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スタバの紙袋が流行っていた時代

今でも変わらない人気があるのだろうか。スターバックスコーヒーの紙袋。テイクアウトをすると入れてくれるあのクラフト紙でできた手提げである。

大学の頃、スタバの紙袋が流行っていた。紙袋をもらうために、あえてテイクアウトを注文し、そしてその紙袋は大学に通うときにカバンからはみ出た教科書やお弁当を入れていた。紙袋なので比較的丈夫な造りとはいえ、そのうち限界が来る。何枚か家にストックして、へたってきたらそれは捨てて、ストックから新しく1枚出して使っていた。

大人になって、働くようになったら、スタバの紙袋は貰わなくなった。
いずれ捨てられる紙袋は何だか勿体無いな、と感じるようになった。働いてからよく利用していたのは新幹線の乗り場付近にあるスタバだった。乗車前にマイタンブラーにスタバをテイクアウト。時間帯によってはクッキーやサンドイッチを一緒に購入して新幹線に乗っていた。理由は簡単で、時間があまりない新幹線移動の直前に、定番メニューから迷うことなくさっと購入できるのが便利だったからだ。味も知っているので、失敗はない。仕事まえに余計なストレスを感じたくなかったし、新幹線の乗り場付近にあるスタバは店舗によってはどの新幹線に乗る予定かレジで聞いてくれて、お客さんがその新幹線に乗り遅れることのないように、さっと提供してくれていた。新幹線車内で軽く打ち合わせをしながら移動していることもあり、だいたいみんな手元にはスタバの飲み物があった。日帰り出張の時は行きに本日のコーヒーを買い、帰りにワンモアコーヒーでお得に同じ本日のコーヒーを買って帰ってきていた。

新幹線移動になると、尚更、紙袋が勿体無いなと感じるようになった。新幹線の車内までの短い距離で使われる紙袋は、目的地に着いたら荷物になってしまうので、だいたい新幹線降車ドア付近もしくは降りたホームにあるゴミ箱行きだった。紙袋を持って歩いた歩数を数えられるんじゃないだろうかという短い距離のための、テイクアウト用紙袋。次第にレジで「紙袋はいらないです」と断るようになって行った。

最近はスタバに行く機会も個人的目的が少なくなったのでかなり減ってしまったのだが、今でも紙袋は無料で提供してもらえるようだし、何だったら使い捨てじゃない紙袋の見た目を再現した袋まで売られているらしい。ある一定のスタバ紙袋ファンというのは健在だということだろうか。


それにしても、大学生の頃の私は、なぜスタバの紙袋が魅力的だと思っていたのだろう。田舎から上京してスタバそのものが珍しかったこともあったとは思うのだが、当時はそこまでコーヒー好きなわけでもなく、かといってフラペチーノ系やラテなどを頼むわけでもなく、もっぱら本日のコーヒーをブラックで注文するばかりだったのだが。大学時代に、今売られているようなリユーサブル仕様のスタバ手提げがあったら、私は買っていたのだろうか。いや、多分買っていないだろう。大学生の私が出費するには少し高いと感じるような値段のはずだし、そもそも紙袋っていうのが良かったように思うのだ。壇ふみさんではないが、紙袋そのものに使い勝手の良さを感じていたし、それがオシャレだと思っていたスタバのものっていうのが後押ししていたように思う。壇ふみさんは、何かの書籍の中で紙袋を愛用されていて、スタジオにいらっしゃると紙袋のガサガサという音がするのですぐに壇ふみさんがいらしたと判明するという話が書かれていた。おそらくあれは阿川佐和子さんが書かれた文章だったのではないだろうか。記憶が曖昧なのだが、その紙袋の話は強く記憶に残っていて、「そうそう!紙袋!」と思ったのを覚えている。壇ふみさんと一緒ならダサくないわ、と当時の私は思っていた。

最近の紙袋といえば、もっぱら鳩サブレーで有名な豊島屋さんの黄色い紙袋である。駅前のパン部門の「扉」でパン、しかもバゲットなどの長さのあるパンを買うとだいたい雨の日でもなければ紙袋に入れてくれる。豊島屋さんの紙袋も無料である。この紙袋は、結局はやっぱりゴミにはなるのだが、ストックしておくときに気に入ったデザインだから目に入ってもストレスが少なくて済むのか、いつも資源ごみ回収の時に紙類をまとめて出すために使うから有効活用されている感じているせいなのか、「紙袋、いらないです」とレジで言ったことがまだない。

駅前に用事のついでに常に混んでいるスタバに寄ることは、ほぼないけれど、豊島屋に寄ることはある。スタバの紙袋をもらうことも無くなったけれど、鳩サブレーデザインの紙袋はもらう。だからつまり、エコがどうのという話ではなくて、興味の問題だったのだな、これは。

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