かにあると思います。

ただ、そのプレッシャーを一身に受けて、「自分が変わらなきゃ」「状況を変えなきゃ」思うときに生まれるのは「焦り」や「不安」。うまくいかないときに感じるのは「怒り」や「抑うつ」の感情です。

「なぜ誰も味方してくれないのか」「自分はやっぱり価値がないんだ」「自分には無理なんだ」と悲観的になりやすくもなります。

変化を志すことは、不安定さ・不確実さ・リスクと表裏一体です。うまくいくのかどうか、いつになれば変われるのか、常に「わからなさ」がつきまといます。このような「わからなさ」とそれに伴う負の感情の中では、視界はふらつき、創造性や合理的な判断能力が奪われてしまいます。

変化を志すことで、変化への道が閉ざされてしまうことがある。

だから、変わろうと思うときこそ、足場が揺らぐことのない定点としての「安全な居場所」を持ち、そこにまっすぐに立って変化の方向を見据える必要があります。足場があるからこその変化です。足場がないまま変化を志向することは、単なる漂流であり、これは本人にとって大きなエネルギーを浪費します。

家族や組織がそうした居場所にならないなら、コミュニティやカウンセラーなどの、サードプレイスを探してみると良いでしょう。

自分の存在のまま、受け容れてくれる場所。がんばらなくていい場所。素直に言葉を紡げる場所。

こうした場所が存在することで、冷静さを取り戻し、変化へのエネルギーを得ることができる。

世の中に「ありのままでいいよ」というメッセージが溢れているのは、必ずしも「変化しなくていいよ」ということではありません。それはむしろ「あなたはそのままで受け容れられる存在である」という「世界の安全さ」の表明です。 

そうして自分を受け容れることで揺るがない足場が増え、結果として良い変化につながっていくから、「ありのままでいいよ」というメッセージが意味を持っています。

会社が困難を抱えたときも、まずは「安全な居場所づくり」

困難を抱えたときこそ、安全な居場所づくりを。これは組織にも言えることです。

危機感を感じるほど、経営者は視野狭窄に陥り、的確な判断ができなくなってしまう。すると仲間の心が離れていく。結果として、事業がうまくいかないということに加えて、仲間ですらもいついなくなってしまうかわからない不安に晒されます。

だから、焦りや不安を感じるときほど、「安全な場所」を見出す・つくりだす努力をすべきです。

「何かあっても大丈夫。ちょっとしたことでは揺らがない」

こう思える土台となるような「安全な居場所」があることで、新しいことにチャレンジする力や、前向きな気持ちが生まれます。問題を見つめて一緒に不安になるよりも、未来を共有して一緒にワクワクしていたほうがずっと創造的になれます。

世界を安全な場所だと捉えられている人のほうが、変化する力を持てる。

なんとかしなきゃと焦るときこそ、深呼吸をして、安全な居場所、揺らがない何かを見出すために立ち止まってみるのが良いんじゃないかな。

という、当たり前のようで、いざとなると見えなくなりがちな話をしてみました。身近な人の中で焦っているように見える人にも、そんな気持ちで接してみてもらえるといいんじゃないかな、と思います。

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