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読書日記

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#日記

読書日記*死にたがりの君に贈る物語

『#読書の秋2021』の課題図書に『死にたがりの君に贈る物語』という本があって読んでみた。 知らないうちに涙が落ち、一気に読み終えた。 最初は何も情報を入れないで、ちょっと斜に構えた感想を書いてみようかと思っていたら、この作者の想いを読んでしまった。 もうただの感想は書けない。 純恋のようにファンレターを書いてみようと思う。 ただ著者が読んでくれればそれでいい。 ※下記、ファンレターですがネタバレを含みます。 綾崎隼さまへ 『死にたがりの君に贈る物語』電子書籍で読ませて

読書日記*まとめて17冊。生きづらさのいろいろ

6〜10月に読んだ本。愛猫の闘病中からお空にいってしまった直後は本をほとんど読めなくて、落ち着くと狂ったように乱読した。 思ったのは誰しも生きづらさをかかえて生きていて、それを描くと感動する小説がうまれるということ。 どんなになんでもできそうな人だって、生きることに難しさを感じているのではないか。 わたしは物語を読めることがしあわせだ。 秋の読書は冬へと続く。 『地球星人』村上沙耶香(著) ホラーなの?って感じたわたしは、普通すぎる思考にがちがちなんだと思った。常識を疑え

読書日記*『母性』と『宙ごはん』母性について

母親になるって誰にでもできることだろうか? 母親から生まれたわたしは、母性をたくさんもった母から愛を受け取っていただろうか。 考えたきっかけはミイコさん。 ご自身が『母性少なめ』と言われているが、「ミイコさんよりわたしのほうが!」と言いたくなって読んでみた『母性』湊かなえ(著) 対比するように「母性について」考えさせられた『宙ごはん』町田そのこ(著) この2冊から母性について考えてみた。 *** 『母性』を読んでまずもやもやしたのが、この小説に出てくる『父』たちは

読書日記『痩せても幸せになれない人たちへ』村上誠(著)

短大で栄養士の資格をとったあと、最初の就職先は健康食品を使ったダイエット指導の仕事だった。当時のわたしは食べても食べても太らない体質だと思っていた。実際は食べる量が多くはなかったことに気が付かず、太った人の気持ちがわからないと思っていた。 その後、双子を産んで家で仕事をするようになって、ブログに「スピリチュアルダイエット」というアフィリエイトサイトを書いたり、実際に何人か指導もしていた。キレイにやせていく人は、痩せてからどうしたいのかがはっきりしている。わたしもずっとそれを言

Audible体験記*読書日記番外編

Audibleの無料体験3ヶ月期間中、今までに4冊聴き終えました。 それぞれの本の感想と、聞く読書のいいところ、悪いところまとめてみました。 『月の立つ林で』青山美智子著青山美智子さん初体験がAudibleでした。できれば紙の本で読みたかった。短編がつながっていて章ごとに種明かしされるような。 朗読の声にまどわされ、イメージをつくってしまった。 『そしてバトンは渡された』瀬尾まいこ著名著。本屋大賞受賞作。 音で聞くメリットが音楽まであったなら…と思った。だから映像化したと

読書日記*ミステリーまとめて5冊。幻想と現実

ミステリーがなぜ好きかって? ゲームのように、原因と結果と過程と仮定が、交差する世界。 「真実はひとつ」と思える展開がたまらない。 答えなんかない、と思う毎日だからこそ、「真実はひとつ」と思いたいのかも。 『間宮宙のスランプ ホーソンの精霊』池田クロエ(著)6巻目であるこの作品は相変わらず、間宮宙の推理が「気持ちいい」 まみちゅうの痛快な推理のあとでも場面転換して、これでもかと伏線を回収し、からまった糸がすーっとほどけるように、謎がとけていく。 ホーソンの精霊はどこ? 伝統

読書日記*まとめて4冊。イタい小説の中のじぶん

小説の中にイタいじぶんをたくさん見つけてしまって、身悶えしながら読み進める。ネットと妄想と嘘と真実と。 この世界のあちこちで生まれてる感情を、見事に言葉にしてくれて、わたしは悶絶し、体感しながら、現実と向き合う。 羞恥心やマウントしたいこころとか、そんなじぶんに気がついて、本を読み終えて、また次のイタいじぶんが笑ってる。 ……イタいからこそ、理解できる気持ちがあるってことを笑ってる、わたしの読書記録。 『何者』朝井リョウ(著)直木賞受賞作。 ネット上のじぶんと、リアル世界で

読書日記*まとめて5冊。死ぬために生きること

最近、女性が描く本ばかり読んでる気がする。文章の中の「共感」がほしいんだと思う。わたしのきもち、書いてくれてありがとう。 じゃあ、男性の書く物語は共感できないのか? 中学生の頃、太宰治の『人間失格』を読んで、どうしてこの人はわたしの頭の中がわかったのかと衝撃を受けた。 今は女性であるじぶんをやっと受け入れて「共感」したいんだと思う。醜いところもずるがしこいところも。 人として生きていくことは、死ぬことに向かうことなのかもしれない。そんな生きることを考えた5冊の本のメモ。 た

読書日記*二度読み必至の2冊

小説の人称について考えさせられた本を2冊紹介します。 一人称は「私は」「俺が」な視点からの文章。 三人称は客観的な視点に基づいて語られる文章。 この2冊はまさに視点を利用して、いい意味で騙された本でした。 『あちらにいる鬼』 井上 荒野父と母そして瀬戸内寂聴をモデルに逃れようもなく交じり合う三人の特別な関係を、長女である井上荒野が描き切った衝撃作。 小説家の「みはる(寂聴視点)」と「笙子(不倫相手である井上光晴の妻視点)」で同じ時間を二者の視点で描かれている。 読み終わっ

ひきこもり日記*冬のにおいがした

風が冷たい。こころが寒い。 本を(漫画だけど)読んだ。うつ抜けの体験記。 「どうやって克服したか」ということより「なぜどんな経緯でこころの病気になったのか」が、すごく気になる。 そしてそっちに引きずられる。 じぶんが真面目すぎ、繊細だ、なんて言葉で片付けたくないという、抵抗がある。もって生まれた性分ならば、それとうまく付き合う方法を考えたい。 こころがあたたくなるには?と久々に100の願い事リストをつくってみた。願い事を100リストアップすることに苦労した。 日常を切り取る

読書日記*ふたりのきりこ

偶然にも『きりこさん』が主人公の本を2冊読んだ。 ふたりとも自分の人生を生きようともがいていた。 簡単だけど感想文。 『3千円の使いかた』の著者が贈る終活応援小説、と帯に書いてあるこの本は、ブックカフェに置いてあって思わず買ってしまった。 老親を介護して気がつけば結婚もせず76歳。老後の不安を解消するために桐子が選んだのは、「刑務所に入ること」だった。 パートナーである親友を亡くし、ひとりで生きていくこと。パートナーといえど他人という壁に慄き傷つき、その末に向かう先が刑務所

読書日記*まとめて10冊。もしPOPを書くとしたら?

じぶんで小説やら文章を書くようになって、本を読む感覚が変わった。それまでは「ああおもしろかった」で終わっていたことをアウトプットして初めて記憶に定着するってことを知った。何かの本で読んだけど「アウトプットまでが読書」とあって、今まで読みっぱなしで記憶にない本が多々ある。 小説を読み出してみて「これ読んだことある」と思うものの完全に忘れてる。忘れないために小説だって気になった文章にふせんを貼るようにした。図書館員としては本にふせんを貼るのは本を傷めるからあまりしたくないのだけ

読書日記*中田式 ウルトラ・メンタル教本 好きに生きるための「やらないこと」リスト41

本を読んで、それを素直に実践できる人ってどのくらいいるんだろう。わたしは読んだだけで理解したつもりになって、行動が伴ってない。読んだあとすぐに何が書いてあったか忘れるし。 この本も、わたしが今まで読んできた本と、あまり変わらないような内容を、中田さんの言葉で書いてある本だと思ってしまった。 でも考えた。この方はこつこつと思うことを実践して結果を出している。 それがお金だろうと人気だろうと、目に見える結果として残ってるし、本の内容に嘘はないんだろう。だったら本の内容をわたしが

読書日記*『賢者の愛』山田詠美・友情と復讐といびつな愛

人はなぜ他人が持っているものを欲しくなるのだろう。 そして奪われたら奪い返したくなる。 この本を読みながら、大事なものを奪われたとき、取り返すために人生をささげることが、生きるささえになることもあるのかもしれないと考えながら読み進めた。それはひとごとじゃない感覚だったのです。 冒頭の文章からこころを持っていかれました。 かつて親友だった女の息子。 親友に父と想い人を奪われ、生まれた男を”自分ひとりのための男”に育てます。その関係は教師と教え子に限りなく似ているけれど、共犯