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鑑賞ログ数珠繋ぎ「さがす」

ある作品を観たら、次はその脚本家や監督、役者の関わった別の作品を観たみたくなるものである。まるで数珠つなぎのように。
前回:舞台「ドライブインカリフォルニア」

https://note.com/marioshoten/n/n13a115026820

数珠つなぎ経緯

最近は前回書いた記事との“数珠繋ぎ”感はもっぱらない。気になった作品を、見るテンションと時間のあるタイミングで、見ているだけ。

わたしは楽天派なので基本買い物は楽天市場なのだが、先日どうしてもAmazonにしかない商品を買った際に、流されるままにアマプラの会員になった。お試し期間は1ヶ月。もう何度かお試しさせてもらっているけれど、あれってどういう仕組みなんだろう。インターバルが開くとお試しできるのかしら。

それはそうと、普段Netflix派だが、アマプラでしか見れない作品もあるので、この際いろいろと見ておこうとなった。そこで引っかかったのが『さがす』である。

見たいと思っていても、見逃す作品は五万とある。それは映画だけに留まらず、テレビであれ、本であれ、漫画であれ、絵画であれ、何でも。どれだけの、その欲望を、知らんぷりしてきたのか。そして忘れてきたのか。

配信は、それをもう一度掬い取ることができる(レンタルよりも簡単に)。当初の気持ちと同じではないだろうが、欲望を満たすことができる。成仏させられる。本当は初動の欲望を昇華させるほうが望ましいのだろうけど。

あらすじ

大阪の下町で平穏に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」。いつもの冗談だと思い、相手にしない楓。しかし、その翌朝、智は煙のように姿を消す。
ひとり残された楓は孤独と不安を押し殺し、父をさがし始めるが、警察でも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にもされない。それでも必死に手掛かりを求めていくと、日雇い現場に父の名前があることを知る。「お父ちゃん!」だが、その声に振り向いたのはまったく知らない若い男だった。
失意に打ちひしがれる中、無造作に貼られた「連続殺人犯」の指名手配チラシを見る楓。そこには日雇い現場で振り向いた若い男の顔写真があった――。

https://sagasu-movie.asmik-ace.co.jp/

暗い話である。ポスターからも分かるし、あらすじを読んでもハッピーになれるようは展開はおおよそ期待できない。楓が失踪したお父さんを探す中で、色々な事実が露になり、自分と向き合い、成長していく感じかな?お父さんを見つけてハッピーエンドかな、いや、悲しい結末系かな?そんな狭い想定の中で、見始めた。

(ネタバレあり)思ったのと違った

連続殺人犯を探しに行った父は、何らかの理由でその殺人犯に殺されてしまったと思わざるを得ない…みたいな展開に、割と初期で行きつく。
それから楓は連続殺人犯の山内と父が経営していた卓球場で遭遇し、後を追いかける。逃げられたが、男の履いていたズボンのポケットに果凛島行のチケットを見つけ、島に行くことにする。

ここから、殺人犯の山内の過去のストーリーへ。彼は自殺志願者を殺し、死体をクーラーボックスに保管するという行動を繰り返していた。そして彼は、かつて接点のあった楓の父、智と接触を図る。

さらに日付は遡り、今度は智目線の回想へと移行する。妻がASLで日に日に精神が壊れていく。そんな折、山内と出会い、妻を殺してもらう。その後ふたりは共同で自殺志願者を殺すようになる…。

ウソでしょ?

父は被害者だと思っていたのに。
ある意味、被害者でもあり、娘を守るためという思いもあり、同情の余地はあるけれど、結局は自分本位の行動をしているのである。最後は嘘をついて、連続殺人犯の逮捕に貢献したとして表彰までされる。

結局ラストは娘から真実を突き付けられるのだけど。

人間の業の深さを見せつけられたようで、本当に重たかった。
誰もが被害者になり加害者になり得る世の中で、誰が正義とか悪とか不安定な世の中で、それぞれが抱える問題は山積みで何したって解決しないけれど、それでも生きていかないといけないよ、と言われているようで。

でも最後、父は娘に救われたのかもしれない。
長い長い卓球のラリーの中、紡ぎ出される言葉たちは儚くも美しかった。

(ネタバレあり)今シーズン一のサイコパス発見

わたしはサイコパスが好きだ。
いや、正確に言うと、サイコパスを演じる俳優が好きだ。
サイコパスだけじゃなくて、DV男とかも好きだ。

本物のサイコパスに会ったことはないし、それこそ被害を受けたことだってない。あくまでも、物語の中だけでの、話。

たくさんの俳優がサイコパスを演じてきたと思うけれど、誰でもいいってわけじゃない。わたしの理想とするのは、塩顔イケメン系サイコパスである。以下ポイント。

①目が死んでる
②色気がある
③一見、ひ弱
④原則、塩顔

『ホリデイラブ』で「モラハラDV夫」を演じた中村倫也さん、韓国ドラマ『カプトンイ』で模倣サイコパスを演じたイ・ジュンさん、あと『怪物』で研究者で殺人鬼役だった向井理さん、とか最高。

やってないと思うけどやってほしいのは、倉悠貴さん。宮沢氷魚あたりも見たい…

そして、今回「さがす」でサイコパスを演じた、清水尋也さん。
今期ナンバーワンサイコパスを贈呈したいほどに、完璧だった。これから注目していく俳優さんの1人になりました。


(ネタバレあり)まさかの遭遇

楓と山内の追いかけっこシーンで、楓を救った近所のおばさんが私の師匠である紅壱子さんだったのは笑った。出演していると知らなかったので、まさかの遭遇。何度か巻き戻して見ちゃったよね。

大阪舞台の作品は知り合いの役者さんが出ていることがあるので、人探し大会みたいになるあるある。

次の作品

舞台「ランボルギーニに乗って」

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