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🐇③ただの素人だった私が【大和なでしこ】になるまで

↑の続きです。

<前回までのあらすじ>
無謀にも「大和なでしこ」という褒め言葉を将来の夢にしてしまった私は、その第一歩として、着付け教室の門を叩いたのだった。

私の本来の姿はコレだ!!

大和なでしこになるためには、何はともあれ、着物が着れないことには話にならない!

情熱に突き動かされるままに、大手着付け教室の無料体験レッスンに参加しました。

着付けの先生に教わりながら、浴衣の着付けを初体験。
ほとんど先生が着付けてくれたようなものでしたが、それでも初めて自分で着ることが出来て、体の底から喜びが沸き上がりました。

(これこれ! 私はずっとこれが着たかったんだ!)

今思えば、借り物の浴衣だったのでサイズはあってないし、私の趣味とはかけ離れている色と模様でしたが、それでも自分の本来の姿はコレだという妙なしっくり感がありました。

じーんと感動している私の前に、着付けの先生は満面の笑みで入会の書類を差し出しました。

着付けの先生「よく似合ってるわよ~。ぜひ入会してね」

「はい!是非!」とやる気満々の私は、書類に目を落としてギョッとしました。

(高い!高すぎる!!)

そこに記載されていたレッスン料は、私の夢見心地だった頭が一気に冷えるほど高額でした。
たしか、全コース受講すると総額100万円は超えたレッスン料だったと思います。一番お手頃なコースでも30万円以上はしたかと。
その頃の私はアルバイト生活の薄給だったので、どう考えても入会は無理でした。

どうにか断ってこの場を離れたいのに、冷や汗が背中を流れるだけで言葉に出来ません。

先生がニコニコ顔で圧力をかけてきます。
その笑顔がこわい!!

そうこうしているうちに、別の先生がやってきて、

「あら、あなた、とても似合っているわよ」
「こんなに似合っているのに、始めないのはもったいないわ」
「今ならキャンペーンでプレゼントがあるのよ」

二人で背中を押してきます。
もう褒め言葉は恐怖でしかありません。

(入会してしまうべき? いやいや、こんな大金払えないってば! でも、この雰囲気は断れないし、ずっとやりたいと思ってたことだから、勇気を出して入会した方が──)

覚悟を決めて清水の舞台から飛び降りようとした──その時でした。

ここでは私の目指す大和なでしこは学べない

ふいに、視界の隅に映った3名の着付けの先生たちを見て、私の頭はすっと冷静を取り戻しました。

その先生たちは、担当していたレッスンが終わって気が抜けたのか、素人の私でも目を背けたくなるような、ひどい立ち居振る舞いでした。
袖をバタバタ揺らして腕を振り回し、裾が乱れることを一切気にせず大股で歩きまわり、ぺちゃくちゃ大きい声でおしゃべりしながら、嵐のように教室を去っていきました。

それは、私の目指す大和なでしこ像とはかけ離れていました。

(ああ、私の目指す大和なでしこは、ここでは絶対に学べない……)

きっぱりと入会はお断りしました。

後日、たまたまあの教室がひどかったのかもしれないと思い、大手と呼ばれる着付け教室の体験レッスンに片っ端から参加しましたが、どこの教室も高額で、先生の立ち居振る舞いは微妙でした。

浴衣も一人で着られない素人が何言ってるんだって話ですが、着付け教室で習うのはどうしても納得出来ませんでした。

(せっかくお金を払うのなら、着付けだけでなく、立ち居振る舞いや礼儀作法も教えてくれるところがいい!)

初心者のくせにだいぶ生意気でしたねー。
でも、あのとき入会しなくて良かったと思いますので、私にショックを与えてくださった見ず知らずの先生方には感謝しております。

そんな着物に袖も通せない素人のくせに、「私、大和なでしこになりたいんだよね」と周りの友達に言い続けていた生意気な私に、運命の出会いが訪れるのです。


続きます。


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