左右のバランスはとても大事だと思った件

相変わらず歯医者に通っております。

治療のため麻酔をしたのですが、なんか、麻酔を打った左半分の感覚がなくなりました。これ、実に久しぶりだなと。くちびるの感覚がなくなるというか。

記憶だと子供の頃行っていた歯医者では麻酔を打つと感覚がなくなるのは当たり前だったような気がします。感覚がなくなるというのは大袈裟でありますが、痺れるというか、飲み物を口に含むと垂れる、みたいな。子供の頃は少し心配になってペシペシ叩いて感覚を取り戻すんだ！とやってました。意味はないけど。

その後も歯の治療で麻酔を何回も打ったことがありますが、そういえばこの感覚が麻痺をする、という経験はいつの間にかなくなっていたと思います。治療する歯はもちろん痛くもなく、かといって治療後痺れるような感じにもならない。

まあ、今回は久しぶりの感覚だなあと思いながら歯医者を後にしたのです。

帰り道、例の吉野家がやっぱりあるので入りました。

2時間くらいは食事をしては行けませんという掟を僕は破った。少し迷ったが、この感覚でぜひご飯を食べてみたいという好奇心が抑えられなかった。

目の前に水が置かれる。

手にとって唇に当てる。

おお、左だけ冷たくないぞ。

口に水を含む。

なるほど、感覚がないのは上の左唇周辺であって下唇に力を入れれば水がこぼれることはない。

こんなことを考えて、自分のアホさに失笑し水をこぼす。

そんなんで牛丼が運ばれてきた。

やはり口を開ける感覚もいまいちつかめないのでこぼさないよう注意する。なるほど、噛むことはできるのだが、咀嚼していくうちに上唇が無意識に前に出て来てしまう。こうちょっと、悔しがるというか、それに少し虚しさを加えたような顔になってしまう。

これではなんか食べながら牛丼にまつわる切ない想い出に浸っていると店員さんに思われてしまう。

手で口を塞いでみる。

おお、唇を手で固定することによって何ら問題なくモグモグすることができる。素晴らしい。

でも想像してみてほしい。一回一回手で口を覆いながら食べるのはどうみてもおかしい人だ。しかも自分の馬鹿さ加減にたまにニヤついてしまっている。

何とか普通に食べれないものかと頑張っているうちにこう、コツがわかって来て慣れてきた。

ただ油断するとご飯粒が

「ピュッ！！」

と口から出ていくので油断してはいけない。

味噌汁も油断ならない。普通に飲むと唇の左側が冷たい（感じない）、右側が熱い、とどこかのフレンチのスペシャリテのような経験が出来る。そして口に含むと火傷する。

こうして書くと長く感じるが全てをいたってスピーディにこなした。

時間にしてわずか10分。

おそらく誰も気にしていなかったであろう僕の虚しい時間は終わった。

もう帰ろう。

店主はいたって真面目です。

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