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オタク、推しの名を背負う



 「『花は桜木、女は心菜』って刺繍でも入れた特攻服作ればいいしょ?」


 4月下旬、いつも通りYouTubeで私立恵比寿中学(エビ中)の動画を見ていたときに放たれた、夫のこの一言が始まりでした。

 まさか本当に、推しの名前を刺繍した上着を作り、それを着て推しと対面することになるとは、このときは露にも思っていなかったのです。 


推し、桜木心菜さん

 強く、気高く、かっこいい推し。
 私立恵比寿中学の出席番号13番、桜木心菜さんです。メンバーカラーは赤です。

最新のアーティスト写真。儚げ…

 ライブ中の自己紹介
 「花は~? \桜木/ 女は~? \心菜/」
 「出席番号13番、エビ中のヘソ出しマーメイド 桜木心菜です!」
 の通り、ヘソ出しマーメイドです。
 踊っているときは人よりも関節が多くみえるようなしなやかな動き、簡単そうにもみえる単調な振りこそ他のメンバーとの差が大きくみえます。歌っていると強い声、切れの良いラップ、どんどん聴き惚れてしまいますね。昔は歌が苦手だと言っていたけれど、今はほとんど感じさせないほどになりました。
 さらにエビ中きってのグラビア担当、というだけあり、ヤングジャンプの単独表紙も勝ち取られました。水着仕事までされて、美しさにもストイックでとてもかっこいいです。

どのように作るのか?

 …とはいえ、そもそも特攻服なんてどこで売ってるの?おいくらするの?買ったところで刺繍はどうやればいいの?…など疑問ばかり。インターネットで調べて、足がかりをつくりたいと思いました。

特攻服は強すぎ、セーラー服は若すぎ

 Google先生に聞いたところこんな感じでした。

Google検索のスクリーンショット

 そもそも特攻服はかなり厳つい印象。丈も長く、自宅でのお手入れも大変そうです。
 心菜さんが着るとなんでも素敵になるのが不思議ですが、三十路おばさんが着るには勇気がいりそうなので、却下。

何を着ても似合うよく心菜さん
マインドヤンキーの本領発揮

 もうひとつ、候補にあったのが丈の長いセーラー服でしたが、こちらもお手入れの大変さと三十路おばさん問題で諦めました。
 それでも何か代わりにできないだろうか…とインターネットを探していると、ふと思い出したのです。

 数年来、ちょくちょくお洋服を購入しているECサイト「foufou」(ふーふー、と読みます)で販売していたスカジャン。ジャンスカが人気のメーカーがスカジャンを作りました!という触れ込みで、こだわりたっぷりで作られた商品でした。

虎!きらきら!さいこう!!!

 心菜さんの名前を刻んだスカジャン…!
 これしかないな、と決めました。

デザインし、刺繍屋さんに発注する

 インターネットでみつけたこちらの会社でお願いしました。

 自前のデザインをお送りすれば、こちらの会社で用意しているTシャツやジャンパーなどに刺繍をしてくれる…という形です。真っ赤なスカジャンだと印象が強すぎるので、バーガンディと白のものを選ぶことを前提に、デザインを…

 …したかったのですが、私にはPhotoshopなどデザインにソフトを使いこなす力はありません。ここは夫に頼ることにしました。今の仕事に就く前は、雑誌の編集のような仕事をしていたらしいので、Photoshopなんて何のその。さすが。だいたい何でもできちゃうからすごいよな、夫。

デザインしたものを印刷してくれました
誤字があるので一部だけ

 お願いしたら、ぱぱっと作ってくれました。
 オーダーは
・「花は桜木、女は心菜」「エビ中のヘソ出しマーメイド」の文字を入れてほしい
・桜っぽい何かを入れてほしい
 という雑さでしたが、いい感じにまとめてくれました。桜吹雪が可愛いですね。30分もかからず作ってくれた気がしています。

 背中には推しの名、表面には校章を入れたデザインを作ってもらい、会社に刺繍の依頼をメールで送付。数日後に見積もりが送られてきました。

涙をのんでお値段調整、それでも…

 当初のデザインでの見積額は、スカジャン本体料金や送料を含めると6万円近くになりました。意外と、いやかなりお高い…。それだけあれば、生写真がたくさん買える…
 さすがにこの額では夫の了承も得られず(もちろん支払うのは私ですが、やはり高額すぎると心配な模様)、刺繍代金の大きかった桜吹雪を取るなどして調整。再度見積もりを依頼したところ、

上から、スカジャン本体のお値段
左胸につけたエビ中校章の刺繍型のお値段
エビ中校章の刺繍加工のお値段
背面全体の刺繍加工のお値段
北海道への送料

 こんな具合になりました。それでもいいお値段…foufouのスカジャンよりはお手頃価格になったけれども…さらにいくつか刺繍をなくせば少し値下がりするけども…と考えていましたが、

夫とのLINE

 このデザインで決めました。完成まで約3週間、届きました…!

刺繍がかっこいい!すき!
表側はシンプルです
桜の刺繍シールをはりました


 春ツアー苫小牧公演にも着て行きましたが、コミュ障&夫帯同のため、オタクの皆さまとはお話しせず、この春まで職場にバイトに来ていた女の子(エビ中ファミリー)と合流して上着を見てもらいました。嬉しかったですね。
 その勢いをそのままに…

推しに見てもらいたい!

 …そんな邪念が湧いてきてしまいました。
 止まらない気持ち、君が教えてくれた…

6月10日オンラインお話し会@富良野

 この日は以前から、夫と私の地元に旅行に行く約束をしていました。宿も押さえて、車で向かう道中、富良野市内の商業施設フラノマルシェに車を止めてもらい参加。もちろん、ジャケットも持参です。
 これが、人生初のオンラインお話会でした。夫が昼食を買うため車を離れたタイミングで、助手席に乗ったまま参加しました。

記録用にInstagramに載せたものです

 オンラインお話会、1枚あたりの時間も足りず、最後まで言い切れず、しかしながらしっかりと心菜さんがジャケットを見てくださった!そのことだけで満ち足りました。さらに、最初に名前を入力する仕組みだからこそ、名前を呼ばれる!すごい!なんだこれ…!
 参加してよかった、上着も作ってよかった。でもまだ終わりじゃありません。

7月23日お話し会&2shot会@パシフィコ横浜

 メインはこちらでした。対面お話し会。人生で初めて同じCDを数十枚買っての参加となりました。CDが届くたびにどうしてこんなに買ったんだ…と思ったけれど、そんな気持ちが吹き飛ぶようなイベントでした。

 22日に飛行機で羽田へ。心菜さんと並んだときに少しでもマシになれるよう減量や筋トレをしていましたが、最後の仕上げとしてガチエステに行ってきました。横浜に宿を取り、マニキュアを塗ったりして翌日に備えました。
 この日の夜には、特典会によく慣れているオタク、ふくりこ氏がスペースを開催されていました。「お話し会の質問と2sのポーズは事前に決めた方がいい」という超有益情報を手に入れたので、事前に考えることもできました。その節は本当にありがとうございましたm(_ _)m

 特典会当日。外は暑いから上着は鞄に入れて、会場に着いてから着ました。開場時に近くに並んでいたおじさま方とお話ししながら入場待ち。順々に入場が進み、特典券を見せたり運転免許証を見せたりしながら会場内を進みました。そして、ついに、お話し会。

こちらもInstagramに載せています

 スカジャンを…なんとなくでも「見たことある」と覚えていてもらえたの…これ以上のことがあるでしょうか?いやありませんよね???本当に作ってよかったと思いました。
 その後も何度かお話し会&2shot会の列に並びましたが、行くたびに「まりえちゃーん!」って迎えてくれる心菜さん、なに、女神か何かですか?あまりにも神々しくて大変でした。桜木軍団入り、認めていただけたでしょうか。認めて頂けたら嬉しいな。。

 心菜さんとお話ししてすぐ、あまりに動揺して夫にも電話しました。「のめりこみすぎたら危険だよ」と言われた記憶がありますが、もうすでに手遅れかもしれません。ごめんね。

2sはチェキで印刷しました。宝物です

 この他のやりとりや2s写真はInstagramのハイライトにまとめています。よろしければご覧ください…!

 ジャケットを作って良かったこととしては、特典会の会場でオタクの皆さんがすぐ見つけてくれる目印にもなったことです。会場で、いいね!って声をかけていただけたのも嬉しかったです。

推しの名を背負う参戦服

 夫の力を借り、刺繍業社さんの力も借り、一定のお金にモノを言わせて作った推しの名前入りスカジャン。生写真やグッズのように、推し本人にバックがないからお金をかけることにためらいを感じたこともありました。いや、これは、私との約束。心菜さんを推し続け、他のグループには見向きもしないと誓うためにも必要なことだったのかな、と今は思っています。
 推し増しする人を否定するわけでは全くありません。ただ、田舎暮らしで多くの現場が遠く、家庭もあって使える資金に限りがある身からすると、心菜さんだけを推すと心に決めるようなイベントが自分のためにあったのはよかったのかもしれません。

 これからも心菜さんの名に恥じぬよう、清く正しく、そして楽しく、末長く応援していきたいなと思っています。

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