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味噌づくり(其の一)

 大寒。庭一面に霜が降りて白く美しい光景を目にする頃合いです。この日は毎年恒例、家族で味噌づくりをする日。

 朝5時ごろに起床し簡単なヨガと瞑想のルーティンをして、あたたかいハーブティーを淹れながら、すぐにお鍋に火を入れ始めました。前夜から大豆を水に浸しておいたものです。5時間ほど弱火で煮て、豆をつぶし、麹と塩を混ぜ込んで保存容器に入れるという工程です。一見して簡単のようですが、半日くらいかかります。

 滑らかな味噌にしたくて、そのためにやわらかく煮た大豆をすりこぎで丁寧につぶします。息子はお味噌汁の味噌のつぶつぶ感が苦手らしい。それでもうちの味噌を食べさせたくて、つぶして、つぶして、さらにザルで濾して。とても骨の折れる作業です。なぜこんなことをやり始めてしまったのだろうか。面倒くさくなって途中で投げ出したくなります。それでも根気強く最後までやり遂げました。手仕事で精神力を養っている気がします。

 最も心地よい工程が、麹と塩を混ぜるとき。今年は麹をパウダー状のものにしてみました。手で掬ってみると、なんと心地の良い手触りだこと!さらさら、さらさらと、ずっと触っていたい。香りもやさしい甘さが漂って、これは”麹セラピー”とでも言うのでしょうか。「ふぁ〜」と声が出るほどになんとも幸せなひとときです。

 大豆、麹、塩を全て混ぜ合わせます。均等に混ざるように、お鍋やボウルを並べて大豆の玉と塩麹の玉を掛け声を出し合いながらリズムよく交換していきます。最後はホーローの容器に、空気を抜くようにして味噌玉を投げ入れる作業。コントロールが悪いと味噌玉が床にぶちまけられて大変なことになります。それもまた面白くて笑えて良き思い出。

 手作りの味噌だからこその美味しさがあります。なぜでしょうか。時間をかけて作っているうちに、そのものに愛着が湧くからでしょうか。あるいは、その中にみんなの手がかけられた時間が含まれているからでしょうか。共に過ごした時間の味が。今年はどんな味がするだろうか。乞うご期待。

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