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14:母のお引っ越し騒動記

【更なる決断】

前回の記事です。

夫はほぼ毎晩、会社の帰りに私の実家に寄ってくれることになった。寄ると言っても、会社から実家まで夜中に(法定速度内で…)ぶっ飛ばして1時間半。実家から我が家まで夜中で2時間弱。自宅から会社までは、朝は最低1時間半掛かる。渋滞があったらそらもう凄い時間が掛かる。もはや寄るという感じじゃない。毎日小旅行。

大雪が降る夜にバカでかい彼の趣味のものが届いたけど、普段だったら節分が早く来たんちゃうかって思う顔になるところだけど…感謝しかないから怒れないわ(笑)

さて。年末が差し迫った頃、私は悩んでた。

ある日のお昼間にちゃんとLINEも電話もできて家具を一緒に決めたのに、夜は何度も無言の電話が掛かってきた。何かと間違えてるのか「パスワードでしょ…」とか「お誕生日よね…」と呟きながら子機の数字をピッピッと押す音だけが聞こえる。もしもーしと怒鳴ってもダメ。(母は耳も遠い)仕方ないから切る。また掛かってくる。それの繰り返し。

この日は電話の取り方も、切り方も忘れてしまってた。やっと電話に出て(出て即保留音や無言を何回も経て)話し終わったと思ったら「これ(受話器)どうすればいいの?」と聞いてきた。この日は史上で一番の絶不調の日だった。

恐れていた時が来た。これがその時なのかどうかは分からないけど、危惧してた日は目前だ、と確信した。

実は申し込んでた母の新居は、ちょっとした理由があって入居できるまで少々時間が掛かる部屋を選んでいた。そう大した理由でもなかったし、広さも間取りも全く同じ部屋がもう一つあったのだ。

意を決して管理会社に電話した。ぼやぼやしてたら世間はお正月休みに突入してしまうから。

事情を説明して少しでも早く入居したいと伝え、もう一つ空いてたお部屋ってまだ残ってます…?と聞いてみる。

えーと。確か…あの後ご予約が入ってですね…

あー!なんてこと!と思ったら(美声担当者さんはもうお休みだった)

ちょっと確認してみますね。
確か昨日キャンセルが…

え?え?ほんと?マジで?早る気持ちを抑えつつ待ってると

はい!昨日ちょうどキャンセルされまして〜

おおおおお!まだ運はついてる!私、強運の持ち主じゃん(そうなんです)ここでこそ、その強運を!

そんなこんなで、2021年最後に滑り込みでお部屋を押さえられたのだった。

お部屋変更もできることを確認してもらい、そこからは怒涛の流れだった。契約までの流れ、契約日の決定、契約に際してするべきこと。それから何よりもお部屋を整えるためのお買い物、ショッピング、Shoppingでございますよ!もうテンションを上げていくしかないわけですわよ!

必要なものを書き出していく。

ベッド、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、シーリングライト、机、デスクライト、テレビ、テレビ台、DVDレコーダー、サイドテーブル、リネン類、パソコン…。洗濯機は入院時の病院でお気に召したので洗濯乾燥機をご所望。机はご飯を食べたり、パソコンしたり。4LDK一人暮らしからのお引越しなので家電はとにかく全部買い替え。サイズ ダウン。そして母が愛してやまないパソコンもノートパソコンへ。私のMacBookを使わせてみたところ十分と言うので。SEをしてるお友達の旦那さんが相談に乗ってくれ、設定とかも困ったら助けてくれると仰る。年末の忙しい時(大晦日の夕方)も電話で色々アドバイスを下さる。まじ感謝しかない。

とても重要だったベッドは残念ながらメーカーが一足先にお正月休みに入ってしまい、休み明けにならないと在庫が分からず従って納期も分からない。そう。1月中旬の入居を第一目標にすることを決断したから、頭も体もフル稼働させないと。

他にも欲しいものはまだまだあるが、とにかく目標は入居予定日に入居できるよう必要最低限のものを揃えること。

最初はただただ喜んでいた母も(これは良かったこと)、日を追うごとに希望というワガママを口にするようになってきた。まず意見がぶつかったのは電子レンジ。日にちを少しでも有効に使おうと、大晦日から元旦に掛けて私だけ泊まった。髪を振り乱し目を血走らせながら色々直してると、遠くから歌がずっと聞こえてきた。母があまり聞かない日本人の歌だ。すごく楽しげに「ほら、紅白よ〜」とニコニコと母。そうでした…今日は大晦日だったわね。紅白なんて何十年振りに見、いや聞いたわ。

元旦に家族全員で実家に来てくれて、お正月でもやってるニトリさん(感謝のあまり「さん」付け笑)と大型家電量販店に行ってきた。少しでも時間を有効に!と実家近くで元旦でもやってるところを探しておいたのだ。

我が家の近くの家電量販店で目をつけてた冷蔵庫、シーリングライトがお年玉セールなのかすごく凄く割引になってた。冷蔵庫はラスいち。洗濯乾燥機もお安くなってたのだが、横に置いてあった違うメーカーの方が良かったので(しかもお得)まとめて購入&配送手続きをする。全部で10万ほどお得に買えた。10万円は大きいよ!

その時にレンジもいいのがあったら買おうと思ってた。もう単純な機能のをと思って、母と並んで見てたらふと「レンジ機能が無いとね」と言うではないか。えーと、何に使うの?と聞くと私の家族が鳥の焼いたのが好きだから用意しなくちゃねと仰る。んー、それは私が用意するし、もし必要だったら家で焼いて持っていくよ?と言っても納得はしてない表情。そういえば朝はいつもトースト食べてるなぁと思い、朝ごはんはついてるのよ?食堂でみんなと食べるでしょ?と言ってもスッキリしてない。そうそう。毎月お支払いする基本サービス料に朝ごはんはついてるのだ。ウラヤマシイ。そして最初は3食全部付けたいとも。だったらトースター機能も要らないし。前の母になら迷うことなく電子オーブンレンジを買ったと思う。

ここ最近の母を見てて、万が一使い方を間違えても怖いし、それにもし元に戻ったとしても年齢的にどんどんできないことが増えていく一方のはず。なら単機能レンジに私はしたい。母はオーブン機能が欲しい。夫が説得し、私が説得するが翻らない。一旦はそうねと言うのに、翌日にはまた元に戻ってたりする。OMG。

電子レンジだけでなく、いろんなことを主張するようになってきた。私だってできるだけ希望は叶えてあげたいと思う。でもスペース的なこと、実際に不要になると言うこと、これからの能力的なことを考えると心は痛むが叶えられないことも多い。

入居までの日数。マイナスお正月休み。やらなくちゃいけない事。買わなくちゃいけないもの。サイズ の制約。母の希望。

頭からしゅぅしゅぅ煙が出る音が聞こえた気がした。

そんな時に「認知症の人は環境の変化に弱いからね」「ただでさえ環境が変わるのに使い慣れたものの方がいいでしょう」とか言われるとね、もうね。殺意が湧きましたよ。大人だから何も言わないけど。どーせーっちゅうんじゃ、と。入らんもんは入らんの!だからそんな意見は聞かなかったことにして突き進みまっせ。

大晦日から元旦に掛けて相当久し振り(十数年振り?)に泊まって、年賀状や母の携帯を見せてもらって色々と考えるところがあった。