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卒業おめでとう。心からあなたを尊敬しています。~母より~

始まりは突然でした。
「学校休んでもいい?」
今まで小学校も皆勤賞並みに通学していたから
ビックリしたっていうのが
正直な気持ちでした。

コロナ前は少々体調が悪くても
「好きな授業があるから」
「お友達と遊びたいから」
「今日の給食ソフト麺だから行くー!!」
って言って私の話は振り切って
ランドセル背負って元気に行っていました。

トラブルも何一つ起こすことなく
何か行事があれば、司会をしたり、
委員会に入って、楽しそうな笑顔。

優しいあなたは、
お友達の悩んでいることに耳を傾けて
良く聞いてあげていたね。

私が仕事が忙しくて、疲れて帰ってきたときは
イライラしているのがわかったのかな。
そっと手紙を置いてくれていたり、
「ママ、今日疲れたの?大丈夫?」って
気にかけてくれてたよね。

いつも元気で明るい笑顔。
あなたの心の異変に気付いてあげられなかったね

きっと、「お母さんが疲れているのに
話をしたら大変だからやめとこう。」って

そんな風に自分の気持ちをふせてしまって
だんだんと心にモヤがかかり始めたんだね。

あなたが「休みたい」って言ったのは
お母さんへの最後のヘルプだった。

もう限界はとっくに超えていたんだよね。

不登校と向き合う

自分が学校に行っていたころ
土曜日も午前中は学校がありました
(半ドン)と言っていましたね。

とにかく楽しくて楽しくて、
友達と会えるのが嬉しくて
日曜日なんかいらないのにって思っていました。

学校に行けない理由がわからなかった。
突然休みたいと言われたとき
「2,3日休めば気持ちが変わるだろう」
「今だけだろう」
と思っていました。

一週間が過ぎても学校に行けない子どもを見て
思わず言ってしまったのは最悪の言葉でした。

「なんで学校行かないの?元気そうじゃん。」

言ってはいけない言葉だと後で知りました。

「なんで行けないのかなんて、自分にもわからないからしんどいのよ!」

初めてあなたが大きな声を張り上げて
気持ちをぶつけてきた瞬間でした。

涙と鼻水で顔を真っ赤にしながら
肩を大きく震わせて泣いていました。

「だめだ。この子が壊れる」
そう思いました。

学校に行けない子どもは、
「行かない」のではなくて「行けない」のです。

そこの意味をきちんと汲み取ってあげないと
子どもの心を受け止めてあげるのは難しいと思います。

自分では行きたいと思ってる。
だから前の晩はごく自然に学校の準備をする。
けれども、
朝になると服を着替えるのが遅かったり、
顔が曇っている。

そんな日が続くと
やがて朝起きてこなくなり、
着替えもしなくなる。

毎朝学校にお休み連絡するのも
毎日なんて言おうかと悩んだりもしました。

毎日お腹痛いっていうのも変かな・・
子どもが行きづらくなるのは嫌だし・・

でも、学校に、担任の先生に
本当のことを知っていてもらった方が
子どもの味方になってくれるかも。

そう思ってからは、
「気持ちに余裕がなくて。」
「気持ちがしんどくて、学校にいけません。」
と伝えるようにしました。

幸い、学校へは行けないものの、
自分の部屋からは出てきてくれるので
毎日顔を見ることはできました。

ご飯も欲しいものとか、
何が食べたいとか教えてくれるので
親子の会話はできるので、
なるべくコミュニケーションをとるようにしました。

学校に行けなくなった理由は
わたしからは一切聞きませんでした。

先生から聞かれても、
決して学校に行けない子どもを否定することはせず、子どもから話してくれるまで待ってもらうようにお願いしました。

学校行事も一切参加できませんでした。
それでもいいと私は思っていました。

何も状況が変わらないまま半年ほどが過ぎて、
担任の先生からカウンセラーの存在を
教えていただきました。

「スクールカウンセラー」の方がいるので
相談してみては?ということでした。

お母さんと子ども
子どもだけ
お母さんだけ

など、いろいろなパターンで相談を聞いてくれるので、もし子どもや親に聞かれたくないことも
知られずに相談できますよ、と。

早速子どもに提案してみました。

「いやだ。知らない人に話すことなんて、
なにもないから」

何度かスクールカウンセラーの先生と
お話しする機会を設けてくださったのですが
一度もお話することはできませんでした。

「自分の状況を全く知らない人に
どこからどこまで、どうゆう風に話をすればいいの?それを考えただけで、もの凄く疲れる」

そうだね。って返事をしながらも
自分の気持ちは飲み込んでいました。
きっと今の状態の子どもに無理にカウンセリングをさせる方が負担がかかるかも、と判断したからです。

毎日毎日ネットで調べる日が続きました。
「不登校児を持つ親」
「不登校の理由」
「どうやったら学校に行けるのか」
など、時間があけば情報を探す毎日でした。

でも結局自分の子どもに合うような情報は見つけられず、またさまようことになるのです。

病院を受診することも考えました。

子どもにどう伝えようか、悩んで悩んで。
嘘はつかず、隠さず、本音ではなそう。

そう思って聞いてみました。
「病院行ってみる?」
子どもから返ってきた言葉はあっさりしていました。
「精神科?わたし、心の病気なの?」

その言葉を聞いて、この子がここまで何かを
感じ取っているなら、
話してみようと思いました。

「学校に行けない理由として、心が病気のときがあるんだよ。でもね、お薬を飲んだら良くなるから。一緒に行ってみない?」

子どもの答えは「行かない」でした。

正直、半分そんな気もしていたので
がっかりもなかったですし、そっかそっかと
受け入れられました。

カウンセラーにも相談しない。
病院にも行かない。

学校としてはもどかしかったのかもしれません。
あるいは、わたしたち親子のことを本気で
心配してくださったからこそなのでしょう。

熱心にカウンセラーの希望を聞いてくださり、
近所のフリースクールを紹介してくださったり
本当に子どもの気持ちになって考えてくださって
感謝の気持ちでいっぱいです。

あ、そうなんですよね。
フリースクールも行けませんでした。
というより、こんなところだよって話をしたら
「行かない」だったので。
無理強いは決してしませんでした。

子どもの不登校で辛かったこと

子どもが不登校になって一番つらかったことは
自分を責めてしまうことです。

子ども自身が、
自分が学校に行けないことに対して
「自分は最低だ」
「みんなは当たり前のように学校に行っているのに、自分は休んでるなんてダメな人間だ」
と自分を責めてしまいます。

親は
子どもが学校に行けないことに対して
「わたしの育て方が間違っていたんだ」
「わたしはダメな親なんだ」
「子供を育てる資格なんてないんだ」
と自分を責めてしまいます。

子どもの不登校を経験して
今、同じように悩んでいる子、
悩んでいる親御さんに向けてこれだけは
言わせてください。

学校に行けないことは悪いことじゃない

何度も何度も伝えたいです。
学校に行くことが正しいことじゃない。
学校に行かないことも選択肢の一つです。

この世の中で一番大切なのはあなたの命です。
あなたが毎日穏やかに過ごせることができれば
それよりも大切なことはありますか?

始めの頃、子どもが学校に行っていないことで
周りから理由を聞かれたりするたびに
肩身の狭い思いをしていました。

「学校に行くことがふつう」

そんな風潮がまだまだ根強いのかなとも
感じました。

でも、学校に行けなくても
毎日ご飯を食べられて、笑えて、生きてる。
これだけで十分じゃないですか?

誰にも恥ずかしい生き方をしていません。
それでいいんです。
どうどうと胸を張っていいんです。

今、思うこと。

子どもさんの不登校で悩んでいる親御さんは
暗くて長いトンネルを歩いている気分でしょう。

(こんな毎日がいつまで続くんだろう・・)

時には自分を責めて、時には自分を励まし
一生懸命子どもに向きあっているほど
辛くなってしまいます。

学校という場所に馴染める子もいれば
馴染めない子もいる。

大人だって職場が合わなければ転職しますよね
子どもにはそれができない。
ただ、生まれた場所が近所だったっていう理由だけで、同じ登校班になり、同じ学校になる。

「友達をつくりなさい」
「みんなと仲良くしなさい」
「一人だけ違うことをしてはいけません」
「人に迷惑をかけてはいけません」

人間は一人ひとり違うのに?

周りと協力していく、調和を大切にする。
生きていくうえでとても大事なことです。

けれど、
一人ひとり成長するスピードが違うものです。

クラス30人が「右」と思っても
自分だけは「左」と思うこともある。

頑張って頑張って頑張れることができる子は
頑張ればいいと思うし、
頑張って頑張ってしんどくなる子は
休憩しながらでいいと思うんです。

学ぶ場所はたくさんあります。
自分の部屋でも公園でも
自分が学びたいと思ったら、そこが教室になるんです。

友達やたくさんの人との関りを学校では体験できます。
学校にももちろん素晴らしいところもあります。

一番大事にしなくてはいけないのは
子どもの想いです。

子どもの不登校に直面し、
最終的には子どもの気持ちを一番に優先し、
「自分はこのままでいいんだ」
「そのままの自分でいいんだ」
と自分自身を大切にする方法を
子どもに伝えてきました。

これからたくさんの楽しいことが待ってくれている、輝かしい未来へ子どもを送り出せることに
とてもホッとしている気持ちです。

やがて大人になり
様々な困難にもぶつかるでしょう。

そんなときは自分一人で何でも解決しようとせず
人に相談する
周りに頼ることも
必要だってことを思い出して進んでください。

「卒業式には出席するから」
そう決意するまでに相当悩んだことでしょう。

一歩前に進めたんだね。
今までたくさん頑張ってきたね。

お母さんは、
そんなあなたを心から尊敬しています。
いっぱいの幸せをくれてありがとう。
あなたが大好きです!


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