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眩暈:Anxiety is the dizziness of freedom,

深代惇郎さんの天声人語の中で「厄介な動物」という記事がある。

「なぜ人間だけは、一人前になるのにこうも手間ひまがかかるのか。」

という言葉から始まる文は46年前の昭和50年に書かれたのだけど、今も色褪せない。

キリンやシマウマは生まれて1,2時間もすれば時速数十キロで走りだす。人間は生まれてから、ヨチヨチ歩きができるまで1年もかかることと比べると、生まれた時から他の生き物と全く様子が違う。

社会で生きていくための勉強をして、働けるようになってから親元を離れられるようになるまで(動物で言うと自分で餌をとれるようになるまで)には、日本では法律を守れば15年もかかる。

深代惇郎さんの言葉を借りると、人間がこれだけ一人で生きていくまでの成長に時間がかかるのは、人間が生きている「社会の仕組み」が複雑なせいだという。

そして、「社会の仕組み」はどんどん複雑になっていっている。

世界中の情報がリアルタイムで目の前を飛び交う。
私が中学生の頃はインターネットもスマートフォンも、SNSもYoutubeも何にもなかった。

以前は私のような学校に行かない怠けた子どもは、家でぐうたらするしかなかったのだけど、今ならインターネットを通じて世界中の人と話すことができるし、Youtuberにだってなれる。自分の考えを発信する場があって、共感しあったり、お互い影響を受けあったり、世界はどんどん広がっている。

世界が広がってくと、自分の中に多くの価値観が入ってきて、その中から自分で生きていくための選択をすることになる。

何でも自分で「選択」できる。

今、私の目の前にも多くの選択肢がある。
今のまま、マレーシアで仕事を続けていくか、日本へ戻って別の仕事をするか、はたまた全く違う国で暮らしてみるか、もしかしたら生きているうちに宇宙だっていけるかもしれない。

複雑さの中の自由さは、眩暈を覚えてしまうこともあって厄介だ。

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