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托鉢とゲテモノ市場、消えた傘。

旅のくだらない噺手帖「ミャンマー・ラオス旅編」
前回『恐怖の〇〇がやってきた』も是非お読みください。

翌朝5時。早く起きた。やはり私は朝からトイレに直行した。しかし寝たせいか、いくぶんか気分は良かった。ちなみに早く起きたのはお腹のせいではなく、托鉢を見に行くことになっていたからだ。準備をしているとあることに気付いた。

ーー折りたたみ傘がない

雨季のルアンパバーンで雨具がないのは非常事態である。ない理由はすぐに分かった。昨日の屋台に忘れてきたのだ。多くの人が出入りする屋台。もう無いだろうと覚悟を決めた。だが、念のため見に行ってみることにした。

レンタサイクルを走らせ、朝のルアンパバーンを走る。風が冷たくて心地よい。昨夜は見えなかった風景が見えてきて、ホテルから中心部への距離感や道なりが分かってきた。昨日行った屋台もすぐに分かった。しかし人がいない屋台というのはどうしてこう物悲しいのであろうか。生気を吸い取られた空っぽの箱だった。座ったはずの場所で傘を探してみたが、やはりなかった。やっぱり無いのか……残念な心と連動して、お腹もギュルった。

気を取り直して、また自転車を走らせる。すぐに托鉢中のお坊さんたちを見つけた。

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施しを与えているのは観光客がほとんどだった。参加型ツアーになっているらしく、敷物や椅子、ご飯の入った籠などすべて揃っていた。何だか味気がなかったけども。

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しかしラオスの町に僧の姿はよく映える。

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自電車で走っているとメコン川に辿り着いた。ルアンパバーンの中心部はメコン川と支流のナムカーン川に囲まれた細長い舌のような形をしている。そこにギュッと寺院、ホテル、レストラン、雑貨屋などが連なったこじんまりした町であることが分かった。

それから私たちは朝の市場へ繰り出した。昨日のナイトマーケットとは打って変わっての青空市場、しかし何でもアリのゲテモノ市場でもあった。

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捌きたての鳥。

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捌きたての魚。デッカイなまず(多分)。

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取り出したての幼虫。

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血しぶき上がる肉売り場。

もう何でもアリ。他にもカエル、ドジョウ、見たことないキノコ、亀、川ガニ、香辛料・・・観光客にはおおよそ手も付けられない、まさに現地民が買い物に来る市場だった。その勢いに圧倒されながら、写真を撮るのが精いっぱい。売られている揚げ物にでも手をだそうもんなら、再びお腹が暴れ出すこと間違いなし。その雰囲気だけを楽しんだ。

極めつけは。

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ハサミで鼻毛を切るオジサン。(おそらく店の商品)

ラオスっていい国だな、ルアンパバーンっていい町だな。そう思った。そう思ったらお腹が空いてきた。私たちはホテルへ帰って、心から安心できる朝ご飯を食べた。結局、傘は見つからなかったけれど。






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