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「俺の家の話」に見る、家族介護のあれこれ

これからの老いと暮らしをデザインする一般社団法人マリーゴールド(以下マリゴー)まりこです。マリゴーでは、親の老いや介護を軽やかに受け止めるあれこれをお届けしています。


楽しみにしていたドラマ『俺の家の話』が始まりました。毎週『IWGP』をリアルで楽しんでいた世代にはたまらないクドカン×長瀬くん×磯山プロデュサーのドラマです。
さらに、長瀬くんと西田さんが親子というので期待値は高まるばかり。(うぬぼれ刑事の親子は最高)
第一回の放送を3回見ましたが、何度みても面白いドラマです。


まず、このインタビューが最高でした。

介護をテーマにした作品というと、あまり見たくないという反応もあるかと思うのですが、みんな絶対に避けて通れないことだし、辛気臭くやるつもりはないです。〜立ち向かうべき価値のあるテーマをドラマチックに描けたらと思います。

立ち向かうべき価値のあるテーマ、磯山プロデューサーの言葉にぐっときます。

さて、クドカンファンとして、家族と介護に携わるものとして、
ドラマの中で印象的だったシーンについて書いておきます。

(以下、ネタバレが含まれますのでご注意ください)


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良い知らせ」として余命を伝える寿三郎

倒れた寿三郎が退院し、関係者一同を能楽堂に集め舞台上で「まずは良い知らせから」と自ら余命一年であることを告げる。その後、「悪い知らせ」として「遺産はさくらに」と宣言。遺産相続を目論むであろう我が子に対する嫌味とも思えます。宗家であり父でもある寿三郎の我が子への複雑な心の内を、家族の中で誰が最初に気づけるのか気になるところ。
これは他人だからこそ、さくらはもう気付いていそうな予感。介護職は、家族の知らない本人の気持ちを察知したり、本人から打ち明けらる機会も多いので、いざという時に頼りになる存在です。

親への想いは三者三様

認知症の検査を受けることになった寿三郎、野菜の名前を思いつく限り言う問題に言葉を詰まらせてしまう。その様子を見た踊介(次男)は固唾をのみ父の様子を伺い、舞(長女)は「夏に割りばしさして…」と父のためヒントを出している。
長男は能の台詞は出てくるのに野菜が言えないとショックを隠せない父に「八百屋じゃねぇんだから困らねぇだろ」と励ますでもなく言葉をかける。
兄妹といえど、親へのまなざしは三者三様。言わずもがなではなく、親、環境、様々な変化の都度、それぞれの考えを確認しておくことが大事。
余談)この後の入浴場面で、寿一が紙パッドを小さいビニールに入れて縛ってから、蓋つきのごみ箱に捨てていたのを見て、このドラマの信頼度が増しました。(同業者にはわかってもらえるかな)

クロックス貸そうか、寿限無の神対応

妹、弟と衝突しかけて家を飛び出そうとしたが、玄関で編み上げのリングシューズが上手く履けず苛立つ寿一に「俺のクロックス貸そうか?」と声をかけ、「病院行くならこれ」と寿三郎のスマホを預ける。
兄妹、親子喧嘩の果てに、癇癪起こして家でする!と飛び出しす子どものような寿一に、リングシューズが履けぬならと自分のクロックスを差し出し、病院へ行くことをためらう寿一の背中をそっと押し出す、寿限無は介護者となった寿一にとって心強い存在になるでしょう。こういう人、だいじ。いざというとき頼りになる、あなたの寿限無を見つけて欲しい。

がっつり長男気質な寿一は心で語る

「型破りな長男」という触れ込みの長男寿一ですが、実はバリバリの長男気質。あっさり介護離職しちゃってるし、「俺がやってやるよ、そういうもんだからだよ」ってかっこいいけど、今はそういうものでもないのです。末広さんも「恥ずかしいことじゃない」と言ってたはず!今後、長男としての気負いが和らいでほしい、ここにも寿限無の存在が大きくなりそう。そして頑張ってほしいぞ、末広ケアマネ!

俺の家の話

そう、これは家族の物語。家族の話は家族の数だけあるのです。能楽師一家ということで、ちょっと変わった環境にある家族でも、親は老い、介護はやってくる。ドラマを通して「我が家の話」として、親の介護について考える人が増えたらいいなー。


さて、楽しみ過ぎる『俺の家の話』、その他にも、調子よく介護を回避する舞の夫OSD長田さん、そして名刺と制服のデザインが本気すぎる「あつまれやすらぎの森」のさくらちゃんと末広ケアマネジャー。人間国宝寿三郎さんの家族と介護が、どんなドラマを魅せてくれるのか期待しています。

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