表紙絵

ボストン留学 3カ月の壁

実は3カ月の壁にぶつかっていました。
「3カ月の壁」とは、ざっくりいうと「海外生活3カ月目くらいで来る激しいホームシック」です。

研究所でも、最低限の事務的な会話しかできないし、
お店のおばさんがせっかく楽しげに話しかけてくれても、気の利いた返事一つもできない。

TVドラマを見ても何言ってるか全然わからない。
(字幕を出しても、字幕が早くて読めない。)

スーパーに行っても知らない食材ばっかり。日本のものがあっても高くて買えない。

新しい友達を作ろうにも価値観や生活スタイルも全然違うし、冗談一つ言い合えない。
日本の友達に連絡とろうにも、時差でタイミングが合わなくて、疎遠になる。

バスタブが浅くて、お風呂にゆっくり浸かれず、疲れがたまっていく。

最初は見るものすべてが新しく輝いていたのに、3カ月も経つと、だんだん不自由さが際立ち、積もり積もったストレスが、目に見えて自覚されるようになってきます。

私の場合は、家族と一緒に来ていたので、まだましだったと思います。
それでも、初めての妊娠に長引くつわり、夫の1か月出張で独りぼっち、研究が思ったように進まない、経験したことのない厳しい冬の訪れ、いろんなことが重なって、今から考えると、最悪な精神状態でした。

自分でやりたい!と言って日本でもいろいろな方に応援してもらって実現した留学なので、めったな泣き言も言えず。
こんなに「恵まれた」環境にいるのに、帰りたいと思っているなんて、自己嫌悪で、そんなことを思っていることすら自分で認められませんでした。

「壁」中はやる気が著しく減退しました。
最初はどんなに時間がかかっても、論文は全部英語で読んでやろう、自分の専門分野の論文に出てくる英単語は全部覚えようと、英単語帳も作っていました。それなのに、「壁」中はGoogle翻訳で論文を自動和訳して読んでいました。
休日も何もする気が起きず、せっかく海外にいるのに、ずっと家にこもって、ネットで日本の漫画を読んでいました。
そんな自分が情けなく、惨めな気持ちでいっぱいでした。
最初に壁に張った「2年間の目標チャート」を見るたび、目を背け、後ろめたい気持ちでいっぱいでした。

3カ月の壁にぶち当たった時に助けられたのは、
色々な方の留学・駐妻ブログを拝見したり、留学仲間の先生の奥様のお話を聞いたりしたことです。
同じような経験をしてらっしゃる方も少なくないようで、私だけではないと知って心底安心しました。

ですから、今この記事を読んでいるおんなじ精神状態の方、これは一時的なもので、そのうち抜けます。
大丈夫です。
中々抜けなくても、これはみんな感じていることなんですから、全然恥ずかしがったり、後ろめたかったりするものではありません。

でも、あんまりにもつらい時は、日本のご家族やお友達に、ちゃんと相談してあげてくださいね。
ただの3カ月の壁じゃなくて、自分ではどうしようもない、本当の病気のこともありますから。

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