帰り道

帰り道
あの子が泣いてた
あの子が泣いてた
かなしいよといって
泣いてた
ぼくは
みずうみをひとつあげた
ポケットのなかにあるの
それだけだった
あの子はみずうみをのぞきこんで
さかなが泳いでるのをしばらく見てた
このさかなはなにを食べるのかな
といった
あなたの涙を食べますよ
とみずうみがいった
たくさん泣いて大丈夫ですよ
ぜんぶさかなが食べますから
あなたはあなたで大丈夫ですよ
そういわれたらなんだか涙がでなくなる
さかなさんお腹が空くね
といってわらってひとつ
目のはじから涙が落ちた
ぱく、とさかなが食べた
ほっとした