見出し画像

志村正彦と数年ぶりに向き合ったらどうなるのか、の話。〜12月24日の真夜中二時(26時)過ぎに〜

買ったばかりのプレイヤーでレコードを聞いていたら
真夜中二時過ぎになってしまった

今日は息も白いだろうし、二人で街を抜け出したいところだが
あいにく私は一人だ

今日はフジファブリックの志村正彦の命日だった

私が彼の魅力にとりつかれたのは
皮肉なことに命日より後である

どうして人間の魅力は亡くなった後に匂い立つのだろうか
亡くなった後にその魅力に気づいたことは少なくない

"もう永遠に戻らないもの"が放つ魅力は凄まじい
生き死にに関わらずその人が持っている魅力だけでも十分なのに。
ずるいよ、そういうの。


駅の改札からラーメンの匂いが漂う学生時代の最後に
5万字の文章を残していけと言われた
(ちなみにこの頃の私はまだ半分も人格形成されていない、未完成の純粋な生き物だった。たぶん。)

好きなことしかできない質なので
どうしても音楽・歌詞に関わることで5万字を埋めたかった

・なんとか学術論文として成立させること
・教授を納得させること
・文学研究は亡くなった人を対象にするのが望ましい
(論文を発表した次の日に研究対象の人間が「今までの全部嘘でした」とか言ったら無意味になっちゃうから、みたいなことを言われた気がする、そんなこと起きたら面白いと思った)

で、ふと浮かんだのが志村正彦。

前髪メッシュの女性教授(高円寺に住んでいて、ゼミで関わる期間が短かったけど好きだった、今ならきっと面白い話がいろいろできる)がセンスがよかったおかげで
「フジファブリックいいじゃん!」とまさかのGOが出る。

それからは、CDを全部揃え、詩集や著書も買い
平日の昼間から国会図書館で山積みになったROCKIN' ON JAPANのインタビューを読み漁る日々

当時は必死だったけど今思うとなんて楽しい時間だったのだろう

もちろん恐縮ながら自分の頭で歌詞に対する考察的なこともしたが
彼の日記やインタビューを読むのが面白くて仕方なかった

この曲を書いた頃はこんなことを考えてたのか
こんなことを思っていたからあの歌詞になったのか、など

人が残した生身の言葉ほど読んでいてワクワクするものはない
その人の目線、呼吸、体温の追体験

きちっとした場に発表された文章ではなく
日記やブログなど、心から口からそのまま出てきたような生身の言葉

そしてその時の感情が綺麗に滲んでいる歌詞
きっと音楽家が紡ぐ歌詞はどうしても心を映してしまう

画像1

最初は漠然と"彼の歌詞の魅力"をいろんな側面から分析する
というテーマで進めていたが、
日記を読み進めていくうちに"なぜ彼はこの世を去ったのか"までを想像する結果になった。

真相はたぶん永遠にわからない。フィクションでもいい。
あくまでも私の中での"結末"だ。

彼は音楽に飲み込まれてこの世を去った。

"最高傑作"とともに完結してしまった
「音楽」のために生きていた「自分」が、
音楽に吸い込まれるように、音楽と一つになるように。

なんてことを書いている。

そして皮肉なことに
「もう彼はいない」ことが次の作品に最大の魅力を与えている

私ももしこれからずっと音楽と生きていくことになったら
音楽に飲み込まれるように死を迎えるのだろうか
音楽はいつまでも誰かの心の中にあり続ける
そんな人生も幸せじゃないか

なんて、当時の私は言っている。

今読み返すとかなり稚拙なもので、今改めてこの研究(と言う名前をつけた遊び)をしたら全然違う結論になるのではないか。

ここ数年ずっとそう思ってきたが、

2018年12月24日、久々に読み返してみたところで、
今の私でも結論や思うことは一緒だ。

こんな素敵な音楽家に、まだだいぶ未完成な自分の時代に出会えてよかったと思っている。
まだまだフジファブリックが続いていることも、何より素晴らしい。

音楽はずっと続いていく、
今日もどれだけの人があなたの歌を聞いたでしょう。

今日もきっと雲の上でギター持って歌ってるでしょう?
私の祖母や父には会いましたか。きっと面白いから会ってみてください。


音楽や言葉はいつまでも残り続ける
ふと誰かがそれを見つけて、その誰かが救われたりする

私もいろんな音楽家たちが残していた日記などを見て救われたことが何度もあるので(先日弱っている時に志磨遼平の過去の文章でちょっと泣いた)

とりあえず言葉を書き残す場所を作ろうとnoteを始めた節もある


これからもフジファブリックの音楽を聞いていきます

そして音楽に飲み込まれながら
でもたくさんの素敵な音楽(音楽だけじゃない、舞台だって映画だって本だって人だって)に出会って、まだまだ出会い足りないし、
大好きな音楽家が次にどんな作品を作るのかもずっとそばで目撃していきたいので

私は音楽に飲み込まれながらできるだけ生きていきたいと思ってます。




今のところはね。

画像2

いただいたサポートは音楽活動の糧にして、魂込もった作品でお返しします!