フライパン炊飯と令和の米騒動
炊飯器を手放して数年が経ち、全く不便を感じていないのだが、それは我が家が米をあまり食べない家だからというわけではなく、むしろ米はそこそこ食べる頻度は高く、そして電子レンジも持っていないのだが、どうにかなっている。
炊飯器よりも、電子レンジがない生活に慣れる方が大変だったかもしれない。
米をまとめて炊飯して、後からレンジでチンとはいかない。けれどもまあ、それもそういうものだと受け入れてしまえばどうにかなるもので、おかげで冷やご飯って私の口にとても合っているのだということにも気がつかせてもらえた。ふっくらもちもちしたご飯がとても苦手な私は常に玄米を食べるし、最近は玄米に黒米を混ぜて紫色っぽい玄米を堪能している。そして余った分をタッパーに小分けにして冷蔵庫に保管したものも最高なのである。冷やご飯はつぶつぶ感マシマシでとても美味しい。炊いてから24時間以内に食べるかなと思う場合は冷蔵庫へ、そうではなければ冷凍庫へタッパーを入れる。
米はどうやって炊いているかといえば、鍋である。バーミキュラーというホーロー鍋を愛用しているのだが、これで米を炊いたり煮物をしたり色々と万能選手として活躍してくれている鍋である。
しかし最近、フライパンで米を炊く方法というものを偶然ネット上で発見したのだ。少ない量の米でも美味しく炊けて、しかも調理時間が短くて済む。暑い夏、長い時間ことこととガス火を使うのは苦行なため、このフライパン炊飯を試してみることにした。
結論から言えば、フライパン炊飯も美味しく炊けた。色々な方法があるようなのだが、ご興味がある方はぜひネット検索でレシピを探してみて欲しい。我が家でやってみた方法は以下の通り。
材料
・玄米100グラムと黒米50グラム、合わせて約1合分
・水220ml
道具
・フライパン
・ガラス製など中の様子が見えるフライパンの蓋
・ガスコンロ
手順
・フライパンに米と水を入れて蓋をする
・中の水分が沸騰するまで強火にかける
・水分が沸騰したら弱火にして8分加熱する
・最後に中の水分が完全に蒸発するまで強火で加熱する(約1分)
・コンロの上にフライパンは置いたまま、火を止めて、蓋は外さず、10分蒸らす
以上である。
普段は加熱時間が20分から25分強ほど要しているので、フライパン炊飯の方が圧倒的に短時間の加熱時間で済む。つまりキッチンが暑くなる時間が少なくて済むのだ。
出来上がった米の食感は鍋で炊いた時よりもつぶつぶ感が増していた。これは良い。ツヤツヤふっくらもちもちの米が好きな人には向いていないかもしれないが、この辺りは好みの問題なので何とも言い難い。私はこの炊き方は仕上がりがプチプチつぶつぶしていて大好きな食感だった。
フライパン炊飯をしながら、昨今の「令和の米騒動」は一体どうしたことだろうかと考えた。米はフライパン調理なら多少はガスを節約しながら炊けるものの、結構燃料を使う食物なように思うのだが、非常時に米が大量にあると安心なのだろうか。パスタや蕎麦やうどんなら、多少我慢さえできればだが水に浸しておけば食べることはできる。でも米はそうはいかない。ガスもしくは電気がなければ食べられない。炒り米にしておいて、それにお湯をかけて食べるという平安時代の旅人みたいな食べ方もないわけではないのだけれど、それにしても非常時に食べるのにあまり向いているとは思えない食料な気がするのだけれど、どうしたことなのだろうか。スーパーの米売り場の棚は本気ですっからかんで、餅の果てまで売り切れていた。そんなに炭水化物死守なのかジャパニーズ。ちょっとの間、炭水化物抜きダイエットとかしてみても楽しいかもしれないし、タイ米は売っているからエスニックに凝ってもいいだろうし、米じゃなくても芋類とかリンゴとか、炭水化物になるものは色々あるんだけれどなあ。しかし米が売りの定食屋さんを営んでいる、とかになると本当に困り果てるかもしれない。友達のランチメインの飲食店はランチプレートに米が登場はするものの中東料理屋さんなのでバスマティライスを使っており、この度の令和の米騒動の影響は微塵もないと言っていた。我が家もストックの米が尽きたらタイ米かバスマティライスにしようと思う。細長い米はヘルシーっていう話もあるしね。
今週はまたも関東に台風が直撃するのではないかという懸念があり、ますます何かの買い占めが始まるのではという予感がするのだが、やっぱり戦後の敗戦を潜り抜けてきた世代とその人たちに育てられた世代、3世代くらいまでは買い占めたくなる衝動を抑えられないのかもしれない。一概に世代が、とは言えないけれど、最近の若い子達をみていると今いる場所に不満を覚えたら「あ、じゃあ引っ越そうかな」みたいなノリを感じるので、軽やかで素晴らしいなと思う。私も土地に縛り付けられずにずっと自由に歩き続けたい。いま米を大量に買い置きなんてしたら、軽やかに移動できないからね。想像しただけで内臓の奥の方から重苦しくて息苦しい辛さを感じる。どんどん軽やかに、風のように流れていきたい。
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