HCIs Interaction 2021末-2022年活動報告
これはHCI アドベントカレンダー2022 12/20の記事になります。(遅れてすみません……)
はじめまして。Marieです。今回はHCIのコミュニティの立ち上げをしたので、その話をしようと思います。(※たいした記事ではないですが、今後コミュニティの立ち上げを行う人の屍となればと思います)
立ち上げ経緯
立ち上げた理由は二つほどあります。
1つ目は研究室間で持っている先行研究や分野全体の潮流に対する知識に大きな差を感じており、それを研究室外の仕組みを用いて解決する必要を感じているからです。
PIはもちろん自身の研究室にて行われている研究の先行研究や、その研究の属する論文群の潮流に対する知識を把握している場合が多いと思いますが、研究室に所属する学生がそれらを知らない、または共有するようなエコシステムが研究室に整っていないことによってこの差が発生している場合が多くあります。これの原因として、研究室のメンバーは必ずしも全員が研究に熱心であるわけではない、かつ通常は修士課程までで卒業してしまうため、長期的な視野を持つと重要であるが膨大な労力が必要なエコシステムの構築、および保守に労力を割く必要性が感じられないためであると考えています。しかしながら、PIは授業準備や教員同士の打ち合わせ、予算書の作成等、たくさんの仕事があり、私個人としてはこのエコシステムの整備に時間を割くことが難しいとも考えています。
ゆえに、ある程度分野に興味がある学生同士で、大学の垣根を超えた知識のエコシステムを構築する必要があると考えています。
2つ目は同年代のHCIの研究をしている学生と交流する機会がなかなかない状況をよしとしていないからです。
これは若年層であればあるほど起こる問題です。特にB1からHCIという分野に触れている自分にとっては身近に感じていた問題ではあります。
またここ数年は、修士課程以上の学生であっても、コロナ禍によって対面の学会が少なくなり、自身の研究に似ている、もしくは掛け合わせることによって発展する可能性のある研究をしている人と知り合う機会が減った印象が強いです。
この問題は、研究室内での状況によっては、研究を相談する、もしくは切磋琢磨する相手がなかなか作りづらい可能性があることを意味します。
このコミュニティで達成できると良いこと
立ち上げ背景から、このコミュニティで達成できると良いことは以下としています。
HCIに関する知識のエコシステムをコミュニティ内で構築すること
同年代と交流する機会を創出すること
人数状況と活動内容
人数状況
運営3名 (+2)
コミュニティ加入者20名 (+20)
活動内容
Discordをコミュニケーションの場として開放して、以下のような活動を行っていました。
Siggraph Asia 2021 参加会(2021/12)
唯一開催することのできた対面イベントで、参加者は5名でした。ETechを回りながら意見交換をしました。また、コミュニティ内部にSVをしている人が複数おり、SVの仕事を把握するのにも良い機会となりました。(顔が写っている写真しかなく……なぜかシグアジの看板を撮り忘れている。)
survey共有会(2022/01)やLT会(2022/03)
1回目のsurvey共有会では、発表者が2名、聴講者3名でした。
2回目のLT会には発表者5名、聴講者を含めると10名以上の方が参加してくださいました。このLT会ではそれぞれ注目している研究/研究者から、研究を行うためのTipsなどを共有するとともに、終了後はそのままラフに交流会を行いました。
定期的なイベントや学会などの情報共有
これは図らず運営側からのみになってしまいましたが、自分の知ったトップカンファのteaserやR&Dインターン、コンテストや展示会の情報を共有するようなチャネルを作成し、情報提供を行っていました。
唐突に立ち上がる作業会
一部のアクティブユーザが不定期に作業会をしていました。
達成できたこと/できなかったこと
この活動を踏まえて、達成できたことと達成できなかったことは以下のようになります。
達成できたこと
コミュニティと言えるような規模の人数が加入したこと
一度以上、他の学年や大学の学生と自分の興味のある分野の議論をすることが可能な機会を作ること
自分の研究に関連する、および発展の糸口となる知識を得る機会を増加させること
達成できなかったこと
定期的な交流機会を作ること
知識のエコシステムを構築すること
(ほとんどが運営側からの情報であった)共同研究など、このコミュニティから研究が生まれなかったこと
(これはストレッチゴールですが、達成できなかったため。)
達成できた/できなかった原因の整理
まず達成できた原因から述べていきます。(ここはこれから団体運営をする方には参考になるかもしれません。)
最初の1つは、Twitterでの周知に成功したからであると考えています。
(当該ツイートはもう消えてしまっていましたが、)たくさんのHCIの研究をコアにしているドクターやPh.Dの方々、さらにはPIの方々にもRT、いいねをしていただき(当該ツイートは100いいね超)結果的に拡散する、つまり立ち上げ当時に十分に界隈に周知することができたのだと感じています。
後半2つは、イベントと周知タイミングの関係性が大きく影響していると考えています。純粋に、「1週間前に告知されても誰も予定がつけられなくて参加者が減る」というやつです。2回目のLTの際は告知2/22, 開催3/14であったので大体3週間前に告知をすると成功する可能性があるようです。あとはイベント開催は大変ですが、やりきることが重要だと感じます(自戒)。
次に、達成できなかった項目の原因の整理をしていきます。
1つ目の原因は、定期的な交流会をシステム化する前に、自分自身がパンクしていることを理由に手を止めていた点にあります。これは完全に自分が悪いです。
2つ目の原因は、どんな粒度であっても知識を共有していいことを正しく周知することができていなかった点があると考えています。
また、この原因の他にも、3つ目の原因と同じ原因も起因していると考えています。(むしろ、3つ目の原因と同じ原因があった上で、今あげた原因があると考えています。)
3つ目の原因は、1つ目の達成できなかった定期的な交流機会を作れなかったことではないかと考えています。実際、定期的な交流機会を作れなかったことによって、現在メンバー数に対してアクティブメンバー数が極端に低いような状況になっています。これがボトルネックになっている可能性が高いと推測しています。
来年以降やりたいこと
達成できなかったことを踏まえて、以下のようなことが来年できると望ましいと考えています。
コミュニティ加入から、コミュニティ内の自由度を把握、その後能動的にコミュニティ内で振る舞えるような導線の整備
(チュートリアルをドキュメントとして残すやランディングチャネルの整備をするがいいのかなと思います。)対面の交流会/イベントの開催
(一度離脱してしまった人が復帰するきっかけとなればいいと思います。
学会などに合わせると来やすいのかなと考えています。)定例的な作業会/相談会の開催・システム化
(1-2週間に1度のペースで良いのかなと思っています。)知識を共有する文化の浸透
(こちらもランディングチャネルの整備と、定期的な交流会内での周知を行うことで解決できないかと考えています。)コミュニティから新しい研究が生まれること
(ストレッチゴールです、これができたら組織としておもしろくなるのかなと思います。)
最後に
来年は今年よりもっと忙しくなる予定がたんまりありますが、それを言い訳にせず、HCIコミュニティのエコシステムを構築することがよりよいできればなと思っています。来年もよしなにやっていきます!!最後まで読んでいただきありがとうございました。
また、コミュニティ興味を持っていただけた方はお気軽に下記に連絡いただけると幸いです。
Marie
Twitter: [at]Marie_Haptic
mail: marie.726project[at]gmail.com