カレー職人ルドク 第四話
僕は、一人でインドからアメリカへ出てきて行くあてがない。仕方がないから、公園で野宿する事にした。寒くて、食べる物も無くて、お腹が空く感覚さえも分からなくなってしまった。
公園でホームレスになって、3ヶ月が経った頃、見覚えのある顔の人に声を掛けられた。「ルドク、こんな所で…。」
「店長…。」
「クビにして悪かったよ。まさか、どこも頼るあてが無いなんて思ってなくて…。今日は、お願いがあって声を掛けたんだ。ルドク、戻ってきてくれないか?」
「え…。」
「インド人のお客さんがな、お前のカレーじゃなきゃ嫌だって言うんだよ。その中には、大富豪の人もいてさ、クビにしたって言ったら、怒られちまって…。店に来なくなってしまったんだよ。
しばらくは住む場所も、食べ物も援助するから、戻ってきて働いてくれないか?」
「もちろん!僕で良いなら、喜んで!」
僕は、即答した。
それから、店長のボブと一緒にレストランへ向かった。僕は、落ち込んでいた心が一気に明るくなった。
お父さん、見ててね。僕はアメリカで一番のシェフになるよ。
おわり。
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