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読書日記

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読書日記*死にたがりの君に贈る物語

『#読書の秋2021』の課題図書に『死にたがりの君に贈る物語』という本があって読んでみた。 知らないうちに涙が落ち、一気に読み終えた。 最初は何も情報を入れないで、ちょっと斜に構えた感想を書いてみようかと思っていたら、この作者の想いを読んでしまった。 もうただの感想は書けない。 純恋のようにファンレターを書いてみようと思う。 ただ著者が読んでくれればそれでいい。 ※下記、ファンレターですがネタバレを含みます。 綾崎隼さまへ 『死にたがりの君に贈る物語』電子書籍で読ませて

読書日記*『母性』と『宙ごはん』母性について

母親になるって誰にでもできることだろうか? 母親から生まれたわたしは、母性をたくさんもった母から愛を受け取っていただろうか。 考えたきっかけはミイコさん。 ご自身が『母性少なめ』と言われているが、「ミイコさんよりわたしのほうが!」と言いたくなって読んでみた『母性』湊かなえ(著) 対比するように「母性について」考えさせられた『宙ごはん』町田そのこ(著) この2冊から母性について考えてみた。 *** 『母性』を読んでまずもやもやしたのが、この小説に出てくる『父』たちは

読書日記『痩せても幸せになれない人たちへ』村上誠(著)

短大で栄養士の資格をとったあと、最初の就職先は健康食品を使ったダイエット指導の仕事だった。当時のわたしは食べても食べても太らない体質だと思っていた。実際は食べる量が多くはなかったことに気が付かず、太った人の気持ちがわからないと思っていた。 その後、双子を産んで家で仕事をするようになって、ブログに「スピリチュアルダイエット」というアフィリエイトサイトを書いたり、実際に何人か指導もしていた。キレイにやせていく人は、痩せてからどうしたいのかがはっきりしている。わたしもずっとそれを言

読書日記*『賢者の愛』山田詠美・友情と復讐といびつな愛

人はなぜ他人が持っているものを欲しくなるのだろう。 そして奪われたら奪い返したくなる。 この本を読みながら、大事なものを奪われたとき、取り返すために人生をささげることが、生きるささえになることもあるのかもしれないと考えながら読み進めた。それはひとごとじゃない感覚だったのです。 冒頭の文章からこころを持っていかれました。 かつて親友だった女の息子。 親友に父と想い人を奪われ、生まれた男を”自分ひとりのための男”に育てます。その関係は教師と教え子に限りなく似ているけれど、共犯

読書日記*もし自己啓発本を書くとしたら何を書く?

メンタル弱ってる時に、薬のように手にとってしまう自己啓発本。2日で読み終えたこの本は読みやすくわかりやすかった。 『ふしぎな村の村長の教え: やりたい事が見つからず悩んでいるあなたに読んでほしい! 引き寄せの法則の本当の使い方 本来の自分の願望を見つけ欲しい現実を作り出す方法』 タイトルながっ。 あやしい笑 タイトル回収どころかまんまじゃん……と読み始めてみたらメモしたくなる言葉たちが並んでいた。 ※Kindle Unlimitedで無料で読めます *** 赤ちゃんだった

読書日記*Alone Again−哀しみよこんにちは

今年最初に読み終えた本は、みこちゃん著『Alone Again』 あっという間に読み終えてしまった感があるけれど、後味がよく余韻を楽しむタイプの小説でした。 慎吾と、みゆきと、小姫が、小さな哀しい行き違いを重ねて、それぞれが光さす方へ歩いていく姿は、かっこいいし優しい。 この物語を読んでいて、ふと思い出したのが、バリ島へ一人旅に行った日のこと。誰も知らない世界へ行くことは、自由な気分になる反面、誰にも認識されないということだ。 バリには不思議なご縁があり『食べて、祈って

ひきこもり日記*人間は死んだらどうなるか

来週末に不用品を回収してくれる業者が来て、我が家のゴミを引き取ってくれる予定。よくこんなゴミを大事に収納してたんだなと思うものが出てくる。そんな荷物の中に図書館からもらってきた除籍本が何冊かあって、つい手にとって読んでしまう。大掃除あるあるだ。 はじめからこんな風に根拠を示したと主張されているが、結局は魂のはなし、奇跡と神秘、霊魂、宇宙、進化、死に関連した特異現象などなど、今も語られていることと同じようなことが述べられている。 ようは人間の死はやっぱりよくわからないんだろう

読書日記*短編集(アンソロジー)おすすめの2冊

読んでいる本で、わたしのまわりの空気が変わる気がする。 たぶんその本の世界の空気が流れていたまま、時間を過ごしてしまうからじゃないかと思う。 続けて読んだ2冊は作家さんも作品も変わり、いろんな空気が流れてた。 チーズと塩と豆と4人の直木賞作家がヨーロッパの国々を訪れて描く、味と味覚のアンソロジー。 ごはんを食べることは生きていくこと。だけどそれは楽しいことだったり、悲しんだり義務だったり、希望だったりする。 4人の作家さんの個性が出て、コース料理だけど、それぞれのお皿が旨

読書日記*『ツバキ文具店』小川糸さんは”おいしい”

読み終えたとき、おいしいものを完食した気分になる本。 小川糸さんの物語は、すべての作品が”おいしい” 『ツバキ文具店』は鎌倉を舞台に文具店と代筆屋を営むポッポちゃんが、バーバラ婦人や男爵やパンティーやQPちゃんと泣いたり笑ったりする物語。 手紙の代筆の仕事、人とのこと、そしておいしいものたちがいきいきと描かれる。 夏はそうめんや海でタイ料理。 秋は鰻と生ハムとシェリー酒。 冬は七草粥や京番茶や祖母の手紙を読んで涙を飲み込むように食べる白菜と葱の春巻き。 春はお花見で持ち寄

HSP*おすすめの本『うつくしい人』西加奈子

他人の目を気にして、びくびくと生きている主人公が生きてる世界は、きっとわたしが感じていた世界そのままだけど、なぜかやさしい。 西加奈子さんは、画家で小説家な、繊細なこころで、言葉にならない言葉を、カタチにしてくれる人だ。 彼女たちから目を逸らそうと努力したのは、彼女たちに腹を立てている人たちの苛立ちを感じたくなかったためだ。それが自分に向けられたものでなくても、人の苛立ちを見ると、体の奥がぎゅう、と縮こまるような感覚を覚える。そして、苛立たれいる当人、ほとんどの場合彼らはそ