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【2021/8/25】熱に浮かされない人生

熱に浮かされる
1 病気で高熱のためにうわごとを言う。
2 前後を忘れて夢中になる。のぼせ上がる。

この10年、いやもしかしたら20年近く、熱というものとは縁がない。

そういうと大抵の人は「羨ましい」「すごい」などと誉めそやしてくれるのだけど、当の本人はしょっちゅう熱を出す人のほうがむしろ羨ましい。これはよく言う、隣の芝生は青く見える的な、ないものねだり的なことだとは思う、思うけれど、”熱を出して休む”ことほど正当なお休み理由はないのではないかと、その正当な理由を使ったことのないわたしはどうしても思ってしまうのである。

今のご時世、熱を出すのはとてもリスキーだというのはある。だから誰しもが体調に気を付け、必要のない外出や遠出は避け、人との関わりを極力減らしながら、生活をしている。それでも、感染してしまう人は大勢いる。それは仕方のないことだ。なぜならウイルスは目に見えないから。目に見えない敵とは戦えない。むしろ戦う相手ではない。

そんな熱とはしばらく無縁に過ごしてきたわたしだが、先日熱と相まみえる局面がついにやってきた。

それは今、巷を賑わせているワクチンの「副反応」というやつである。

基本的には2回接種する。そして2回目がどう足掻いたってほとんどの人(若い人)に副反応が出ると言う触れ込みだ。

わたしは怯えた。

なぜなら、もう長いこと熱が出ていない。熱が出たときのシミュレーションが出来ない。

人は熱が出た時どうなるのか?
熱が出たらどうしたらいいのか?
てか熱って何?

こんな具合であるから、とりあえずTwitterで「副反応」を検索して、みんながどういう準備をしてどう過ごしてどう乗り越えたかをチェック。そうしつつも水さえあれば死なないだろうと高を括っている自分もいる。一番こわいのは熱が出ることではなく、むしろ熱が出ない(副反応がない)ことであるかもしれなかった。

そうしてやってきた接種2回目。1回目と同じようにものの1分で終わり、その場で少し待機し、静かに帰宅。接種部位は少し痛みがあるがその他異常なし。家でも安静に過ごし、念のため痛み止めを飲み、当日は何事もなく終了。

翌日の朝、気持ちだるい。
そして恐る恐る体温を測ると38.7℃。

熱、キターーーーーー!!!!

確かにだるい、身体が熱い(気がする)。それでも動けるし、怯えるほどの症状は今のところ出ていない。枕元に水をセットし、薬を飲み、再びベッドへ。それから起きるたび検温して水を飲み、寝て、また水&検温、寝て、を繰り返していたら、夜になったのでまた薬を飲んだ。相変わらず熱はあった。それでも37~38℃を行き来するようなレベルで、気力はないけれど必要最低限は動けるし、頭も動く。

夜になったけど、ひたすら寝続けた。それしか熱に対抗する術を知らなかった。というか、おそらく術はそれだけだろう。

寝たり起きたりを繰り返しながら思った。

人って、こんなに眠れるんだ。

って。

気付いたら翌日の朝だった。

昨日とは何となく違って感じた。体温は平熱に戻っていた。たぶん32時間くらい寝ていた。それくらい寝たら副反応による熱はピタッと治まった。それからも何もなかった。

あっけない。

そう思ってしまった。

これは有難いことだ、本当に。頭では分かっている。副反応で苦しんでいる人はたくさんいる。そんなツイートをたくさん見てきた。

でも今回熱ってこんな感じだっけと、熱の感触をすくうことはできなかった。ただただ、寝た。それだけ。それが熱の症状だと言うならそうだろう。そもそも私はこれまでも数は少ないが熱とそうやって戦ってきた記憶がある。たくさんの水分を取って、ひたすらに寝る。そうすると翌日ピターっと熱はどこかへ行っていた。きっとそういう体質なのだ。

ありがとう、丈夫なこの身体。

ありがとう、寝たら治るこの身体。

ありがとう、熱に浮かされないこの身体。

そういえばわたしは熱に浮かされた記憶がないな…。
色んな意味で。


そしてさらにその翌日、まったく眠ることが出来ず、42時間起きていたとさ。

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