「俺の家の話」の話6

5話以降書けなかったドラマレビューですが、ゆとりの映画公開前に久しぶりに見返したので、2年ぶりに続きを書いてみます。

6話は家族旅行の回。
ここで寿限無の母以降の寿三郎の女性遍歴が全て明らかになります。
まったく、とんでもないジジイだなって。

家族旅行に絶対行きたかった寿一なのに、寿三郎のわがままについにキレてしまって結局台無し。
でも、そのおかげで弟妹達がいつもの寿一の苦労に気づくのよね。
踊介の「すげえな兄貴、これ毎日やってんだもんな、ひとりで」の一言は、とてもさりげないんだけど、とても大事。
こういうことで寿一の毎日の奮闘に気がついて、また家族がちょっとまとまっていくの。
「堂々としてたら男湯でもわかんない」っていう舞のセリフも含めて、すごく好きなシーンです☺︎
とんでもないジジイの父親にいつも振り回されてる兄弟だけど、普段何も言えない兄貴がキレたら、遅い反抗期の弟も含めてみんなでちゃんと代わりを努めるのがいいよね。

そしてこの回はもう、たかっしに全部持っていかれます!
あなたもわたしもたかっしに夢中♡
爪あと残しまくりでサイコーですよね✨
くんくの書いたセリフをこんなに完璧に音声に起こせるのって、日本中の役者の中でも破壊くん(阿部サダヲさん)しかいないと言い切れるし、それはこの回のたかっしのワンマンステージを見たらみんなが頷くと思います。

「純烈」に限りなく似ているけどまったく違うグループの「潤 沢」。
「か」と「し」の間の小さい「っ」が母性本能をくすぐるとか、「潤」と「沢」の間の半角スペースの隙間を姫たちが埋めるとか、とにかく間にこだわる大衆芸能です。
かたや寿一たちは、650年の歴史を誇る伝統芸能。
その対決になるかと思えた寿一とたかっしの火花でしたが、伝統芸能側がアッサリ「あぐらをかいてた」と認めてしまうところが個人的にとても好きです。
最終回のnoteにも書いていますが、このドラマって裏でずーっと「多様性」が描かれてるんですよね。

隙間を埋める大衆芸能と、見る側が合わせていく伝統芸能、ガチガチに固められた「家」と、その血筋に染まれない家族、別れた家族と、ステップファミリー、介護される人と、利用して搾取する人、人間国宝と、それに振り回された女性たち、学習障害…
多様な人々が多様な立場でそれぞれの位置から語るから、物語に厚みも深みもある。
わけのわからない行動をとってる寿三郎にも理由があるし、寿一にもずっと親父に褒めてもらうという理由がある。
他のみんなにもそれぞれの思いや理由があって、それを言葉にしたりしなかったりうっかり言ってしまったりしながら、混沌と家族の物語は描かれている。

家族旅行なのに寄り道をいっぱいさせられてイライラしていたはずなのに、最後に親父の歌を聴いたらみんなすべて忘れてしまう。
寿三郎の歌う「マイウェイ」を聴いて、本当に父親は歌そのままだとみんなが笑顔になる。
そしてそれが、かつて母親が撮った家族写真の上をいく、最高の笑顔だった。
こちら側で見てるわたしもこの家族と同じ顔になりました。
(西田さんの歌の説得力よね🎤)

もうあとは、たかっしの小ネタの数々を何にも考えずに堪能したい。
隅々まで最高オブ最高の回でした!

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