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自粛生活note 2020/4/19

自粛生活の最中、不要ではない外出をすると、ランニングしている人が増えたなぁという印象を受ける。家にじっといるのだから、気分転換に、運動不足解消に、と許される範囲で、然るべき装備で、走る分には問題ない。走る人々を見ながら、新年早々マラソン大会に出たことを思い出していた。

2020年が幕を開け、約2週間経っての1月13日。わたしは佐賀の伊万里にいた。実家は福岡なので近いのだが、佐賀ってほとんど行かない。まして伊万里には一度も行ったことがなかった。有名な伊万里焼は実家で使っていたのかもしれないけれど。そんな馴染みのない場所にいたのは、伊万里ハーフマラソン2020に参加するため。ここ2年ほどマラソンにハマっている父に誘われたので、帰省がてらエントリーした。父とは一緒に富士山に登ったり、全国各地に旅行したり、なにかと遊んでいる。親子と言うより、友人に近い関係になってきている。

3年前、丸亀ハーフマラソンに出場したときは、父よりも30分くらい早くゴールした。2年前は20分くらい早かった。それから父は鍛錬を重ね、ひとりで地元のマラソン大会に出場し、着々と記録を塗り替えていた。その度にLINEで「〇〇分で走ったバイ!」と完走証の写真とともに連絡がきた。もう2時間切りも間近だった。だからわたしは一緒に走るのが怖かった。きっと次は負ける。なぜならわたしは全くトレーニングしていないから。

怯えながら大会当日がやってきた。その2日前の登山で膝を痛めていたわたしはもう完走すら危うい状況だった。スタートの号砲が鳴り、後方から走り出した私たちはジリジリと前に進んだ。スタートのアーチではゲストの谷口浩美さんが声援を送ってくれていた。走り出して1キロかそこらで、父は「行くバイ」といって、わたしを置いていった。わたしも「行ってらっしゃい」と見送った。そこからは孤独な戦いである。膝の痛みと戦いながら、三度もやって来る登り坂を牛歩で進む。

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何度、膝の痛みのせいにして止めてしまおうと思ったか。しかし、悲しいことに、膝は意外と痛くなかった。ただ、練習不足で足が重たいだけであった。走り終わった後のご馳走、ビール、そして払った参加料のことを考え、ひたすら耐えた。前に進みさえすれば、必ずゴールはやって来る。タイムじゃない、完走することが記録なのだ。森脇語録(By森脇健児さん)から色んな言葉を引っ張り出し、ひたすらに歩を進めた結果、気がついたらゴールしていた。ゴールまでに父親の姿は一度も見えなかった。

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※右は偶然参加していた母の友人

結果、父は2時間切りは達成しなかったものの、自己ベストを更新。そりゃそうだ、娘を置いて走り去っていったんだから(負け犬の遠吠え)。わたしは2時間8分、見事・・・そう見事に完走した(過去ワーストだけど)。

マラソンって、いくつになっても記録更新できるスポーツ。父のように60過ぎて始めても、きちんと練習を積めば確実に結果が出る。ひとりでもできるし、仲間ともできる。わたしは今のところコンスタントに走れてはいないけれど、たまに大会に出ると少しは練習もするし、運よく完走できればやっぱり嬉しいし楽しい。

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※ゴール直前。母の友人が撮ってくれた

今はマラソン大会も軒並み中止で、父曰く、走るモチベーションが保ちにくいらしいけれど、いつか思う存分走れるその大会のために、みんな走っているのだろう。正直、運動不足解消のために走り出した人と、常に走っている人は一目瞭然である。ふくらはぎが、違う。あと、ウエア。高価なものを着ているとか、オシャレとかではなくて、ウエアを着こなしている。走り慣れていない人の格好は、新社会人がスーツに着られているのと似ている。まぁ、それでもいいじゃない。短時間でも、マスク付けたままでも、走れることに感謝して。なるべくステイホームで。たまに、ランアウトで。

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