意地悪な姉がいた

美しい髪、つぶらな瞳。
持たないすべてを持っている、妹を嫌う姉がいた。

雨上がりの満月の夜、宝石箱をひっくり返したような星空の下、はしゃぐ妹が可愛くて、妬ましくて、意地悪な姉は水たまりの真ん中に着地した妹の耳元でささやいた。
お空のお星は死人の目玉、ずっとお前を見つめてる。

幼い妹は悲鳴を上げてお家へ戻り、意地悪な姉は空を見上げてげらげら笑った。
その足元の水たまりでは、無数の目玉がそれをじい、と見つめていた。

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