まりも流、1人の夜の過ごし方。
最近、夫が仕事で2泊3日家を空けたことがあった。その間、私は息子と2人。平日の昼間は普段から2人で過ごすことが多いが、夜を2人で過ごすのは初めて。
実は私、夜が苦手で。実家暮らしから、そのまま結婚したので、一人で夜を過ごすという経験がほぼなく。息子はいるものの、早々に寝てしまったら、そこからは実質私一人になるわけで。
さて、どうしたものか。夫がいなくなる前から、密かにそわそわとしていた。そして迎えた夜。
《1日目》
午後7時。息子とお風呂に入り終わる。とりあえず音がないと不安なので、テレビをつける。でも、今日に限ってあまり見たい番組がない。ドラマもこの日のために溜めておこうと思ったのに、我慢できず昼間に見てしまった。
録画一覧を見てみると、少し前に録っていたジャニーズの番組を見つける。再生して、トークを見て笑い、パフォーマンスを見て感動。とりあえず気に入ったシーンを何度も繰り返し見て、その後はその音楽を流しながら、息子と遊ぶ。ジャニーズよ、ありがとう。
その後、夫から珍しくラインが来て、喜びながら返信。そして息子も珍しく、目を爛々を輝かせながら元気に起きている。普段なら9時を過ぎると早く寝てくれ〜と思ってしまうことも多いが、今日は違う。できればもう少しだけ起きていてくれ。なんなら、私が安心して寝るのを見届けてから寝てくれてもでもいいよ。そんな気持ちになる。
だんだん眠くなってきたのか、目を擦り始める息子。それでも眠らないその姿に、息子の勇姿を見た気がした。お母さん、俺がいるから大丈夫。あーあーというその声が、そんなふうに言ってくれているように聞こえた。ありがとう、息子。無邪気な笑顔の裏に隠れた、その男気に惚れそうだ。いつか彼女ができたら、その男気で大好きなその子を守るんだぞ。
午後10時。ついに息子が就寝。私も眠くなってきたので、そのまま寝る。息子とジャニーズ(と夫)のおかげで、1日目はあまり怖がらずに眠ることができた。
《2日目》
午後8時。今日もジャニーズのパフォーマンスをテレビで見ながら時を過ごす。しかし、ここで問題発生。昨日その男気で私を守ってくれた息子が力尽き、すでにおやすみモードに入っている。
これではテレビはつけられまい。そそくさとテレビを消し、部屋を暗くする。まだ8時過ぎだというのに早速心細くなる。暗闇の中、YouTubeで音を出さずに、ジャニーズのMVを眺める。
午後9時。息子が就寝。私も色々と動画を見たり、ネットサーフィンをして過ごすが、ついに手持ち無沙汰に。夫からのラインもさすがに今日は来ない。
静まり返った部屋。なんだか鍵の開く音が聞こえた気がして、恐る恐る玄関を確認する。気のせいだった。その後も、近くを通るバイクの音にビクつきながら、何か集中できるものがないか探す。
その時ふと目に入ったのが、読みかけの小説だった。伊坂幸太郎の短編集「逆ソクラテス」。面白くて丁度続きが気になっていたところだった。これだと思い、早速読み始める。(ここから少しネタバレがあります。)
伊坂さんの物語といえば、殺し屋が出てきてお互いを殺し合ったり、主人公が何者かに襲われて逃げ惑ったりすることも多いが、この物語は小学生や中学生が主人公のことが多く、半分以上読んだがそういうシーンは出てきていない。
なので安心しきっていたんだと思う。読み始めること数ページ。突然、なんの前触れもなく通り魔が出現。公園で刃物を振り回しているではないか。ええー、このタイミングで。普段なら平然とそのまま読み進めるが、今日は1人の夜。それ怖くて読み始めたのに、これではますます恐怖に拍車をかけてしまう。
ひたすら怖いホラー映画とかならすぐさまやめていただろう(そもそも見ないけど)。でも、恐ろしいのが伊坂マジック。怖いのに、続きが読みたくて仕方がないのだ。しょうがないので、その止まらない手でそのまま読み進める。
すると、ありがたいことに割とあっさりと通り魔のシーンは終わった。ほっとしてまた物語の世界に入り込む。そして章の残りが見えてきた頃、まさかの再び通り魔が登場。なんと復讐にやってきたらしい。しかも今度は拳銃を持っているではないか。いや、頼むから今回だけは復讐なんてするなよ。そう思いながらも、もうここまできては読み終えるほかないので、そのままその章を読了。結局、やっぱり面白かった。
でも、そのまま眠りにつくと怖過ぎるので、再度YouTubeを少しだけ眺めてから寝ることにした。そして午後10時、私は夢の中へと誘われた。
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以上が私の2日間の夜の過ごし方でした。いやー、やっぱり大人が自分しかいない夜というのは怖かったです。何かあったら息子を守らなきゃ、とか色々考えてしまい。夫がいてくれる安心感を再認識できた時間でした。
とはいえ、なんだかんだで色んな人たちに守ってもらった夜。この下に私を助けてくれた方々のURLを貼っておくので、もし皆さんも心細い夜があれば、ぜひ頼ってみてください。
それでは、また。
●SixTONES「わたし」
至極のミディアムバラード。まるで映画を見てるかのような美しい世界観で、その世界に入り込めて、心細い夜を忘れることができます。暗闇で見た方が雰囲気が出るので、明かりのない夜にこそおすすめ。
●なにわ男子「サチアレ」
とにかく明るくてポップなMV。その楽しげなメロディと前向きな歌詞で、1人の夜の寂しさを吹き飛ばしてくれます。賑やかでキラキラしているので、窓を開けたら爽やかな朝なんじゃないかと錯覚するほどです。
●伊坂幸太郎「逆ソクラテス」
伊坂さんがデビュー20年目で、真っ向勝負で挑んだという作品。これぞザ・伊坂幸太郎という感じで、至るところに伏線が散りばめられています。ぐいぐいと物語の世界に入り込めるので、夜の怖さを忘れたい時におすすめ。ただし、まれに通り魔が出現するので注意。