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ロックダウンから夜間外出禁止令へ〜今思うこと in NY〜

NYは、コロナウィルスの流行に伴うロックダウンに続いて、黒人差別に対する抗議活動の一部暴徒化に伴い夜間外出禁止令が出たりと、滅多にないだろうことが立て続けに起こっている。ただでさえコロナウィルスで大変なことになっているのに、どうして今こんなことが…。でもこれらは繋がっている。''コロナウィルスの流行''と"抗議活動”、また''暴徒による略奪”は全く別物だが、これは一連の、必然の流れであると感じている。

抗議活動は、米国における黒人の差別問題に対するもので、歴史があり、それ故根深く、日本人である私が簡単に論じることができない話ではあるが、今回はこの問題にしっかりと向き合わないといけないと多くのアメリカ人が思っていて、それが活動として表面化しているものであると感じる。これはコロナウィルス流行に少なからず関係していると思っている。NYは流行の中心地であったが、はっきりと出たのは、コロナウィルスに感染もしくは死亡する人数の人種による差である。明らかに黒人がかかる割合、死亡する人数が多かった。これは、貧富の差も影響していると考えられると州知事が言っている。貧しい人が多いために、健康面に問題がある人が多い、住環境も良くない、衛生観念が乏しい…など様々な要素が絡み合い、黒人の感染率や死亡率が高くなっているとされる。何故貧しいのか。一概に言うことはできないと思うが、一因として、根深くある差別により、受けられる教育に差が生まれ、就くことができる職業の収入差に繋がり、生まれてくる子供の受ける教育が…という連鎖があり、貧富の差が打開できない現実があると考えられる。差別や貧富の差は、今始まったことではなく昔から存在しており、でも根本的な解決を試みないまま過ごしてきてしまった結果、今回ウィルスの流行により改めて問題が表面化してしまった。放置してきた結果出来上がった差別のある社会においては、結局ウィルスが蔓延すれば、国民全員が活動を制限され、命の危険にもさらされる。そればかりではない、そもそも未来に向けてこのような差別ある社会のままでいいのか?と思っているところに事件が起こり、抗議活動が起こり、かつ継続されているのだと思う。現在の抗議活動に参加している人は、黒人ばかりはなく、白人も多く参加していることがそのことを表していると思う。

暴徒による略奪が起きたのも必然だったと感じている。今まで経験したことのない我慢を強いられた3か月、今までの生活を変え、マスクをし、挨拶も変え、スポーツもできず、観られず、多くの人は仕事を失い、住むところも失う…。不満が蓄積しいつそれが爆発してもおかしくない時期だった。他の州ではあるが、必ず暴動が起きるとアメリカ人は予想し、ロックダウンが始まった時期に食料と共に拳銃が売れていた…。想定された出来事だったのかもしれない。きっかけはなんでも良かったのだと思う。もちろん容認できる行為ではない。しかもこちらは溜まった不満を口実に悪事をはたらいているだけのことであり、未来のことは全く考えていない刹那的な行為である。

どちらも必然の流れであるが、略奪は犯罪であり、長くは続かないはずだ。取り締まりにより収まっていくだろう。一方抗議活動については、この先どのように展開していくのか、今のところ予想することは難しい。何がゴールなのか、私にはわからない。ただ、今回の差別に対する抗議活動は、コロナ禍後の新たな世界を見据えたものでもあるように感じており、加えて今度ばかりは突き上げたコブシを簡単には下ろさないぞという、アメリカ人の大きな意思とエネルギーを感じている。

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