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渋谷の思い出

20も半ばを過ぎた時から、渋谷方面に行くと違和感が出てきた。乗り換えで通り過ぎたり、東急に美術展を見にいくか、せいぜいヒカリエにプレゼントを探しにくらい。

けれど渋谷PARCOのリニューアルオープンを、様々な人がSNSで発信しているのをみて、行ってみたいなと久々に思った。

うーん。久々に思ったは本当だろうか。

いつからか自分が若者ではなくなった気がして、行きたいのに素直に行けなかっただけな気もする。

そんな街、渋谷。


渋谷の街は情報過多。
ポスター、電子広告、歩く人々、見知らぬお店。

ハチ公口からセンター街を歩いて入ってくる情報に何一つ親近感を覚えられない恐怖感!

タピオカじゃない飲み物、知らないアイドル、知らない俳優しかでてない知らない映画の告知、知らない歌、まるで韓流アイドルのような180センチ超えの黒尽くめの客引きの男たち。

怖い、怖いよ。


でも、少し抜けると懐かしい気持ちがガーっと溢れる。この道すごく知ってる。懐かしい。

帰りに友達の専門学校に度々入り浸っていたのだけど、それが渋谷PARCOの先だった。

あ、この角にあった店で友達バイトしてたっけ。

はじめて高校をサボってHMVに行った帰り、制服のままタバコをふかす子たちとすれちがったな。

私なんか朝から制服でふらついて補導されたらどうしようと内心ハラハラしていたのに、この違いはなんだ。

「これが東京、渋谷!!」とびっくりしたっけな。



そんなことを思い出しながら
新生渋谷PARCOに着く。

こんなに広かったっけ、PARCO。

新しくておしゃれなものに圧倒されたし、
ちょこちょこ外に広場があって開放的。
大人が楽しめるビルへと様変わりしていた。

飲食店も気楽に入れる変わった店が多くて、
今度きたらあれ食べたい!と思う店が多かった。

新しいものを楽しみながら、
けれどやっぱり懐かしさを探してもいた。

ここにも思い出がチラホラ。

自分にとって、こんなに思い出が重なってく街だったんだ、渋谷。

専門のクラスメイトと衣装を探しにきた店は無くなってた。

学校に着て行って怒られた服を買った店ももう無い。

センター街からロフトに抜ける道はいつも変な客引きに声をかけられたけど、もうおばさんには誰も声をかけては来ないだろうし。

変わっていく街だし、私も変わったし。
いつまでも私の知っている渋谷は残っていない。

けれど、どんなに新しくなっても場所から思い出は消えないし、いくらでもあの頃が透けて見えるもんなんだな。

若い頃には、その時の流行にワクワクするだけだった。見えるものが全てだった。

20代半ばは、この街の流行は自分を必要としていない疎外感を感じていたのかもしれない。

30代になってみると、街はあくまでも街でそこに意味づけをするのは自分なんだと気がついた。

流れ去って行ったものの懐かしさ、これから去っていくものの儚さ、そして新しいものがまた生まれるだろうという期待感。

そんな風にまたワクワクできる街として、受け入れることができた気がする。

またここに思い出を重ねよう。
懐かしがったり、驚かされたり、楽しみ尽くそう。

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