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認知症の人の記憶

この記事はFacebook LIVEの原稿を、LIVE 終了後に 一部書き直したものです。
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これは私の個人的な経験談です

今朝 お話しすることは、医学的な根拠のあるものではありません。
あくまで私の経験に基づいたものです。
ただ、10年以上前に義理の両親、今は実の母が認知症を患い、
それをそばで見ている私は、
ああ、こんな風に理解すると、いろいろなことに納得がいきます。

認知症の方のそばにいる方々のお役になてるなら幸いです。

認知症の方は 古いことは覚えているけれど、
新しいことは全然覚えられない、ということはよく耳にします。
実際その通りだと思います。

では、新しいことは忘れて、それっきりなのかというと、
そうではない、というのが私の実感です。

義理の母の突然の驚愕発言

忘れてそれっきり、とは思えない、実例をひとつ。

義母は比較的早くからアルツハイマー型の認知症でしたが、
普通に生活はできていました。
ある朝、ゴミ出しを急いだために路上で転んで、骨折。
救急搬送、入院、手術となり、その間に認知症が進み、
骨折治療が終了した後は自宅に戻らず施設に入居しました。

施設では ほぼ車いすを使って生活をしていました。
かなり認知症の症状が進んでいて、おそらく、自分が車いすを使っている理由などは分からないだろうと、家族も施設の職員さんも思っていました。

ある日、職員さんの運転で病院へ行きました。
私の夫(=義母の長男)が付き添いました。

その帰りのことです。
義母と夫が世間話をして、運転中の職員さんが時々軽く口をはさむような会話の中で、突然義母が
「あの時ころばなかったら、こんなことにはならなかった」
と言ったそうです。

夫はビックリ!

運転していた職員さんも、思わず
「覚えているんですか!?」と 聞き返したそうです。

さほど驚かない私

その日の夜、夫は私にその話をしながら
「いやぁ、本当に驚いたよ」
と言っていましたが、

それを聞かされた私は、さほど驚きませんでした。
夫への言葉こそ
「そうなんだ、すごいね、ホントは覚えてるのかな」
でしたが、内心思っていたのは、
(やっぱりね、お義母さん、覚えてるよね)

これほどドラマチックなことではないにせよ、
施設に義母を訪ねて話をしていると、
(案外 覚えているんだな)と感じることがしばしばあったのです。

ただ、その記憶の時系列がスッキリとまとまっていないので、
話をしているうちに混乱してしまって、

やっぱり覚えてないんだな…
という印象が強くなってしまう気がしていました。

記憶のピース

思うに、認知症の人の記憶は、
パズルのピースがバラバラに散らばっている状態ではないでしょうか。

ピースはあります。
つまり、記憶は全部 残ってる。
でも、カチッとハマらない。

取り出したピースを、今進行中のピースだと思って話をするので、
訳が分からなくなる。
かぶせるように新しいことが何かあると、
そっちに興味が移って、ついさっきまでのピースはどこかに置き忘れちゃう。

そんな状態ではないかと思っています。

穏やかに付き合うために

そう思って話をしていると、まあまあ 穏やかに接することができます。

「さっき言ったでしょ!」と強い言葉で言うと
言われた側は落ち込んじゃいます。

あ、ピースがどこかへいっちゃったな、と思えるくらいに
こちらが余裕を持っていると、
笑ってお付き合いができます。

認知症の方とのお付き合いで
イライラしないために。

お役に立てたら幸いです。

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