見出し画像

〈カラーストーリー瑠璃〉 レストラン


小さい頃はよく、両親、祖父母、親戚、いとこみんなで、バスを貸し切ったり車何台かで連れ立っていろんな所へ遊びに行く家だった。


小さい頃すぎてうろ覚えだが、皆でよく行くレストランがあった。広いフロアに円形テーブルが沢山あり、小さめの結婚披露宴の会場を思わせるような感じだ。

何より目を惹くのは、照明や食器が瑠璃色のガラス細工でできていることだった。

スズランを思わせる花の形のシャンデリア、ゴブレットや平皿も全て瑠璃色。美しくて好きで、行くのが楽しみだった。そこでは走り回るのも遠慮気味に、壊さないように気遣っていた。(本当は走り回りたいが、淑女に振る舞いたい願望もあるませた女の子だった。)






たしかに、みんないたはずなのだ。





しかし今になって「よく行ったよね」と話すと、その場所を覚えている人が誰一人いない。父も母も、いとこも、祖母も。

あんなに印象的な空間を、忘れることはないと思う。

夢にしてはかなりリアルだったし、何度も行ったはずだった。また来れた嬉しさをよく覚えている。そこにはみんないたのに。

あれはどこだったんだろう。

見つけ出して、ほらねココだよ、と証明したいくらいだが、皆の反応からすると夢だったとするのが妥当なようだ。



あれが夢なら、私が記憶していると思っている全てのことは、もしかしたら無かったことなのかもしれない。

そんなふうに頭がバグりそうになるくらい鮮明な記憶(夢?)。



〈瑠璃〉 レストラン




サポートしてくださると、喜んでサポートしに行きますので、あなたのことを教えてくださいね❣️