シャボン玉のような「シャボン玉とんだ宇宙(そら)までとんだ」

「新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため、公演を中止させていただきます」-異常な事態です、日本中の劇場でほぼすべての公演が中止されている事態。こんなことが起きるなんて。

いち舞台ファンは、今はただ、状況が良くなることを待つしかできないです。劇場は再開されます、絶対、復活します。終息宣言が出されて劇場が再開したら!力いっぱい大きな拍手を送ろう!

さて、1月に観た「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」は、今となっては本当にシャボン玉のような舞台だった…あの劇場の空間が恋しいのなんのって。「時間と空間を超えた永遠のラブストーリー」、素敵な素敵な舞台でした。

ネタバレ有り有りの感想です。主観ばっかり(笑)。

☆☆ストーリー超簡略 1幕☆☆

不器用で頼りない作曲家志望の青年・悠介と、元スリの佳代。佳代は捨て子で、ヤクザ者の育ての親・小野から逃げ出し東京へ来た。悠介のバイト先の喫茶店で佳代も働くようになり、悠介の作曲家活動をすっごくすっごく応援する佳代。「悠あんちゃん」、「お佳代」と呼び合うお似合いのふたり。

実は佳代は、13歳の時に、小野に折檻されて生命を一度終えているのだけど、そのタイミングで宇宙でも一人、危険な状態の宇宙人・オリーがいたのです。宇宙人(ラス星人)たちはオリーの「生命素」をいったん、地球の佳代に移転しておいて、オリーが回復したら、生命素を佳代から抜いてオリーに戻す、という計画を立てたのです。

で、オリーの生命素を移転されて、生き返った佳代。その後、宇宙人たちは佳代を見守りながら、佳代の人生が終わるのを待っているのです。☆☆☆☆

何日でも書き続けられそう(笑)。この舞台、作品の素晴らしさか、キャストの素晴らしさか、どこから書いていいか迷う!書ききれない!なので思いつくままに。

音楽座のオリジナルミュージカルのこの作品、今回、東宝さんが制作というニュースを聞いたとき、「そんなことあるんだ~」でした。ミュージカル界のプリンス、わたしたちの(*'▽')井上芳雄くんがやりたい舞台だったとか何とか…。キャストは芳雄くんはもちろん素晴らしくて、お佳代の妃咲みゆさん、ほんとにほんとに、かわいくて健気で、今思い出す印象的な場面はみんな、妃咲さんのお佳代の場面。音楽座の初演でお佳代を演じたのは、土居裕子さんで、今回はラス星人で出演されています。土居さんがまたね、ほんとにもう素晴らしくて、(こればっかりm(__)m)、あのとんでもなく美しくて心に響くソプラノ…思い出すだけで涙です。

それから、なんと濱田めぐみさん!日本ミュージカル界の至宝!私たちの濱田さん!私のアイーダ!私のエルフィー!私の川島芳子!(←劇団四季での濱田さんの演じられた役です。四季ファンとしては濱田さんが出てくださるってことはとんでもなくスゴイことなんです!)あの濱田さんが主役じゃないのに出てる!しかもレビューシーンまで!この舞台ものすっごく豪華キャストで、チケット難でした。

この舞台、個人的にですけど、すっごく素敵な素敵なMYラストシーンが3つくらいあります。いや、ラストっていうからには一つでいいんですけど。そこで終わっても十分に素晴らしくて涙が止まらない。っていう場面が3つくらい続くの。初見で観たとき、「ああ、ここで終わりなのね…素晴らしい作品!」と思っていたら次々に展開が変わって、最後には宇宙のシャボン玉が見えた!(気がした(笑))

☆☆☆ストーリー 2幕の1☆☆☆ 一緒に暮らし始めた悠介とお佳代。アパートの隣には、佳代をひそかに見守る宇宙人たちがいて(笑)、幸せの絶頂…はあっという間に終わり。ヤクザ養父の小野が佳代を見つけ出し、脅迫するのです、ダンナにスリだって知られてもええんか?と。しかも佳代を襲おうとして、佳代は小野を刺してしまう。

殺人を犯し、刑務所に入った佳代。悠介はそんな佳代に、結婚を申し込む。☆☆☆

はい、ココが最初のMyラストシーン。すっごくすっごく、みゆちゃんのお佳代が素敵なんです。刑務所の独房で絶望していた佳代が、悠介が会いに来ることを知って、しかも、結婚!「承諾なら『はい』、そうでないなら『いいえ』と答えなさい」と言われて、一生懸命、「ハイ!」の練習をする佳代。もう、健気でたまらないの、「悠あんちゃんが来たらなんて言おう、ハイ!(練習ね)、ハイ!うまく答えられるやろうか、、、あかん、うちきっと泣いてしまう!」…私が客席で泣いてました…もう、ここがラストシーンでも十分素敵な作品です。

☆☆☆Myラストシーンその2☆☆☆ところが、悠介は、刑務所に来ることはなかった。飛行機事故で亡くなってしまったから…。絶望の、さらに絶望へ落された佳代。ところが悠介は、宇宙人に助けられていたのです。宇宙船から佳代に必死でメッセージを送る悠介。「佳代、生きるんだ!」…この必死のメッセージ、宇宙人たちがサポートして(ここもまた素敵なの!)佳代まで届くんです。佳代、頑張れー!…そして、10年の刑期を終えて出所した佳代。二人が出会った遊園地へ向かうと…そこへ現れたのは悠介。死んだと思っていた悠介と再会できて、もう涙止まらない…

ただ、ここで時間の問題が。地球の10年は宇宙船では数日間。「悠あんちゃん、変わらん。うちはもう32才や、悠あんちゃんとは行かん」…そう、悠介は年を取っていなくて、佳代だけ10年間、年を取ってしまったの。そこで、宇宙船が佳代を迎えにくるのです。悠介との時間差を埋めるために、今度は佳代が宇宙船で過ごすことに。悠介は「あの人たちと旅行に行っておいで。ほんの1週間だ!気持ちもずっと落ち着くし、戻ってきたらずっと一緒だ!」と。宇宙人(土居さん)は「ゆーあん、10年、待てますね?」と。

そうなの、ここがまた芳雄くんが素晴らしいの、やっと佳代に再会できたのに、10年間、佳代を宇宙船に預けなければならない。佳代にとっては数日間、でも悠介にとっては地球時間の10年。それなのに、決断した悠介。この宇宙船が旅立つ場面、素敵な素敵なラストシーンです。☆☆☆

といいつつ、まだ展開があったんです。涙あとからあとからあふれて止まらないー

☆☆☆Myラストシーンその3☆☆☆ほんとのラストは、エピローグ。新たな展開付き(笑)。宇宙船から戻った二人がどんなに幸せだったか、すっごく素敵な演出になってるの。二人の声だけ。赤ちゃんが生まれて、その子が大きくなって、佳代は悠介のお弁当こしらえてて、「お弁当忘れてるでー!まったくもう!」、「ごめんごめん」って、社会の底辺で佳代が夢見ていたとおりのささやかな幸せの情景が聞こえてきます。そして二人の間に生まれた息子は、「どうしても絵をやりたい」、お佳代は「お父さんの子やな…とことんやってみい!」と。お佳代、本当に本当に良かった、幸せになったのね、よかった、みゆちゃんよかった、、、(涙)(涙)(涙)

そして、すっかりオジサンになった息子が、両親の事故死(おそらく)後に語るんです、「今でも二人は一緒にいる気がする」って。宇宙では、悠介とお佳代から生命素を移転したオリーとその恋人のミラが息を吹き返したところ。二人の生命素は宇宙で生き続ける…(涙)(涙)(涙)☆☆☆

書ききれないことたくさん。ミラの内藤大希くんはレミゼのマリウスで拝見してましたけど、すごくきれいな声なんですよね~ミラにぴったり。土居さんの素晴らしさは言うに及ばず、、、もうキリがないの。またいつか気がすむまで書きたいものです。本当に、素敵な作品でした。

またいつか、再演されますように。劇場閉鎖なんて、いつまでも続くわけじゃない。コロナが消えたら、シャボン玉はきっと地上に却ってくるから!







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