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日常使いできる、和のフォーク―23時のわすれもの #57


1日の終わりの時間、布団の中でごろごろしたり、帰宅中の電車だったり、友人と飲み交わしていたり。


そんな各々が好きに過ごす時間、わたしの、そのときどきの気分でおすすめの日用品や食べ物などをご紹介しようと思います。



つやのある美しさに心奪われる


もう去年のことになります。

セコリ百景で取材した(といっても、その場にわたしはいなかったのですが)竹工家の初田徹さんの個展にお邪魔しました。


壁に掛けられる花器。お花を飾らなくても、これだけで雰囲気がでます。

ズラリとならぶ菓子切。


今まで竹のものを生活の中で使用することがなかったため、とても興味深く色々と拝見しました。中でもこの菓子切、お茶をやっていないわたしには「お家に迎えてもなあ…」と思っていたのですが、初田さんに「和菓子だけじゃなく、洋菓子にも、フルーツにもおすすめなんです。フォークのように使っていただけるんですよ。」とお話いただいてから、「なるほど、和のフォークなのか…!」と一気に興味が沸きました。


とはいえ、種類が多くて決められない。この、黒い艶のあるものは何だろう…?

上の写真の真ん中あたりに写っている、まだら模様のそれは煤竹(すすだけ)といって、古いかやぶき屋根からとれる竹のことだそう。長い月日をかけて囲炉裏に燻され、自然とこげ茶のような色に変化するのです。まだら模様なのは縄で縛られていたところや外側の部分が、燻されずに白っぽい状態になっているから。囲炉裏に近い部分はきれいな飴色になっていたり、その竹があった場所によって色にも違いがでます。


竹というのは、切ってそのままにしておくと10年もたたずに腐ってしまいます。しかし人の手が加わることで100年、200年と残っていきます。人と自然が共存することで見られるものもあるんですね。

・・・と、いうわけで、購入しました。

さっそくロールケーキを買って菓子切で食べることに。盲点だったのは、左利きのわたしは逆向きで使わなければいけなかったこと。今後は菓子切を使うときは右で食べようと思います。


さまざまな自然環境や人の手を経て、今こうしてわたしのもとにある。

この菓子切だけではなく、身の回りのもの全てに対していえることです。わたしたちはどれくらいものについて語れるだろう。語れるもので身を固めたいと改めて思わされる、菓子切のお話でした。


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