私と教育の距離 vol.5

いざ決断をして、仕事を辞めてみると、なんだか世界は明るかった。

世界は明るいなんて書くと大げさかもしれないけど、当時の私は、「もう就職できないかも。そしたらどうやって生きていこう」と真剣に心配していた。

留学しようか、仕事を探そうかと悩んだけど、次に仕事をするなら熱中できることをしたいと思っていたから、英語の先生になることにした。

この英語の先生という仕事を通じて、子どもたちを惹きつけるレッスンの作り方や進め方、褒め方や叱り方を学んだ。

学生の時に熱中して勉強していたファシリテーションや、ワークショップの知識と経験を生かし、レッスンを作った。

その時のテーマは、子どもたちが毎週楽しみになるレッスン+英語できるやんっていう自信につながる成長感を提供することだった。

子どもって可能性のかたまりというけれど、これはまぎれもない事実で、週1回のレッスンでもぐんぐん成長していく姿を見るのはとてもやりがいがあった。

この英語教育の世界でひとつ残念だったのは、日本の現状の教育制度だと中学生になった途端に言語が「教科」になってしまうこと。

あんなに楽しそうに会話をしていた子が、

「テストの点が悪かった、英語が苦手」と悲しそうに言うようになる。

英語の先生をやってみて、子どもの学び方や学ぶペースは、本当に様々で同じ課題を出して一瞬でできる子もいれば、同じことを5〜10回やらないとピンとこない子もいる。

お母さんや、先生で、「なんで何度も言わせるの?」と怒っているのをよく聞くがその気持ちがよくわかった。

わかったと言ったけど、これは私にとって、「知識として知っていることとわかっている」の距離が最も遠い発見だった。

先生という立場なので、ある意味客観的に見れて、「おーなるほど、君の理解ポイントはここじゃなかったかー」と冷静に見れるのだけど、毎日接していると難しいですよね。

英語教室は、多くても生徒が8人なので、一人一人のペースを見たり、学び方を変えることもできるのだが、

ある時、学校ってどうなってるんだ?!と急に不安になった。

話を聞くと学校は、私が小学生、中学生だった頃とあまり変わっていないらしい。

むしろ人数は増え、40人学級とかがあるらしい、、、

今の教育現場ってどうなんているんだろう。

英会話教室だけじゃない「教育の場」に意識を向けるようになったのは、そんな頃だったと思う。


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