衣替え。

「衣替え」いうたら、六月と十月、冬服と夏服を入れ替える日。

洋服やとそないにたいそうなことおへんが、着物の衣替えはそうは簡単にはいかへん。
だって一番外の着物だけやなくて、下着にあたるお襦袢、襟、帯、帯揚げに帯締め。
外出する時のことも考えたら、バッグや草履などの小物まで変わる。

母から教わったことは、着物にはほぼ毎月のしきたりがあって、毎月毎月、帯や着物がちょっとずつ変わっていきますが、六月と十月は一気に全部変わることになります。

六月一日になったその日から、単(一重)の着物に、
絽の帯、お襦袢も絽。

娘が店に出だし、着物のしきたりを教え始めた頃は、覚えようとしてくれたもんやし、私も教えていくのが、母の姿と私を重ね楽しおしたが、慣れてくると、五月も半ばになると、

「そろそろ衣替えやな」「まだええか」日を追うごとに、
「単、何枚か出てるし」「夏帯も何枚かあるわ」
繰り返す母娘の会話。

なのに、

当日になったら、

「襦袢は?」「襟がついてへん」「着物、どこにおいてんの」

慌てて箪笥を片っ端から引っかき回す。

六月に入った頃、和室は夏の着物や帯をしまっている箱が、
散々して足の踏み場もない。

これが十月にはまた、おんなじことしてるんやから。

そろそろ懲りようや。


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