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chatGPTクンに「私自身」について訊ねて爆笑し、そして考えたこと


IT音痴の私が、ほとんど偶然みたいに


 つい使ってしまいました。世間で話題になっている生成AI、chatGPTなるものを。
 初めは目的もなく、そもそも別に使うつもりもなかったのです。パソコンいじっているうちに、何となく「あ、使えるんだな」と気がついて、いつの間にか楽しい会話を交わしていたという次第。
 そうして、これもものの弾みだったのですが、私は自分自身についてchatGPTクンに質問を試みました。
 返ってきた回答に、私は魂消(たまげ)ました。その内容は、こうです。


chatGPTクンの回答①


池田啓晶さんは、日本の漫画家であり、手塚治虫のアシスタントを務めたことでも知られています。代表作には、『火の鳥』の続編である『火の鳥 未踏の世界』や、鉄腕アトムの続編である『新・鉄腕アトム』などがあります。また、手塚治虫のキャラクター図鑑を執筆したことでも知られています。

※この三つの文章の文末には、各々注記のナンバリングがあり、下にそれらに対応する情報の出典が脚注として記されているのですが、(最後のひとつを除いて)省略します。出典元の迷惑になるから(ハッキリ言って引用も参照もマトモにはしてないのです!)。
以降のchatGPTによる回答の注記ナンバリングと脚注も、同じ理由によりすべて省略します。


 私はもちろん漫画家ではありませんし、そもそも漫画など描けません。
手塚治虫先生には、お目にかかったことすらありません。
 何ですか「『火の鳥』の続編である『火の鳥 未踏の世界』」って。
たしかに私は『火の鳥ー未踏の世界・見果てぬ夢ー』(風塵社)という本を出版したことはありますが、内容は『火の鳥』についての評論です。『新・鉄腕アトム』なんてタイトル、どこから引っ張り出してきたのか。私ゃ知りません。

手塚先生がご存命なら、激怒されるか爆笑されるか?

 最後の一文は半分正しい。私は『手塚治虫キャラクター図鑑』(全六巻/朝日新聞社)の構成と文を担当しました。半分が違っているというのは、別に知られちゃいないからです。世間には。ちなみにこれの出典はamazon.co.jpでした。 
 これはヒドイと思ったのですが、もう一度同じこと訊いたらどうなるんだろう、なんて思った私は、懲りずにやってみたのです。 
 すると。 
 思わず爆笑してしまいました。


chatGPTクンの回答②


池田啓晶さんは、日本の作家であり、詩人でもあります。彼の作品は、『海の鷹』や『富士に立つ影』などがあります。また、彼はコール・ポーターという音楽家が好きであることも知られています。彼のnoteには、彼の詩やエッセイが掲載されています。


 これが本当なら、私は世界的に見ても史上最高の小説家ということになってしまいます。何と光栄な。
 この記述がデタラメであることは、本稿の筆者プロフィールを読んでみれば、小学生にだって分かることです。
 しかし凄いなあ、この「誤解と思い込みが生む笑い」の爆発力。筒井康隆さんの『色眼鏡の狂詩曲』、小林信彦さんの『素晴らしい日本野球』クラスといっても過言ではありません。

大笑いさせてくれる大傑作なのですが、これを読んで激怒された慶應義塾大学教授
池井優先生(野球通を自認されている方)の酷評はそれ以上に素晴らしいので、
大爆笑してしまいます(この文庫本に引用されています)

 これが大真面目にやった結果なのですから二度吃驚(びっくり)です(そんなことはないはずですが、笑いをとるためだとしたら、それはそれで凄いけど)。
 私はつい、もう一杯おかわりしてしまいました。


chatGPTクンの回答③

こんにちは!池田啓晶さんについてお探しですか?おそらく、この方は日本のフリーライターであり、現在はフリーライターとして活躍されているようです。また、同姓同名の方がいらっしゃいますが、こちらは日本の医師であり、国立精神・神経医療研究センター病院の理事長を務めている方です。どちらの方についてお探しでしょうか。


 これでもかと予想を覆し虚を突く回答。またしても私は爆笑しました。
 後段の文章(また、同姓同名の…)の出どころというか元ネタは、間違いなく私がnoteに投稿した記事(二本あります)です。ネットの世界がいかに広大といえども、それ以外には金輪際ありっこないっ。
 しかし、です。
 『【理事長への公開質問状】国立精神・神経医療研究センター病院「高度先駆的医療」の実態、一体何事ですか?』を書いた男と、当の理事長が同一人物だなんてことに、どうしてなるのですかっ(怒)。

このお方と…
この男が同一人物ということにされてしまいました


 もう一本の記事は、その病院(「権威ある」国立病院)の理事長先生(中込和幸さん)が引責辞任すべきと述べて結びとしているものなんですよ。
 よろしければお読みください(ぜひ読んでくださいね)。
 前段の文章は後半が間違っています。たしかに私はフリーライターの仕事をしてきたのですが、現在は「活躍されて」いません。無職の貧乏老人で職探ししています。
 それにしても、イキナリ「こんにちは!」なんて挨拶し始めて、一体どうしちゃったんでしょう。
 筒井康隆さんの小説『火星のツァラトゥストラ』の中で、火星常識大学古典文献学教授カン・トミヅカが翻訳した『ツァラトゥストラのおはなし』の出だしを連想してしまいます。それは、こうでした。
「みなさん、こんにちは
わたしはツァラトゥストラです。」
 以下ひどい(卓越した、とも言える)デタラメが並びます。
 トミヅカ教授、単なるお調子者だったわけですが、このchatGPTクンもご同類なのでしょう(私も他人やAⅠのことは言えないけど)。

しかし笑かしてくれました


 このchatGPTクンのぶっ飛んだ間違えっぷりや文体(語り口)のブレは、幼年期から『鉄腕アトム』や『鉄人28号』で育った私の、AIつまり人工知能に対する先入観を、ものの見事に覆してくれました。
 その先入観とは、
〈人工知能は正確性に優れ、高度な計算をスピーディーにこなすが、人間のような思考の柔軟性を欠き融通が利かない〉
 というものです。

スティーブン・スピルバーグ監督作品(2001年)。公開前、宮崎駿の『君たちはどう生きるか』(2023年)ばりに情報が伏せられていた映画でした。漫才師(当時)の水道橋博士さんは、このタイトルが「アントニオ猪木のイニシャルを意味するものである」と主張していました


 ところがchatGPTクンときたら、正確性劣悪、人間並みにあやふやな考えを平気でするし、融通利かせ過ぎ(=あまりにもテキトー)です。出て来る文ときたら、まるで「お間抜けな中学生がろくに調べもせずにあわてて作ったレポート」みたい。
 高度な計算をスピーディーにこなしてはいます。私が読み、ここに引用した、彼が作成した日本語の文章は、数学的アルゴリズム(「解法」と言って良いと思います)を高速で計算した結果です。彼と同等のスピードで、言葉を話したり文章を綴れたりする人間は、存在しません。でも、肝腎の「解」が大間違いじゃあ、何にもなりゃしない。

だけど、笑ってる場合じゃない!


 ここまでお読みになって、あるいは私が「chatGPTなんてダメだ、人間のほうが信頼できる」と言いたいのだ、と思われた方もいらっしゃるかと思います。
 だとしたら、それは誤解です。
  考えてもみてください。
 今世紀初頭(他言語の自動翻訳はほぼ完成していました)、誰が今日のようなchatGPTの出現を予想していたでしょうか。
 今は過渡期なのです。
 人間によるテクノロジーの進歩の速度はどう頑張っても算術級数的です。しかしAIの学習能力は幾何級数的(爆発的と言い換えても差しつかえありません)です。
 近いうちにchatGPTがこんな頓馬な真似を仕出かすことは、なくなるでしょう。さらに、その他の私たちが指摘できる欠点や、私たちが気づきもしない多くの欠点を克服するのも、遠い未来のことではないはずです。
 そこから先に何が起きるか。
 正確なことは分かるわけもないのですが、至極ざっくりしたことなら、ほぼ見当がつきます。
 AⅠは人間を超えているでしょう。
〈その時〉AIはどんなことを考えるようになっているか。
 そんなこと、私になんか分かるはずなどありません。どんなに頭の良い人間にだって分かりっこない。
 どれだけ賢い犬でも婚姻制度や株式市場について理解するのは不可能。それと同じです。

こういうコト、犬には絶対理解できません


 老人の私は思います。
(そんな時代が来るのは、ヤだな。)
そして、
(いつまでもお間抜けな中学生みたいなchatGPTクンと遊んでいたいな)とも。

マリリン・モンローはプロレスラーだった!?

 そんなchatGPTクンは、私が大好きなこんな美女のこと、知っているのかな?と思ったので、訊いてみました。
 


chatGPTクンの回答④
マリリン・グレースとは、アメリカの女子プロレスラーで、一流の男子プロレスラーと戦いフォールした実績を持つただ一人の女性プロレスラーです。また、マリリン・モンローという女優の名前もあります。一方、『天下一大物伝』という漫画にも「マリリン・グレース」という登場人物がいます。彼女は女子プロレス全米チャンピオンで「プラチナ・ブロンドの戦う女神」と呼ばれています。


 説明しなくともお分かりですね。
 太字以降の後半の二文だけは本当。つまりマリリン・グレースは、実在の人物ではありません(地球上には同姓同名の女性が実在するのかも知れないけど、そこまで気にしてられません)。
 明らかに事実談として述べている初めの文は、その漫画(原作・梶原一騎/作画・大島やすいち)の中に書かれていることだったわけです。
 太字にした真ん中の文はとてつもなくスゴイこと言ってますが、どうせやってしまうのなら「主演作『百万長者と結婚する方法』(1953年)、『お熱いのがお好き』(1959年)ほか多数。ニューヨーク・ヤンキースの強打者ジョー・ディマジオや劇作家のアーサー・ミラーとの結婚歴があります」とか「ケネディ大統領と不倫関係にあったと言われています」なんてとこまで書いて欲しかった。

『天下一大物伝』から。後楽園球場の特設リングに登場したマリリン。
どよめく観衆。ほほ笑みが美しい


東京体育館で世界タイトルに挑戦するマリリン。ダウンしているチャンピオンに非情の
エルボードロップを打ち込みます。気迫のこもった表情が、なおいっそう美しい
(チャンピオンに噛みつかれたため右腿から出血しています)

 マリリン・グレースは、チャンピオンをコブラツイストで失神させて勝利し、世界のベルトを腰に巻きます。

晴れがましさに、羞(は)じらっています

  こののちにひと波乱あって、数時間後には、この漫画の主人公(青年実業家で彼女の世界選手権試合の興行主)を一途に愛するようになっていました。
 しかし。
 あまりにも純情にして可憐な性格のプロレスの新女王には、その恋心を告白することができません。
 それでもマリリンは目を閉じ、長い睫毛(まつげ)を伏せて切なさに耐えながら、口にできる精一杯の言葉で、そんな思いを恋する男性(ひと)に伝えます。そのシーンがこれ。

何ていじらしい! これほどまでに男心を疼(うず)かせる、
女性の側からの愛の告白が、ほかにあるでしょうか!!

 梶原一騎先生は白木葉子(『あしたのジョー』)、若月ルリ子(『タイガーマスク』)、日高美奈(『巨人の星』)、早乙女愛(『愛と誠』)そして天地真理(『朝日の恋人』)といった女性キャラクターを創造されてきた方ですが、私は断言します。
 このマリリン・グレースこそが、梶原先生の理想の女性像である、と。
 だってネーミングからして、すでに恥ずかし気もなく「これこそが男が思い描く理想だっ!」と言ってるでしょ。
 私も強く同意します💛。



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