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三島由紀夫 命売りますより2

命売りますを久しぶりに読み返したのは、昨年から現在の、とくにネット内の状況が、この小説に親和的であるように身に覚えたからでした。その中で、憶えてはいてでも意味は分からないままにしていた箇所がありました。

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「考えに考えた末の自殺ではなく、たしか、その夕方、いつも夕食をするスナックで夕刊を読んでいるあいだに、急に死にたくなったのだ。

『外務省職員がスパイ。日中友好協会など三ヶ所を手入れ。マクナマラ長官転出本決まり。(中略) 死者の心臓大動脈弁、少女への移植に成功。九十万円をわしづかみ、鹿児島の銀行出張所に強盗』(十一月二十九日)

 それは判で捺したような日課であって、格段変ったことはなかった。
 彼はその記事のどれにも全然感動しなかった。」


この十一月二十九日、11/29という数字が引っかかったので調べてみると、
昨年やはりよく見返してた、夢の香り、セントオブウーマンが出てきて。


アルパチーノと女の子のタンゴのシーンがとても好きなので見返しながら、
この映画のつくられた背景と隠された事実ということを考えていました。


11月29日というのは米国で、マクナマラ国防長官がベトナム戦争拡大に反対したけれど、ジョンソン大統領に聞き入れられず辞表を提出した日でした。

1967年11月29日。その後マクナマラは世界銀行総裁に就任しました。

ですから命売りますの冒頭の新聞は1967年の11月29日の記事ということのはずです。ちなみに命売りますの連載が始まったのは1968年の5月からです。

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ベトナム戦争の拡大は中華人民共和国にとっての利益になります。
なぜならベトナムは、共産主義国であっても中国嫌い、敵国だからです。
実際にベトナムの共産党軍はソヴィエトから兵器を供与されていました。

ということはマクナマラの辞任は、ベトナム戦争拡大を意味します。
つまりマクナマラ辞任は、中華人民共和国の利益を意味します。
だから日本としても、日中友好協会に手入れをする必要があったはずです。

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命売りますは激動のアジア情勢を下敷きにして書かれた小説のようです。

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三島由紀夫 命売りますより https://note.com/marikannon/n/n839348c3bf8b
を何となく書いて何となく思った、歴史的な仮説というのがあったのですが
もう少し色々調べて考えて、命売りますより3で書いてみようと思いました。




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