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適度に良質なエンタメを補給していたい

幸運なことに、この状況下で2本の舞台に足を運ぶことができました。
ありがとう友人。そして仕事をしてくれ私の枠。
(オタク用語で自分の名義のFCでの枠を自枠と言います)
そんな私が足を運んだのは
「赤シャツ」「ブライトン・ビーチ回顧録」の2本です。

「赤シャツ」はご存じ夏目漱石の「坊ちゃん」を赤シャツの視点で描いた戯曲です。
基本的に私夏目漱石氏の書く作品の主役が好きではなくて(笑)
坊ちゃんもそこそこいけ好かねえなって思ってたんですけど
これを観てしまうとますますいけ好かないなとw
逆に赤シャツが不憫すぎて
「頼む、マジで幸せになってくれ……」
と思わざるを得ないと言うか。
噂に振り回され、真実を信用してもらえず孤立して
最後には周囲に誰もいなくなる選択をする赤シャツの背中の寂しさよ…。
一応、小鈴という芸者が寄り添ってくれるのですが
マジで小鈴と幸せになってほしい。
個人的には弟の武右衛門役の松島聡くんを目当てに行ったのですが
初舞台とは思えない演技でした。
いたずらが好きで、兄の赤シャツをとある理由(後述します)からあまり尊敬できない武右衛門を見事に演じ切っていました。
彼は舞台映えすると思うので、これからどんどん良い戯曲に呼ばれて頂きたい。

先日観に行った「ブライトン・ビーチ回顧録」はニール・サイモン氏の自伝とも言えるストレートプレイ三部作の一つです。
主人公はユダヤ人一家の末っ子ユージン。
思春期まっさかりな彼は女の子のことに興味深々。
兄のスタンリーとは女の子の話ばかり。
武右衛門の1個下の14歳なのですが、それを演じる佐藤勝利くんの無邪気さがまさに思春期の元気な男の子で素晴らしかったです。
舞台はいかにそれっぽく見えるかが重要だと思うのですが
勝利くんも聡くんも「それっぽさ」が充分に出ていましたね……。
一家に様々な困難が降りかかっても、ユージンだけは努めて明るい。
それは空気を読んでいるときもあるし、自然な時もある。
その機微が非常に見事でした。
個人的には、神保悟志さんが大好きなので
生の演技を観られて本当に幸せでした……。
一家の良き理解者であり、家族の前では弱音を吐かないけれど
常に何かを抱えている父親を素敵に演じていらっしゃいました。

個人的にめちゃくちゃビビったのは国の違いだからか
同じ戦争下の話なのに、武右衛門とユージンの戦争と軍隊の捉え方や受け止め方の違い。
「お国のために」でお馴染みの日本特有の軍国主義教育を受けているからか
将来は陸軍学校に進むことを望み、
北海道に住民票を移して出征を回避した兄を「非国民」となじる武右衛門に対し
兄のスタンリーがギャンブルで給料をすべて使い果たし、陸軍に志願すると言った時
「もしかしたら僕も出兵して、同じ部隊で戦うかもね!」
と無邪気に返すユージン。
私はそれを聞いて
「えっ、そんな捉え方なん?!」
とマジでビビりました。
教育の違いなんすかね……。
ユージンは本当に「子供らしく育った子供」なんだなと。
対して日本は「子供が子供らしく生きられない国」だったのだなと……。
似たような時代の物語だからこそ、それを強く感じました。

ジャニーズの舞台って見栄えだけでしょ?と言われそうですが
そんなことも案外ないんですよ脚本がJ喜〇川じゃなけれb(ry
……もとい、外部の脚本ならば良質の作品に出会えます。
(何も変わってねえよ)
映画もそうなんですけど、私は適度に良質のエンタメを補給してないと枯渇してしまう人間なんだなと再認識してしまったので
この状況下でも常に良質のエンタメを補給して生きていきたいと思いました。

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