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ほったらかされ旅~三ッ峠山編~

久しぶりの旅行記。

友人と山梨へ登山&温泉が目的の旅へ行ってきた。
そもそも友人の「ほったらかし温泉へ行きたい」の一言から始まった旅。
何とも興味をそそられるネーミング。ほったらかし。
”おもてなし”だの”ホスピタリティ”だの叫ばれるご時世に、ほったらかすですと?友人曰く、前回行った時は工事か何かで入れず、その情報はどこにも載っておらず着いてから知ったと言う。

この温泉に行くために計画が組まねばならぬ。
まず手軽にしかし登り応えのある山を、次にほったらかし温泉で朝日を見たいので温泉近くの宿を探した結果、導かれたのが以下。

山:三ッ峠山(1,785m/4~5時間のルート)
宿:MEKIKI古民家(宿から車で8分)

というわけで友人とまず向かったのは三ッ峠山。

山梨百名山に選ばれており、またの名を『開運山』と呼ばれ有名。

奈良時代に修験道の祖といわれる役行者小角(えんのぎょうじゃおづの)により開かれ、その後空胎上人が入山して信仰を広めた。霊山として今も信仰にまつわる多くの史跡が残っているらしい。また富士山の眺めも格別だというから期待も高まる。

日も長くなったし、時間も余裕があったので下道でのろのろと向かう。
11時過ぎに登山口に到着。東京よりやや寒いとあって、満開の桜がお出迎え。登る前からテンション上がる。

同行人M

登山道は、野生感を残しつつ適度に歩きやすく、話しながら登れるけど運動量も担保できるという、かなり理想的な山。途中、〇〇塔だの××観音だの何かしらの石碑があり(意味は分からないけど)、写真スポットも豊富にある。また残雪がかなり残っており、雪山感も楽しめる。が、道が泥だらけで滑りやすく、歩くのに神経を使う箇所もあり。

☟詳細を知りたい方は、山専用ログをご覧あれ☟

途中、知らない番号から着信が入る。出てみると予約した宿からであった。

「16時までにチェックインできますか~?」

いう内容だった。予約時点では16~17時の間と指定していたし、今の登るペースだと17時になりそうだった。食事付でもないのに早く来てほしいと言われるのが不思議だったので聞いてみると「スタッフがいないかもしれないから」という理由だった。

なぜ、スタッフが、いない??
誰かはいるだろう、宿なんだから。

その常識は見事に覆された。なんとその古民家はスタッフが駐在しないというではないか。チェックイン(要は支払い)を済ませたらスタッフは帰るため、スタッフがいる時間に来てほしいという依頼だったのだ。その事実に驚愕しながら、どう頑張っても16時に着けそうにない。そう伝えると「分かりました!何とかします!お待ちしてます!」と電話口でノリと勢いの良さそうなワタナベと名乗る男は言った。

その後友人と「ワタナベはバイトか否か」の話で盛り上がった。おそらくバイトリーダーで自分が早く帰りたいから、我々に早く来てほしいと頼んできたのではないか、という勝手な妄想で盛り上がった(事の顛末は宿編で)。

16時に間に合わなくてもいいと言われても、ワタナベのために急いでしまうのが人間の優しさというもの。きっとワタナベは奥さんと子ども(もしくは彼女)との約束があるのだ。16時過ぎには帰れると伝えてしまったのだ(もちろん妄想)。

私たちは気持ち急ぎ目で歩を進める。しかし後半はぬかるみ道、急こう配、岩道が容赦なく襲ってきて、ペースよく進めない。ぜいぜいはぁはぁなりながら最後の階段を昇り、ようやく山頂へ到達。

本来は道標の左側に富士山が見えるはずなんだが…

が、あの絶景だとウワサの富士山が一切見えない。雲ってるんだか、ガスってるんだか、1ミリも見えない。そこにいる気配すらない。しかも、晴れているのに、だ。なんなら太陽も隠れ始め、さっきまで暑かったのに肌寒さすら感じる。なので、山頂でサクッとご飯を食べ、すぐに下山を開始。なんてったってワタナベが待っている。

と、途中、階段の残雪を整備しているオジサンがいた。「あざーす」と通り過ぎようとすると、気さくに話しかけてくる。何やら地元の方で三ッ峠山にしょっちゅう登っているらしい。そこで「なぜ開運山と呼ばれるか」「道すがら出会った不思議な石碑たちは何か」など聞いてみると、水を得た魚のように丁寧に説明してくれた(割愛する)。途中、クイズコーナーまで始まり、まるでブラタモリ状態。シュポッっという効果音と共に「!」マークが脳裏に浮かんだ。もちろんクイズには正解した。

何という石でしょうか!?

色んな話を聞きながら下山していたら、あっという間に登山口に到着。オジサンに別れを告げ、宿へと車を走らせる。

なんだか不思議な登山だった。
こんなに第三者の介入が多い登山は初めてだ。
でもそのおかげで、楽しかった。

富士山にはほったらかされたけれど、、、ね。

(古民家編に続く)

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