見出し画像

【2021/4/19】チャップリンと星新一

今日はチャップリンの映画を見て、星新一の本を読んだ。狙って見たわけではないけれど、どちらもシニカルでアイロニカル。そして、わたしが大好物なジャンルである。

『モダン・タイムス』
ライムライトに続いてチャップリン鑑賞二作目。ライムライトよりも好きだった。ライムライトは哀愁パートが多かったけど、モダン・タイムスはハチャメチャさと時代風刺が効いていてとにかく笑える。あらすじは調べればどこでも出てくると思うので割愛。

好きなポイントはめっちゃドリフなところ。ネジ回しが身体から染みついて離れなくて結局最後は工場をめちゃくちゃにしちゃうところとか、動けない人にご飯食べさせてあげるけど全然食べさせられてないとことか、ボロ家の木が頭にドーンって落ちてくるとことか。しかも天丼(同じボケを繰り返すこと)で。志村けんや加藤茶(敬称略)をお茶の間で見て育った世代としては「ドリフの師匠はここにおったんかぁ!」ってしっくり来過ぎた。

あとチャップリンの身体能力の高さに恐れおののいた。覚醒剤でラリってる動きとか、目隠しローラースケートのシーンとか、適当な歌詞を歌いながらのパフォーマンスとか、もはや人間とは思えないスーパープレー連発って感じで目が離せない。サイレント映画なのに動きや表情で十分過ぎるくらい伝わるし、たまに出てくるセリフの文字も効果的で、なんか染みてくる。

映画の説明を見ると「機械文明を徹底的に批判してみせた名作コメディ」とあり、工場での単純作業や効率化への批判、貧乏や孤児が生きていく苦しさをありありと、しかし笑いを交えて表現している作品だ。だが、結局それは85年経った今でも問題となっているテーマだし、当時チャップリンが生み出した笑いは今でもとてつもなく面白い。

人類、人間、生物、って結局、根本は変わらないのかもしれないなぁと、諦めにも似た感情も湧いてくる。

もうそれはチャップリンも気付いていて、だから最後に

「smile」

って言ったのかもしれないと思った。

☆ ~ ★ ~ ☆ ~ ★

そして、星新一。

図書館で自由に持って帰っていい本のコーナーで見つけた『星新一 YAセレクション「不吉な地点」』。名前は知っていたけど読んだのは初めて。読み終わっての感想は

今までどうして読んでこなかったのだ!!バカたれが!

と自分を殴りたい気持ちになった。本当にわたし好みのテイスト。分かりやすく言うと「世にも奇妙な物語」っぽい。ある種、ラーメンズのコントにもちょっと近い。読みながら、

どういうこと?え?どうなるん?今なに?どこ?

みたいな思考を経て、オチで

なるほどー!やられたぁ~!そう来たかぁ!うまい!

となる。全部が全部そうではないけれど、心のどこかに気味悪さ、後味の悪さ、居心地の悪さの”世界三大悪さ”を感じる、秀逸な作品ばかり。人間の狡さや思い込み、自己中心的な考えを、少し遠くから見て冷笑している感じ。ストーリーを他人事として読んでいるから面白いはずなのに、なんだか自分に言われているような、もしかしたら自分に関わることだったようなそんな気がするから、”世界三大悪さ”を感じるのだろう。

とにかく好きなのだ。

こんな作品を書きたい。つくりたい。


クリエイトすることを続けていくための寄付をお願いします。 投げ銭でも具体的な応援でも、どんな定義でも構いません。 それさえあれば、わたしはクリエイターとして生きていけると思います!