トレラン記⑨~30kmへの挑戦
2023年、8年ぶり4回目のフルマラソン(北海道)完走、初50キロ(沖縄)完走、そして2024年、トレイルランニングに挑戦する41歳わたしの物語。
トレラン記⑧はこちら
何だかヤな予感…前夜
トレラン記⑧はリアルにレースの前日の夜に、ロッジのベッドの中で書いた日記である。寝るにはまだ少し時間があったし、とは言ってもやることはないしで、noteでも書いて時間をつぶそう、と思って書いた。
だが、正直なところ、不安だったというのもある。
行きの新幹線でテンションが上がって駅弁を爆食いして(チキン南蛮弁当)、ロッジの夜ご飯もカーボローディングだからと張り切って食べた。当然どちらも美味しくて、満足だった。熱めのお風呂も最高だった。
翌日は最高のコンディションだろうと思って眠りについた。
夜中?朝方?
何かうるさい。外?隣の部屋?
何かが何かに当たる音。
雨だった。
「嘘でしょ…」
もう降らないと思っていた。でも確実に降っている。
明日の道はどうなっているんだろう。
眠気と不安の狭間で、何度も寝返りを打ち、何度も胃の重みを感じ、また眠りに落ちたかと思うと雨音で目が覚める、、、そんな夜を過ごした。
何だかヤな予感…朝
6時過ぎに起床した。
雨はまだ降っていたし、肌寒く、もちろん胃はもたれていた。
けれども朝食は7時にやってくる。
ちゃんと食べなきゃ途中でパワーが出なくなる。
これぞ朝食!という王道メニューが目の前に並んでいた。
中央に鎮座するオムレツにケチャップで「完走」と書いた(トップ写真)。
願掛けというか、神頼みであった。
天候や自身のコンディションも含めて、それくらい自信がなかった。
同じロッジに泊まっていた出場者の方は、モリモリ食べて、ご飯もおかわりしているのを尻目に、わたしはちびちびと出されたものを食べるので精いっぱいだった。
フルマラソンの時、胃がもたれて、えづきながら走ったことがある。
そんな自分がありありと目に浮かんだ。。。ヤな予感しかない。。。
出発の時間になってようやく、外が明るくなり、日差しが出てきた。
それだけは救いだった。
そしてスタートラインへ
宿の方に送ってもらい、スタート会場へ到着。
同じ宿の(ベテラン)ランナーさんと一緒に、ザックを整理したり、日焼け止めを塗ったり、荷物を預けたり、諸々準備を済ませたら、あっという間に開会式の時間。
その頃には信じられないくらいの晴天で、いい天気を通り越して暑い、暑すぎる。
人間というものはどうしてもこうも自分勝手なのだろうね。雨なら雨で濡れてしまうと文句を言うし、晴れなら晴れで暑いと愚痴をこぼす。
ただ、こうやってレースの開会式に出て、スタートラインに立てること、これを感謝しなくてはならない。
健康でいられた今日の自分、大会に関わる全ての皆様、天気などなどに、感謝。
時間となり、スタート位置に並ぶ。
もちろん後方からゆっくりスタートする。無理しない。
周りのランナーさんを見回すと、どう考えても猛者としか思えない出で立ちだもの。邪魔しないようにしないと。
スタートの号砲と共にお馬さんの先導でランナーの列が前に進み始める。
あぁ始まってしまった。
始まったからには走り出すしかない。
この足止まるまで、前に進むのみ。
最初の砦、大松山
スタートからカンカン照り、そしてロードは地味な上り。
上げ過ぎず、同じペースで走る。
そして、ようやく山にイン&そこそこの上りがスタート。
すでに長ーい歩きの列が出来ていたので、従って歩いて上る。
ここですでにかなり暑い、日差しキツイ…
とにかく無心で上る。
日差しはキツいが身体は動く。
胃はまだモタレてるけど、比較的いいペースで大松山にチェックイン!
一旦登れば下りがやってくる。
登りは歩きながら、下りはスムーズに行きたいところだったけど、ぬかるみゾーンがビックリするくらい恐怖だったのと、胃のモタレが影響してペースが上げられない…
でもこれが現実、向き合って走るしかないのだ。
オエッと吐きそうになりながら、滑りそうな道にビビりながら、少しずつでも前に進むしかないのだ。
そうしていると第一エイドが登場!
と、その前に少し並んでトイレにピットイン!
トレランで初めてのトイレを経験(笑)
水分を補給して、コーラを頂いて、補食はとても無理だったのでスルーして、また森の中へと突き進んでいくのであった。
ダボスの丘と牛と根子岳
第2エイドは中間地点と言える場所にある。
ここを過ぎると、いよいよ最難関の根子岳を迎え撃つことになる。
時間は11時過ぎ。スタートして2時間。
信じられない汗の量と暑さが我々を襲う。
水道もあったので、身体に水を撒いて冷却してから、またギアを入れ直す。
ゲレンデを通り過ぎ、しばらく森の中を登ると、ダボスの丘が登場。
石で出来た小さな塔だ。
ここで他のランナーさんと写真の撮りあいっこをして、お互いを激励し、再び走り出す。
非常にのどかである。
トレランをしていなければ……芝の上にでも寝ころびたい気分だ。
でもダメだ。進まねば。
両足の前腿(膝の上)が攣り始めている。
と、牛の放牧エリアを走っていることに気付く。
門番のおじさんからの声援を頂く。牛になりたい、、、そう思った。
そしていよいよ根子岳の登りが始まる。
ミニエイドで水分だけ補給し、この2,207mの山に立ち向かう。
立ち向かえているとは到底思えなかった。
ただ、歩いて登った。つまり登山。全編、登山でお届けした。
岩ゴロ系の歩くのさえ気を遣う道だったから仕方ないっちゃないけども。
すれ違う登山者の皆さんは笑顔で応援してくれるけど、多分こっちは死にそうな顔だったはず。
「あと少しよぉ」なんて言ってくれるけど、少しが遠い。頂上が見えない。
けど頂上はいつでも突然現れる。
岩々の先に、手招きをするスタッフさんが見えた。
「がんばってぇ!」「もう少しですよぉ」
これは夢か幻か。
足は痛いが止めるわけにはいかない。
そうしてようやく根子岳山頂にチェックイン!
山々とゲレンデの二色の緑のコントラストが美しい。
レタス畑の白いビニールがなんだか可愛い。
これまた他のランナーさんと撮りあいっこして、健闘を称え合う。
座り込んでしまいたかったけれど、まだ先は長い。
ジェルを出したり、荷物を整理して、すぐに走り出した。
ゴールデンタイムがやってきた!
根子岳を過ぎるとすぐに小根子岳があり、その先は熊笹に囲まれた道をひたすら下るルート。
トレランってのは不思議なもので、登りでいくら足を酷使しても、下りは使う筋肉が違うためか、足が攣っていたのが嘘のように、元気に走れるようになる。
まるでスーパーマリオのスター獲得後のように、軽快に走るわたしがそこにいた。まさに無敵状態、ゴールデンタイムが訪れたのだ。
ただ、前にも後ろにも人がいなくて、一本道なのにここで間違いないのか不安に駆られた。あまりに調子が良すぎたせいもあるだろう。
ただトレランの神様は甘くない。
やがてぬかるんだ道も織り交ぜてきやがった(口悪いw)
2度ほど転びそうになって、筋がおかしくなりかけた。
しかもスマホを落としていたのをそこそこ進んでから気付き戻ったら、後ろから来た方が拾ってくれて九死に一生を得た。
熊笹、ぬかるみ、石、岩、根っこ、草、砂利、ゲレンデ……
この世の全てのロードの種類をまとめたように、様々な道が現れた。
その中で自分の得意な道の種類や、道に合わせた走り方も何となくつかめたような気がする。
そして「ゆるめの下り&フラットは結構得意」という自分の特性も分かった。後半の下りは急こう配なゲレンデを除いては、一定のペースで走れたからである。
おまけの登り
第2エイドは復路でも経由する。
昨晩お世話になったロッジの方もエイドにいて、思わず嬉しくなる。
が、信じられないワードが聞こえる。
「あと2.5キロ。登りあるよ」
嘘だ。
YAMAPではもう28~9㎞来てるのに…
しかも登りだと!?
絶望。
エイド脇の日陰にはどっしりと腰を下ろし、もう1ミリだって走るもんかってランナーさんが数人いた。
その気持ちわかる。
だけど、ここまで来て止めるわけにはいかない。
時間だってまだある。
行ってきます!と元気を振り絞り、最後の登りに挑む。
うおおおおーーーーー!!!
と走ろうと思ったけど無理。
歩いて登る。
登り切ったらあとは下る。
新緑のゲレンデを下る下る下る。足痛い痛い痛い。
でも何だかあと少しっぽい。
スタッフさんが立って誘導してくれている。
道路を渡って曲がって進めばゴールだとか言ってる!
さぁ最後のスパートだ!
っても全然スピード出せないんだけども。
ゴールのアーチが見えてきた。
ようやく終わる!!
ゴール!!!!!
まず、もう走らなくていいんだという安心感(笑)
後に、達成感。楽しかった。
やればできる。
止まらなければゴールできる。
自分で自分を褒めたいです!
余談
しばらく開催されていなかったり、コースの難しさや時期的なものもあったりしてか、ロングの参加者が200人で、しかも女性はたったの28名。
ゴール後、付近にいた女性ランナーの方と話が盛り上がり、その時間もとっても有意義で楽しかった。
しかもおひとりの方には駅まで送ってもらうというご厚意を頂き、感謝感謝でした。
トレイルの知り合いが増えてますます染まりそうな気持ちと、100kmとか100mileにはぜってぇ手を出さないぞ!って言う気概を持った1日になった。
帰りの新幹線ではお待ちかねのビールを飲んだけど、あんまり美味しく感じなかった。もういらない身体になっちゃったのかな?やっぱ生ビールじゃないとダメなのかな。
ということで、次の野沢温泉37kmまでの間、再び禁酒中でございます。
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