いつかだったら今でもいい~100人インタビュー23人目 えりさま
100人インタビューをはじめて約5か月。
ゆっくりだが着実に100人へインタビューをする。
それは義務とか、責任とか、目標ではなく、インタビュアである私の欲求と受け手の「聞きたい」「話したい」「知りたい」という欲求がなせるワザだ。
だからもっとあなたの話を聞かせてほしい。まだ100人インタビューは始まったばかり。
#023
いつかだったら今でもいい~えりさま
23人目のインタビュー相手は カナダに住むえりさま。彼女はみんなから「えりさま」の愛称で親しまれている。
自己紹介もだけど、こういうのって何喋っていいか分からないよねー。
えりさまと私はこのインタビューの日が初対面。ホルスタイン柄のパジャマを着た、寝起きの彼女は、そう言いながらもペラペラ喋る(笑)
簡単なプロフィールからいくね!1982年、札幌生まれ。
高校卒業後、大阪で働き始める。高校で遊びすぎてバカになっちゃったから、大学行ったらもっとバカになると思って進学はやめたの。
なんだろう。それだけでオモシロイ人なんだと伝わってくる。
そして一癖あるけど裏勘定のない人柄だということもよく分かる。
大阪は従兄弟が住んでいて。いつか住んでみたいなって思ったんだよね。で、いつかだったら、今でもいいよねって(笑)
高校生でやりたいことなんて分かんないじゃん?だから住みたいところをベースに就職しようって。求人情報誌見て、テレアポしたよね(笑)7,80社電話したら3社だけ面接してくれた。
高校を卒業したばかりの彼女は、面接してくれた会社のうちの1社に就職した。超実力主義のその会社は、激務そのものだった。
まあいろいろ鍛えられたけど、
結局2年で体壊して、泣きながら札幌に戻ったんだよね。
計らずしてスタート地点に戻ったえりさまは「ワーキングホリデー」というビザ制度があることを知る。
カナダに行こうって決めた!21歳のときだね。
自分のホームベースが自分の生き方の基礎基盤になる。きっと彼女にとって住む場所というのが、一つのキーなのだろう。
会社立ち上げ。カナダオフィス。独立。
2年半のカナダ生活を終えてからも、しばらくはカナダと日本を行ったり来たりする生活をしていた。
そんなある時、留学エージェント会社の社長にスカウトされる。
トロントに事務所がある小さな留学エージェントだったんだけど、日本で一緒に会社を立ち上げないかって。社長と二人だけで東京進出したんだよね(笑)そこからは365日仕事ばっかり。休んだ記憶がない(笑)
オフィス立ち上げから4年が経ったころ、次なる課題を与えられた。
今度はバンクーバーに支店をつくって来いって言われて(笑)
また2年間、仕事ばっかりしてた。
支店の経営も軌道にのったころ、働いてばかりの生活を見直すべく1年半休職をした。必要な時間だった。
そして独立した。元同僚と二人で共同経営していた会社はうまく回っていた。しかしコロナがやってきた。
海外旅行も、留学もストップしちゃったじゃない?
ゼロどころかマイナスになって、自分の人生を考える時間ができたら、留学エージェントを、もう全くやりたくない自分に気付いちゃったんだ。
億を貢がれたい
じゃあ、わたしのやりたいことってなんだろう?
彼女の周りには「稼いでいる」といわれる友人が複数いた。同じ時代に、同じ仲間として遊んでいた彼女らと、わたしは何が違うんだろう?そう思ったこともあった。でもえりさまがなりたかったのは「稼げる人」ではなかった。
「稼ぎたい」じゃなくて「貢がれたい」って思ったんだよね。働くのが面倒臭いとかじゃなく、本質的な欲求として。人からお金をもらって生きていきたいって。
欲求に気付いたら最後(笑)
お金がないのに、やりたいことが目の前に現れた。彼女を試すかのように。
心のえりさまが「貢がれたいんだろ?お金ほしいって言っちゃいなよ」って囁くんだよね(笑)だから勇気だして、突然Facebookの全体公開設定で「誰かお金ください」って投稿したの。10年以上使ってきたアカウントで(笑)
見かけて鼻で笑う人、「大丈夫ー?」とコメントだけくれる人、「やべぇヤツ...」とそっと認定する人、理由も聞かず応援する人。
やっぱり反応は大きく分かれたよ。それで何人も友達をなくしたと思う。
でも突然の意味不明投稿なのに、思ったより応援してくれる人もいた。リターンとかないのに、4日で20万集まった。
しかし彼女は致命的なミスをした。
わたしのFacebookって仕事関係の人とも、めっちゃ繋がっててさ。
投稿をみた人から共同経営者あてにたくさんメッセージがいっちゃったんだよね。「大丈夫なの?」って。あの投稿したときは”宣言する”ってことに必死で、そんな当たり前のことに気が回らなかったのよね。申し訳なさすぎた。
なんという...。めっちゃ迷惑かけてるやないかいっ!!!(笑)
でも彼女のビジネスパートナーは冷静で優秀だった。
彼女は「個人的にはえりさんのやりたいことは応援したいです。でも会社経営者の振舞いとしては完全アウトなので、今日づけで会社辞めてください」って言ってくれたの。ごもっともだよね。
人間としても出来てるし、仕事人としてもノーミスの判断力。なんと素敵な共同経営者だろう。拍手!!!そして計らずして、もうやりたくないと気付いてしまった留学エージェントの仕事から解放されたのであった。
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「プロフェッショナル~仕事の流儀」のオマージュとして、この100人インタビューでも毎回同じ質問をして締める。
あなたにとってあなたとは?
世界から億を貢がれる謎のアーティスト、だよね(笑)キャハハ!!
なんかウケる~って言われたい。
自分の会社をクビになった彼女は、まともに生きる道を諦めたという。
諦めて自分を解放した先に彼女らしい人生が笑って待っている。その世界は彼女をやさしく包み込む。
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