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原点回帰

 私は35年の人生の中で、誰かに「ハマった」という経験が少ない(と思っている)。例えば、あるミュージシャンやアイドルが好きで、CD全部買って、全国ツアーに回って、グッズも買っていて、出待ちして、もうとにかくその人の話になるとどこで知ったんだ?的な情報も網羅していて……みたいなことは、あまりなかった。

 しかしそんな私でも、自分で「ハマった」という認識を持てたことが数回ある。

 中学3年生の頃、GLAYのJIROが大好きになった。キッカケは当時大ヒットした「口唇」。今でもこのPVを見ると、キュンとなる。

 ただ、お気づきだろうか。JIROが映っている時間は本当に短い。しかも顔がハッキリ見えにくい。ほとんどがボーカルTERUの歌っている姿である。でも私は、1:20の辺りで映るJIROの伏し目がちの表情にやられたのである。何と言うか、色気を感じた。その後もJIROが映るタイミングを必死で探し、チラッと映る度に歓喜した。全部見えているよりチラッと見えるほうがそそられるという、チラリズムの法則だったのかもしれない。それからというもの、GLAYが出ている番組をチェックし始めた。

 高校になるとその生活が出来なくなった。私はバレーボール強豪校(女子高)に特待生として進学したので、練習漬けの日々が始まったからだ。しかも寮生活だったのでプライベートはなく、テレビも見れず、もちろんライブなんてものは絶対に行けないという、学校と寮と体育館とを往復する毎日。だから私は、音楽情報誌やバンド雑誌「WHAT's IN」「PATIーPATI」「バンドやろうぜ」などでGLAYが出ようもんならすぐに買って、特集ページを大切に保管していた。それが唯一の楽しみだった。

 年に数回ある帰省の日(家に帰れる日)、たまたま地元の福岡ドームでGLAYのライブがあって、どういうわけか行けることになった。お目当てのJIROは、鉄腕アトムの頭のような形の変テコリンな白い被り物をしていた(笑)。当時JIROはツンツンに髪を立てるスタイルをしていたので、その帽子バージョンみたいな感じだったのだろうか。近未来風の設定だったのもあるのかもしれない。豆粒ぐらいにしか見えなくて、ほとんどスクリーンを見ていたような気がするけど、ものすごく楽しかった。帰りに、一緒に行った母にライブTシャツを買ってもらうくらいに。

 私は誓った。
 たとえ、GLAYが今ほどの人気が無くなっても、もし解散してしまおうとも、ずっとJIROを応援し続けると。いつかJIROと出会う日が来て、ふたりは・・・(これ以上は恥ずかしいので書かない)。

 そんな純粋な思いを持っていた過ごしていた私は、高校を卒業し、大学に進学した。女子高でバレー漬けの毎日から解放され、自由が与えられた。結果、私は弾けた。バレーボールは続けていたが、高校とは全く違う環境。いろんな人と出会い、遊んだり、勉強したり、遊んだり、遊んだり、、、とにかく楽しかった。念願の彼氏も出来た。

そして・・・


JIROを忘れた・・・あれだけ愛していたのに。


 大学ではバレーボール、勉強、恋愛、飲み会、バイト、、とにかく毎日忙しかったのだ(言い訳)。JIROへの熱はなくなり、「昔好きだった人」フォルダに入れられることになった。一つの青春が終わった。

 それから私は、ミスチルやKREVAが好きになったり、小栗旬や向井理にハマったりしたけど、どれも長続きしなかった(なんか上から目線だな)。もちろん今でも皆さんのことが好きだけど、ハマっているかと言われると、ちょっと違う。

そして、七夕の昨日。
目的もなく、ただダラダラとスマホで動画を見ていた。
ふと、JIROのことを思い出して、GLAYのライブ映像やPVを見ていたら


JIRO、スキーーーーーーー!!!!


 って、なった。昔の映像だけでなく、最近のものも見たが、もう40代半ばになっているにも関わらず、お変わりない姿がそこにあった。失礼な言い方かもしれないけど、マジで可愛かった(もちろんカッコも良い)。
 この私がチェックしていない間にはどんなことがあったのだろうかとWikipediaで調べたら、精神的に参った時代があって、その時支えてくれた女性と結婚した、と・・・結婚した、と・・・!!そりゃそうだ、結婚くらいするでしょうよ。分かってた、分かってたけど・・・

 少しのショックを抱えながらも、これからまた、GLAYの曲を聞いて、チャンスがあればライブにも行ってみようと、そう思った。昔好きだった先輩と再会して、やっぱり好きだったという感覚(もちろん先輩は既婚)。せっかく再会したんだから、たまに飲みましょうよ、的な。先輩と違って、JIROは飲んではくれないけど。自分が好きだったものを再び見つめなおすという、原点回帰にもなるかなーなんて。

 GLAYはかつて私が心配したような、人気がなくなったり、解散したりという状況もなく(厳しい時代はあったようだが)、相変わらずの人気だし、音楽もライブも素晴らしいし、メンバー全員かっこ良い。そしてずっと応援し続けているファンがたくさんいて、新しいファンもたくさんいる。きっと私みたいな出戻りファンもいるはず。

ここ20年の間にリリースされた曲をチェックしないといけないなー。

・・・20年。

よし。
わたし、やります。

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追記。
業界的には、さん付けで書きたいところなんですが
私的エッセイのため、敬称略で書かせて頂きました。

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