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ワープロの話

 ワープロという語を見かけて思い出したので。

 私の実家の私の部屋には、小さいころワープロがあった。それは、部屋の一番奥にある、マホガニーみたいなやたら重厚な机の上に、雑多な資料と一緒に乗っていた。机もワープロも今はなくなって、椅子だけはなぜか残っているけれど、あの一式が誰のものだったのか、そしてなぜ私の部屋にあったのかは、未だに分からない。

 小さいころは…小学校に行っているかいないかくらいの年齢だったと思うが、私は自分の部屋の奥で、椅子をどかして机の前に立って、ワープロのキーをぽちぽち押すのが好きだった。それも、「いいな」と思う絵文字を左から順に押していって、全部終わったら後ろに白い紙をセットして、印刷するのだ。だいたい気に入った絵文字の数なんて決まっているから、いつも一行半ぐらいにしかならない。その一行半に、動物の正面顔や草木などの絵文字が並んでいるのを見て、"おほー"と思ったり、あとは母親に見せたりして、この遊びは終わりである。

 さて、ワープロの絵文字をネットで調べてみると、ものすごくドット絵感があることに気づく。言われてみると私は未だに、ドット絵に執着している節がある。中学生のころからなじみのゲームはカイロソフトだし、小学生のころから好きでやっているパズルは推理ロジックとピクチャーロジックで、このピクチャーロジックというのはドット絵を完成させるパズルである。…そしてたまごっちもかもしれない。私はポケモンよりたまごっちが圧倒的に好きな小学生だったのだが、今思えばあれも、ポケモンよりたまごっちの方がドット絵感があるからではなかろうか。

 なんだこれは。こわい。90年代の懐かしの風景を描こうとしたら、いつの間にかドット絵に執着している話になってしまった。


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