見出し画像

タージ・マハルを観光したら、インド空軍のことが気になって仕方がない

渡印から早1年。インドではコロナが消滅し(?)やっと観光らしいことができるようになりました。

念願のタージ・マハルへ

言わずと知れたインドを代表する建築物。実際に目にすると、写真の5倍は綺麗です。混沌としたインドにありながら、タージ・マハルだけは静的で現実味がないほど。ムガル帝国シャー・ジャハーンの妻、ムムターズ・マハルへの病的とも言える愛が感じられます。朝日、夕陽、そして満月に照らされると極上の廟です。

妻ムムターズ・マハルと愛妻家のシャー・ジャハーン。
妻の死後、シャージャハーンはハーレムで女性たちを囲い込み、息子たちの皇位継承争いで幽閉され、寂しい生涯を終えた。今はタージ・マハルで2人並んで葬られている。

引くほど、人が多い

写真で見ると、タージ・マハルだけが美しくそびえ立つのですが、その周りには1億人ぐらいの人がいます(笑)入口でX線手荷物検査機に通り切らないほどの大量のバッグが山積し、ついにはデスクが倒壊し、自分の荷物と引き裂かれた女性たちがフェンスを隔てて阿鼻叫喚。外国人観光客がまだほとんどいないこともあり、そのカオスっぷりに正直ドン引きしました。しかし、そんな光景を一瞬で忘れるほど、タージ・マハルは異彩を放っています。

こんなにもアクセスが悪いのはなぜか

タージ・マハルは一見の価値あり、と言いたいところですが、デリー空港から車で4〜5時間。なかなか気合がないと辿り着けません。実はタージ・マハルから車でたった30分のところにアグラ空港があるのですが、主に空軍が使用しているため空路は選択肢に入りにくい。観光立国にしては考えられない不便さです。タージ・マハルに隣接するアグラ空港を、なぜ観光政策に活かさないのでしょうか?

アグラ空港はインド空軍にとって重要基地

アグラ空港は第二次世界大戦中、イギリスによって建設されました。パキスタンのカラチから中国の昆明に物資を輸送する際、ヒマラヤ山脈を超えるための中継地点として位置付けられました。つまり、対日抗戦ルートだったということでしょう。歴史に想いを馳せます。

カラチーアグラー昆明

インド空軍は現在、アメリカ、ロシア、中国に次ぐ世界第4位の戦力を誇ります。インドの空港は軍民共用が多く、約25ある空軍基地のうち、アグラ空港は最も重要な基地の一つだそう。周辺国(中国・パキスタン)と常に敵対しているので軍事優先なのもまぁ理解はできます。

日本の自衛隊とインド空軍の交流は、すごく意味があるのかも

昨年、「航空自衛隊とインド空軍がロシア製の戦闘機を使用した共同訓練を行う」という報道がありました。コロナやウクライナ侵攻で予定通りに進んでいなさそうな雰囲気ですが、これが実現すれば、日本はロシアや中国の使用機(スホイ30)を詳細に把握できます。物騒な響きではありますが、国の安全保障はこういった人的・技術的交流から蓄積されていくのだろうと、素人ながらに思います。

ナマステ、岸田首相

先日、岸田首相が渡印されましたが、同じ日に私もデリーにいたようです。日本はインドに今後5年間で5兆円投資すると表明。多いと見るか、少ないと見るか…。日本としては対中国、対ロシアのクアッド戦略(日米豪印戦略対話)にモディ首相を強く巻き込みたかったのでしょうが、さらりと交わされています。

モディ首相の一連のツイートや声明では、対ロシア批判どころかクワッドのクの字も見当たりません。経済、気候変動、クリーンエネルギー、文化交流やっていきましょうね〜と言われていますよ〜。インドを政治的に動かすには、日本の本気度(金額ではない)が足りないのだろうと思います。

タージ・マハルを観光したら、インド空軍のことが気になって仕方がなくなってしまいました。それだけ、往復8時間のドライブは物思いにふける良い機会だったということですね(笑)

ちなみに、デリーからタージ・マハルまでの道は整備された綺麗な高速道路です。ただ、談合坂サービスエリアらしきものはありませんでしたので、お越しの際は各自トイレットペーパーをお忘れなく⭐️

では。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?