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小舟をおろす、小舟ならおろせる

図書館で偶然出会った一冊の本。

自分のために生きる勇気 / 白木夏子

「自分のため」が苦手だけど「自分のため」に行動できるようになりたくてモヤモヤしている、そんな状況だったからか、タイトルに惹かれた。

本を読む中で、これからも大事にしていきたい、と感じた言葉があったので記録する。



勇敢と無謀をわきまえる

私は、自分の理想の生き方と正反対な生き方をしていると感じていた。
それならば、と自分の ”やりたいこと探し” をはじめた。

自己分析することで、自分が興味のあることや得意なこと、価値観が見えてきた。でも、それを仕事に繋げるにはどうしたらいいか分からなかった。

デザインに興味があるけどデザインスキルはないし、いきなりデザインの仕事ができる会社に飛び込むことはできない。
新卒でもあるまいし未経験で雇ってもらえるところなんて限りなくゼロに近いはずだ。

あーあ、生き方間違えた。
もっと子どもの頃から自分の興味あることや好きなことに夢中になる経験をしていれば今頃こんなことになってなかったのに。大人になってやりたいことを見つけるところから始めて仕事を変えようなんて無理なんだ。
そう思っていた。

冷静に考え、今飛び出すのは「無謀」だ、と判断しました。では、どうするか。考えた結果、「やりたいことをすぐにできるような力を身につけてから、次のステップに進めばいいじゃないか」と気づきました。戦える武器、ステージを自分で用意してから、大きく舵を切れば良いじゃないか、と。
私はそれを「小舟をおろす」と呼んでいます。

第1章 大船の舵をきる前に、小舟をおろす
p.61

この一文を読んでハッとした。

いきなりデザインを仕事にするのは確かに「無謀」だけど、
将来、デザインを仕事にするために働きながらスキルを身につけておいて、
やりたいことを実現できる状態になったら「勇敢」にチャレンジしたらいいんだ。

文字に起こしてみると当たり前のように感じられるのに、頭の中だけで考えている時は0か100の思考になっていた。

いきなり大きな夢に向かって突進して上手くやりたい というのは軽率だし甘い考えだけれど、
夢に近づくために少しずつ現状を変化させていくことなら私にも出来ると思えた。

小舟ならおろせる。


どんな「忙しい」がいいか?

せっかくなら、自分が楽しくて幸せで、その上で誰かのためになっていると実感できる「忙しい」がいい、と私は思っています。

第2章 ゼロからでも、行動を起こす
p.100

私が心の奥でふんわり思っていたことが言語化されていた。

適応障害をきっかけに休職していることを人に話すと、
労働時間の長さや土日・深夜でも電話がなればPCを開かないといけないという面に注目して「その働き方はそりゃしんどいよ」と言われることが多い。
実際私も「こんな働き方したくないのに!」と頻繁に口にしていた。

じゃあ、定時であがれる仕事に転職するか?
人事に頼んで定時で働く条件で復職させてもらえれば、働きたいと思うのか?

うーん。。。なぜかしっくりこない。
残業を絶対にしたくないということじゃない。
踏ん張り時には必要な残業だってあるし。
残業時間が根本的な原因じゃないなら何が苦しさの原因だったんだろう。

その答えの一つが、「せっかくやるなら楽しみたい」という気持ちだったことに気づかされた。

仕事を楽しめていなかった。

全く興味がなかった訳ではない。むしろ担当プロジェクトが決まった時は、自分のやりたかった分野に近くてワクワクしたし、休みの日に自主的にネットで調べたりしていた。

プロジェクトが始まると思うように進まなくて、
スケジュールやタスクの管理が煩雑になって、
周りの人は私以上に忙しそうで相談を躊躇して。
不安と自責がものすごいスピードで雪だるま式に大きくなっていた。

私じゃなくて他の人がリーダーだったらこんなことにならなかったのに。
私の説明が下手だから、私のスケジュール管理が甘いから、私の行動が遅いからこうなったんだ。

そんな思いで心がぎゅうぎゅうに締め付けられて苦しかった。

この仕事がまるっきり嫌いな訳じゃなかったんだ。
仕事のやり方次第では、楽しむ気持ちを持ち合わせつつ、私らしく充実感を持って働くこともできたのかもしれない。

上司に相談して働き方を変えることが出来るなら、もう少し頑張ってみてもいいかもとすら思えてきた。


せっかく人生の大半を使って仕事をするんだから、楽しんで仕事をしたい。
楽しんで仕事が出来るようになるために、
小舟をおろすところからはじめよう。

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