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『CROSS DRESSER』Vol.10

本作は女装How toメールマガジン『CROSS DRESSER』をリライトしたものです。


◆How to メイク:アイシャドー〈1〉
つづけてアイシャドー。この順序が人によって異なる。私はアイラインを引いてからアイシャドーを乗せるが、むしろアイシャドーが先という人のほうが多いかもしれない。

私がアイラインを先行させ、アイシャドーをあとから乗せるのは、そのほうがアイラインの細かなミス──ラインのかすれやギザギザ、小さなはみ出しをカバーできるからである。逆に言えばアイシャドーを乗せてからアイラインを失敗するというリスクを回避したいという意味合いもある。

通常アイシャドーは濃淡2色を使い分ける。はじめに淡色を上まぶたから眼窩の上半円にかけて塗り、次に濃色を上まぶたの目頭から目尻にかけて塗り重ねていく。

淡色は広い範囲が塗れるブラシを、濃色は先端が三角状スポンジのチップを使い、その境界は指先でぼかす。一番悩むのは濃色を塗る範囲だが、一重の人はまぶたの中に、二重の人は一重の中におさまるようにすると自然で上品な感じに仕上がる。   

◆Nightcap〈10〉
先客は二人。ポロシャツの若者とスーツのおじさん。若者はショーツの棚の前に陣取り空想の試着に耽っている。おじさんはギャザー入りミニスカートを手に取り伸張の限界を探っている。
 
レジの場所と店員そして客の有無を確認するのは、あやしい店に踏み込んだときの基本であり、互いに無関心を装うのは客同志のマナーであり、店員から声をかけないのはこういう店のルールである。
 
並べられた商品自体は、シリコンやスポンジのオッパイといったごく一部の女装品を除き、普通の店で普通に売られている品物と大差はない。一つひとつを見ればそれはどこにでも売っているような洋服であり下着であり靴である。
 
しいていえばみなサイズが大きい。しかしこれとてLサイズ専門店と考えればおかしいということでもない。つまりこの店は女性が来ても買物ができる……むろん仮定の話ではあるが、そこが巷のポルノショップとの大きな違いといえる。

Thanks reading, See you…



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