【2021/11/18】おいこれそれあれおれおまえ
おいこれそれあれおれおまえ。
これは呪文ではない。
何でか分からないけれど、記憶にあって、最近思い出した言葉。
それぞれの意味は分かるけれど、なぜこの並びなのか、語呂合わせなのか、言葉遊びなのか、それは分からない。
分からないけれど、なぜ思い出したかは分かる。
男性に「お前」と呼ばれたのがキッカケだ。
最近あまり聞かなくなった呼び方だし、この時代に男性が女性に対してそんな風に呼ぶと誰かがスッ飛んできそうだ。しかし(意外と)わたしはそう呼ばれることに抵抗はない。
ただ、言葉を紡ぐ人間として、「お前」という言葉がどういう人に対して、どういうタイミングで、どんな思いがあって発せられるのか、それは知りたいと思った。
大抵、わたしをお前と呼ぶのは年上の男性だ。そして比較的距離感の近い、何かしらの先輩。そして会話の中で自然に発せられる。ケンカの最中だったり、嫌味や憎しみを込めて言われたり、ということはない。それに(旧時代ではあるが)夫が妻に対して「お前」と呼ぶのをよく聞く。と言うことは、親しみの呼び方であるとも言える。
一方で、年齢や立場が下の者から上に対しての呼び方ではないので、高圧的な響きもある。活用形の「おめえ」は素行悪めの若者が敵対する相手に向かって発することの多いイメージ。あと、女性はあまり使わない(類語でいうと「あんた」あたりか)。そして、特殊な癖がある人を除き、そう呼ばれて嬉しい人は少ないと思われる。
そして、タイトルの「おいこれそれあれおれおまえ」に戻るが、もしやこれは旧時代に亭主関白の夫が妻に対して頻繁に発していた言葉の並びではないかと思われる。お前を嫁に♪と歌われるくらいだから。
「おい」と妻に声を掛け、「これ」「それ」「あれ」で指示し、自分を「おれ」と呼び、妻を「おまえ」と呼ぶ。それだけで会話が成立してしまうという妻の驚異的な理解力。そして三歩ならず十歩くらい下がってついていくような、そんな健気な妻!今だったら男尊女卑と言われてしまうだろうけど。
最近は言葉選びが難しい。
ダイバーシティ、男女平等、マイノリティが叫ばれて、それに見合わない言葉や表現は時として糾弾される。
わたしは、ちょっとした差別的な発言があってもそんなの気にならない、問題ないと流せるタイプだが、それに傷ついたり、ストレスを感じる人も大勢いる。それは女性だからではなく、男性であっても、同じことが言える。
だから最近ものすごくその類の言葉に敏感になっている。その人はどうしてその表現を使ったのか、意図的なのか無意識なのか、深読みしてしまうクセがついた。
結婚しないの?
恋人できた?
太った?痩せた?
女性らしく、男らしく…
結局その言葉自体が問題なのではなく、言い方だったり、お互いの関係性だったり、タイミングだったりする。それは正しくハラスメントと同じ構造。で、当人ではなく、周りがギャーギャーと騒ぎ立てて、コトを大きくしていることも多々ある。とてもデリケートな問題。
言葉は難しい。
だからこそ大切に。
しっかりと向き合って選ばなければ。
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